「『心の奥深くに隠れている魂を知りたい』そのために、グループ・ディスカッションの次元を様々に変えて、テーマを絞り込みながら実施したのですが、その発言から膨大な言葉が集まります。もちろん、その言葉には、潜在意識や、"魂"ともいえる人間の心がこもっています」p219
内田耀一『ヒットの神様』(幻冬舎, 2009)
★本の概要
プロ野球中継、JALパック、インスタントラーメン、サザエさん、レディーボーデン、東京ディズニーランド。これらは、著者の内田氏が1960-70年代に消費者調査を担当した商品だという。アンケート調査しかない時代に、グループインタビュー(ご本人はグループディスカッションと呼ぶ)手法を開発し、様々な案件で消費者の本音を捉えることに成功されたようだ。
★矛盾を見極める
数々の成功事例のポイントは、矛盾したニーズの見極めとその解決のためのコンセプト創案にあると分かる。
1.男性にとって、チョコレートは甘くて女性が食べる菓子といったイメージだった。しかし本音としてはチョコに興味がある。そこで内田氏は、ビター味のチョコ、あるいはブランデー入りのチョコを考案したという。2.当時の受験戦争は今より過酷だったが、母親は勉強してほしい反面、子供たちにも息抜きが必要だと感じていた。その傾向から、母親に受け入れられるだろう「サザエさん」をメインスポンサードすることを、東芝に薦めたという。3.便秘に悩む女性はなるべく薬は飲みたくない。しかし効果は欲しい。そこで、当時としては異例だったがピンク色で小粒な便秘薬を生んだ。それがコーラック。4.消毒薬を子供に塗る必要があるが、子供は痛みを嫌がる。痛みがでない薬をコンセプトにしたのが、当時山之内製薬が販売したマキロンだという。
★編集後記
他社が売れない、自社でも売れてこなかった背景には、何かそのままでは矛盾する要因がある。現場の声からそのヒントを捉えることは、現代でももちろん必要なことだ。

