2012年04月27日

「2年目の支援、これから大事なこと」・チャリティジャパンに取材頂きました


 チャリティ・ジャパンさんに「2年目の支援、これから大事なこと」と題して取材を受けました(→http://goo.gl/R0LSH )。前回インタビューを受けたのは2011年7月末でしたから、9月ぶりです。RCFによる復興の現状認識と展望についてまとまっていますから、一度お読み頂ければ幸いです。長文ですので、印刷頂いた方がよいかもしれません。書かれている内容、改めて3つに整理しました。

■1.(支援者は)いつまでに何を目指すべきか
 昨日4月26日エントリ『震災復興における行政手法と役割』(http://retz.seesaa.net/article/267142926.html )でも書きましたが、支援するにあたっても工程表が必要です。しかし、時間と達成目標を持って支援を続けている団体は多くありません。かたや期限は、はっきりと存在します。2014年3月です。つまりあと2年。このタイミングで雇用創出基金事業は終わり、働く場を一人一人の力で発見することが必要になります。見なし仮設入居者への支援は終わります。多くの企業の支援もここまでに終わります。メディア報道もさらに減っているでしょう。
 達成目標も明確なはずです。被災地の住民の皆さんが連携・主体となって自律的に復興に向けて進んでいる状態。今のところ、外部支援者であるNPOが主語の支援事業が多くあります。そうではなくて、地域の方々が主語にならないといけない。支援者は、そうした彼らを応援する立場になる必要があります。

■2.何を支援すべきか
 物資支援の時期は過ぎたことは、多くの方にご理解頂けました。では、何を支援すべきなのか。違うのは、サービスを提供すること。もちろん一部生活困窮者の支援は物資であれ人であれ続ける必要があります。しかし大多数の方は物資はいらないし、人の手助けを必要とはしていません。では何を支援すべきか。2つあります。
 一つは、物を送るのではなく、情報を行き渡らせること。市町村間や、市役所と住民の間には情報の隔たりがあります。インターネットは普及してはいません。従来の口コミの繋がりや回覧板は損なわれています。情報格差を埋める仕組みが必要です。物資やましてお金を送るだけでは、住民間の分断を進めるだけです。
 いま一つは、物を送るのではなく、物を買うこと。被災地の事業者は、事業を続けるのか辞めてしまうのかの瀬戸際に立たされています。復興支援ではなく、真に価値を感じて買ってくれる人が一人でもいれば、事業者は続けるための意味を見いだせるのです。

■3.いかに支援すべきか
 まず支援対象は市町村ではなく、地区単位のコミュニティであること。別の言い方をすれば小学校区あるいは旧市町村単位です。平成の大合併によって数年前に寄せ集められたのが東北の今の市町村。そうした行政区分にアイデンティティをもつ住民はいません。歴史・文化を共有する地区単位別でなければ、住民主体の復興計画を作ることはできないわけです。
 地区の住民だけでは復興はままなりません。企業やNPOに求められるのは、そうした地区ごとに支援を行うことです。そして、違う場所で支援を続ける組織同士で事例共有を行うべきでしょう。リソースは限られています。メディアを見ながらよく出てくる被災地に個別に飛び込むのではなく、支援状況の把握・調整も必要なことです。

■復興関係者はもっともっと情報発信を!
 二年目はとうにすぎました。しかしタイムリミットは確実に迫りつつあります。縄張り意識は捨て去って、復興支援者どうし情報をオープンにし、連携を図ることが必要です。復興関係者はもっともっと情報発信すべきだと思います。東北復興新聞の皆さんとも、そうした取組みを考えているところです。(2012年4月27日〜桜が開花したばかりの北上にて)

■参考サイト
チャリティジャパン「2年目の支援、これから大事なこと」http://goo.gl/R0LSH
チャリティジャパン「イベントレポート RCF復興支援チーム報告会」http://goo.gl/zsJ1m
チャリティジャパン「被災地の実態に即した支援プログラム構築を」(7月30日記事) http://charity-japan.com/archives/interview/4331
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2012年04月26日

震災復興における行政手法と役割〜南相馬・桜井市長著作より


 南相馬の桜井勝延市長による著作『闘う市長』を読みました。
 震災と原発事故直後に、メディアが南相馬から離れたために一切報道がなくなった中で、youtubeでビデオメッセージを投稿。米タイム誌が「世界で最も影響力のある100人」に選ぶほどに世界で名が知られる存在となりました。桜井市長の聞き手は、『「フクシマ」論』で有名になった若手社会学者の開沼博さんです。
 行政・政治の在り方についても学びがあり、教訓を4点共有させて頂きます。
 
■教訓1 携帯電話コミュニケーション
 復興スピードが遅いと言われます。理由は、平時のコミュニケーションをとり続けているからです。市町は通常まず県に伺いを立て、その上で省庁に話を繋げます。しかし、その間に膨大な時間がかかります。桜井市長はそうした建前を飛び越します。農業関連で課題があれば、まず農水副大臣に電話をかける、その上で農水省の担当者につないでもらいます。あるいは枝野大臣や細野大臣にもダイレクトに電話をかけて問題解決につなげています。新潟県の泉田知事からは逆に電話をもらい、南相馬の人々を大量に避難を受け入れてもらえました。またセブンイレブン社長にも電話をかけて、市内での営業再開にこぎつけています。そうしたやり取りを、通常ルートで通そうとすると膨大な時間がかかるでしょうし、そもそも途中で話がなくなってしまうこともあるでしょう。スピーディに意思決定するためには、意思決定者同士がダイレクトに話をつけることが重要だと改めて学ばされます。

■教訓2 行政は工程表を
 行政と市民の役割分担は全ての被災地での課題です。行政が引き受けすぎれば、市民は依存しスピードは遅れます。市民だけで動いては、あまりに点の動きとなって、力が分散してしまいます。
 桜井市長は、行政は工程表を作るべき、といいます。工程を示すことで、市民は今の立ち位置を理解することができるからです。その中で、個々の市民が果たすべき役割が見えてくると話します。
 『復興ロードマップを理解し、企業・NPO・行政連携を促進する』(http://retz.seesaa.net/article/264498497.html )でも書きましたが、官民がより強固に繋がるためには、両者が工程表を共有することがそのスタートになるのだと思います。「町の求心力として、役所職員がいることが大きい」「最後まで付き合ってくれるかどうかを、住民は見ている」と桜井市長は話します。枠組を作った上で、市民が主体的に動けばよい。あとは行政は、行動する市民に寄り添い続ければ良い。そうした在り方に気付かされます。

■教訓3 現場主義
 桜井市長が本で繰り返し憤るのは、現場をみない意見がはびこりつつある点です。南相馬から逃げ出すメディアや医療機関や、南相馬に入ることを恐れる官僚や有識者を彼は批判します。刻一刻とかわる現場を理解した上で行動することの必要性を痛感されているのでしょう。そのため、現地対策本部だけではなくて、政府の責任ある機関を現地におく必要性を訴えます。地方の政治家が、地方のこれからについて発言することを主張されています。

■教訓4 町の機能を取り戻す
 「福島から人が逃げている、恐れているといったイメージを語る人がいる。それは相対的強者による弱者の利用ではないか」、と聞き手である開沼博さんは指摘されています。
 南相馬から離れる方がいるのは、放射線の問題というよりも、むしろ破損した住宅を修繕することが困難だからです。あるいは町として住むための機能が損なわれているからです。だからこそ、市長は町の機能回復を優先事項としています。。まず住むための住宅の整備が必要。あるいは物流を回復するために常磐道の復旧が必要だと話しています。
 「原発の恐怖から逃げ出している人がいる」何となくのイメージで語らずに、まず基本的な機能を取り戻すことが、何よりも復旧・復興に繋がるのでしょう。

■行政が担うべき役割とは
 こうしてみると、行政はシンプルなのだと気付かされます。やるべきことは、現場の目の前のニーズに応えること。最低限の機能を回復すること。行政だけで完結しようとせず、工程表を共有しながら官民一体となって復興に取り組むこと、です。自分たちで解決できない課題については、携帯電話を駆使して解決できる責任者とダイレクトにやりとりする。これは首長に限らず、復興支援にたずさわる全ての人に言えることでしょう。「現地ニーズは何か?」「工程表は何か?」「意思決定者と直接やりとりできているか?」そう自問自答しながら業務に当たりたいと思います。(4月26日)

■参考文献
桜井勝延・開沼博『闘う市長』(2012, 徳間書店)
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復興起業支援がいよいよスタート。5月12日に復興起業カンファレンス開催。

 東日本大震災から一年を経過し、復興が順調に進むか否かの瀬戸際に立たされています。現地で最も必要とされるのは「人材」です。このことは3月23日のエントリ『復興人材を育てる3つのポイント』(http://retz.seesaa.net/article/259573710.html )でも書きました。

■内閣府による社会起業支援スタート
 その最後に、内閣府による2000名の人材育成政策についても触れました。4月21日のエントリ『県単位で、ソーシャルビジネスに関する連絡会議を』(http://retz.seesaa.net/article/265991950.html )にも書いたように、4月20日にはキックオフの会が仙台でも開催。その模様は仙台テレビでも放映されています(http://www.nhk.or.jp/sendai/player/player.htm?TB_iframe=true&width=654&height=392&id=201204201 )。私も瞬間うつっていますので見つけて下さい。後半ではぐるぐる応援団も紹介されています。また、昨日4月25日には、12事業者の概要も掲載されたチラシも公開されています。くわしくはこちらも参照下さい(http://fukkou.chiikisyakai-koyou.jp/pdf/flier.pdf )。

■5月12日の復興起業カンファレンスに参加したい3つの理由
 事業者の一つであるETICは、主にUターン・Iターン型での復興起業支援を打ち出しています。そのイベントが5月12日に日本財団ビルで行われるので紹介させて頂きます。
 くわしくは下記をご覧いただきますが、このイベントに参加すべき理由を三点あげます。一つは、東北ROKUプロジェクト島田さん、八葉水産清水さんといった現地を代表する起業家の声が聞けること。一つは、震災後に東北に入って奮闘するメンバーの話が聞けること。そして、ETIC周辺に集う復興関係者と交流できることがあります。東北での起業をすこしでも考えている人は参加必須ですし、現地でこれから何が求められるのか。何ができるのかを知りたい方も、ぜひご参加頂きたいイベントです。私も東北に行く用事がなければ、顔を出したいと思います。(4月26日)

以下、案内になります。
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         みちのく復興起業カンファレンス
        〜これからの未来をつくる起業戦略会議〜
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 http://www.etic.or.jp/recoveryleaders/michinokuconference/
     2012.5.12 (土) 14:00-17:50 @日本財団ビル
    NPO法人ETIC. 震災復興リーダー支援プロジェクト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

東日本大震災から1年が過ぎました。
マスコミでの露出が少なくなるにつれて、現地で活動するボランティアの数は
ピーク時の10分の1となり、人材の不足が顕著となっています。また、地域の
課題も複雑になり、一筋縄で解決できないものも多くあります。
東北では、積みあがる課題を解決するための人材やソーシャルビジネスが
「今」必要とされています。

しかし、そんな逆境のなかで「課題を新たな創造の契機に」と、挑戦を続ける
起業家やリーダーたちが確かに存在しています。全国から集まる支援やリソー
スをもとに、新しく事業をつくる人が現れています。

・高齢化率40%を超える地域で福祉ビジネスの最先端に挑戦する起業家
・農業の六次産業化の総合施設を立ち上げ、障碍者雇用を推進する起業家
・復興商店街を立ち上げ、住民の主体的なまちづくりに取り組む起業家

大きな困難があった中で、企業・行政・NPOの枠組みを越えたかつてない協働や、
新たな挑戦がうまれる機運が、今東北には広がりつつあります。

「みちのく復興起業カンファレンス〜これからの未来をつくる起業戦略会議〜」
は、東北の未来を創るための事業アイデアと、その実現に対する強い意志を
持ってこれから事業を始めようという起業家が一同に会し、新しい東北、
新しい日本に向けて志を共有し、具体的なアクションに向けて動き出す場です。

すでに東北で起業に向けて動かれている方やこれから起業を考えている方を
はじめ、自分に何かできないか協力や連携の形を探している方、東北での
ビジネスの現状を知りたい方など、多くの方のご参加をお待ちしています。

┌─┬───────────────────────────────
│■│プログラム紹介(予定)
└─┴───────────────────────────────

 −13:30 受付開始
 −14:00 オープニング
 −14:10 パネルセッション「今、東北で挑戦する意味」
 −15:10 (休憩)
 −15:30 リレートーク「最前線の現場で培ってきたもの」
 −16:30 今後のご案内
 −16:40 交流会
 −17:50 終了

 ◆パネルセッション:『今、東北で挑戦する意味』
  新たな取り組みを推進してきた起業家を招き、東北にどのような
  チャレンジの契機が生まれているかをお話しいただきます。
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 ・島田 昌幸氏
  東北Rokuプロジェクト/株式会社ファミリア 代表取締役
  ─────────────────────────
  北海道岩見沢市出身。大学卒業後からさまざまなビジネスの立ち上げを経験し、
  2009年より仙台市にて仙台放送、地元農家と連携したマルシェジャポン仙台の
  運営に関わる。震災発生2日目からマルシェジャポンの仲間たちと共に炊き出し
  プロジェクトを展開。物資の行き届かない避難所を中心にこれまでに2万食以上
  の炊き出しを提供してきた。復興にむけて新たな雇用と東北の再生モデルの創出
  を目指した農林漁業6次産業化モデルファームを展開中。

 ・清水 敏也氏
  八葉水産株式会社代表取締役社長
  ─────────────────────────
  気仙沼で創業40年目、八葉水産株式会社代表取締役社長。震災にて6つの工場、
  冷蔵施設が全て被災し、10億円以上の被害を受けながらも、2012年3月12日に
  本社工場の操業を再開、主力の塩辛の製造を始め、社員70人を再雇用に漕ぎつ
  けた。また本業とは別に、帆前掛けで作ったバックやポーチなどの製品を扱う
  Ganbaare株式会社をいち早く立ち上げ、復興の機運を牽引。一方、気仙沼市震
  災復興会議委員として、行政、学識経験者等と共に、震災復興の計画案作成に
  も携わり、地域全体の視野でまちづくりにも関わっている。

  [新しく登壇者が決定次第、Webにてお知らせいたします]


 ◆リレートーク:『最前線の現場で培ってきたもの』
  この1年、実際に最前線の現場に飛び込んで活動してきた人が、新たな舞台で
  挑戦してきたこと、そしてこれから挑戦していくことについてお話いただきます。
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 ・松島 宏佑氏
  一般社団法人 ふらっとーほく 代表
  ─────────────────────────
  1986年、宮城県白石市生まれ。東京工業大学理学部物理学科卒。大学卒業後、
  まちづくり最先端の島、島根県隠岐郡海士町への移住を決意。まちづくりベ
  ンチャー企業、株式会社巡の環(めぐりのわ)に入社。メディア事業や、教
  育事業、地域づくり事業に関わる。
  東日本大震災を機に実家のある宮城県に戻り、災害ボランティアとして活動。
  被災地の温泉宿と提携して行った企画で、述べ800人以上のボランティアを
  集めることに成功。これがきっかけとなり、宮城県亘理群亘理町を中心に、
  継続的に復興支援を行うため(株)巡の環東北支部を設立する。2012年、
  一般社団法人ふらっとーほくを立ち上げ、代表を務める。

 ・成田 好孝氏
  大船渡仮設住宅支援員配置支援プロジェクト
  ─────────────────────────
  アカシック株式会社代表取締役。学生時代の議員インターンシップの運営・
  国際交流、投資会社での営業業務、IT企業にて秘書・経営企画業務など幅広い
  経験を生かして、ETIC.震災復興リーダー支援プロジェクトに参画。
  2011年10月から半年間、岩手県沿岸地域における仮設住宅支援事業の統括
  マネージャの補佐役として活躍。

 ・藤野 里美氏
  気仙沼ともづなプロジェクト
  ─────────────────────────
  陸前高田市出身。大学卒業後、ITベンチャーを経て、大手企業でのウェブ
  サイト運営やECサービスの企画開発から広告宣伝まで幅広く従事。
  2012年2月から気仙沼・ともづなプロジェクトに「右腕」として活躍。
  現地の事業者のウェブサイトの企画運営や販促企画を担当。
  ネットとリアル両面から気仙沼の人と地域をつないでいる。

 ・茂木 崇史氏
  RCF復興支援チーム フェロー
  ─────────────────────────
  東京大学経済学部卒業。2002年マッキンゼー&カンパニーに新卒で入社し、
  大手企業に対する戦略立案ならびに実行支援に関するコンサルティングに
  従事。その後、(株)リンクアンドモチベーションにて、組織マネジメント
  ならびにブランドマネジメントに関するコンサルティング業務に従事し、
  ブランドマネジメント事業の担当執行役員を歴任。
  現在は独立し、RCF復興支援チームフェローとして、東日本大震災の復興支援
  に従事し、主に水産加工業を中心とした産業復興支援に従事している。

  [新しく登壇者が決定次第、Webにてお知らせいたします]

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│■│開催概要
└─┴────────────────────────────────

 日 時:5月12日(土)14:00〜17:50(受付開始:13:30〜)
 場 所:日本財団ビル(東京都港区赤坂1-2-2)
      東京メトロ銀座線/南北線・溜池山王駅9番出口 徒歩5分
      http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
 主 催:NPO法人ETIC.
 協 力:日本財団CANPANプロジェクト
 参加費:無料
 定 員:80名(事前予約制)

┌─┬────────────────────────────────
│■│参加お申し込み
└─┴────────────────────────────────

 お手数ですが、下記URLよりお申し込みください。
 http://www.etic.or.jp/recoveryleaders/michinokuconference/

  ※定員に達した場合には、締め切らせていただくこともございますので、
   お早めにお申し込みいただけますと幸いです。

 みなさまのご参加を心よりお待ち申し上げます。

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【お問い合わせ先】
--------------------------------------------------------------
特定非営利活動法人 ETIC.(エティック)
〒150-0041 東京都渋谷区神南1-5-7 APPLE OHMIビル4階
TEL: 03-5784-2115 / FAX:03-5784-2116 Mail:fukkou@etic.or.jp
(連絡先) 震災復興リーダー支援プロジェクト事務局 担当:山中
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2012年04月25日

復興とエネルギーと民間ファンド

 被災地復興におけるエネルギー施策と、民間復興ファンドの必要性について書いてみます。

■再生可能エネルギー復興
 再生可能エネルギー買取金額が、1キロワット時あたり税込42円になったと報道されました。予想よりも高価格でした。この事は、被災地復興にも大きく関係します。『スマートシティは、被災地を復興させるか』(http://retz.seesaa.net/article/263464906.html )にも書きましたが、グリーンイノベーションは被災地で始まりつつあります。この4月17日にも、経済産業による「スマートコミュニティ促進事業」の対象地域が選定。会津若松市、気仙沼市、石巻市、釜石市など被災三県から8県が採択されています(http://www.meti.go.jp/press/2012/04/20120417001/20120417001.pdf )。再生可能エネルギーを活用したスマートコミュニティ構築を支援するもので、80.6億円の補助金が措置されているものです。

■インフラファンドの必要性
 ただこの資金は2/3補助であり、初期費用でそれなりの金額の資金を必要とします。買取保証されるとしても、軌道にのるための運転資金が求められます。そこで役に立つのが、インフラファンドです。
 電力、道路、上下水道などのインフラに投資を行い、得られる収益を投資家に配分するインフラファンド。独占性が高いために収益に変動がないことで、長期で安定利回りを確保したい投資家から評価されています。日本でも借金が積み上がる中で期待感が高まっています。しかし、文化施設や庁舎などを建設するのに用い、その後使用・整備にあたっての対価は行政が毎年支払うといった内容が主流。民間へのリスク移転に寄与してはいますが、いまのところ民間のノウハウを活用しているとは言い切れません。

■エネルギー分野での活用へ
 そうした中、エネルギー分野でのファンド活用の期待が集まります。東京都も、4月13日から30億を出資する形でのインフラファンド設立を目指しています(http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20120417/565129/?bpnet )。復興支援の文脈でいえば、東京証券取引所が上場型の復興インフラファンド支援を打ち出しています。丁度、担当の方に話を伺って来ましたので、東証の取組みについて解説しましよう。
 昨年4月時点で出されていた、と東証の対応方針がPDFにまとまっています(
http://www.tse.or.jp/news/09/b7gje6000001h7zj-att/20110415_a.pdf )。特に、右端にある「震災復興に向けた資金調達の寄与する金融商品の上場推進)をご覧下さい。

■東証の復興支援とは
1.復興関連ETFの上場推進。インフラ復興に貢献する上場企業を構成銘柄とするETF(Exchange Traded Fund=上場投資信託)にすることで、間接的ではありますが復旧・復興促進を目指されています。
2.復興関連REIT(不動産投資信託)の上場推進。これから復興公営住宅の建設が進みますが、不動産投資法人の資金調達を支援されています。
3.復興関連新商品の開発支援。ここで、インフラファンドの制度整備を進めることが説明されています。インフラファンドは非上場型が主流とのことですが、東証に上場することで、流動性を担保できますから、投資家が参加しやすいといったメリットがあります。
 復興特区の認定も進みつつありますし、スマートコミュニティ含め様々な復興事業が推進されつつあります。知見を有する企業と、被災自治体の連携はますます重要になります。こうした事業の内実を理解し、企業・行政をサポートすることも、これからの非営利セクターに求められることだと考えます(2012年4月25日)

■参考文献
野村総合研究所『入門インフラファンド』(2010, 東洋経済新報社)
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2012年04月24日

トヨタ財団さんの活動助成と研究助成に注目です(5月1日締切)

震災関連の助成金に関する情報提供をさせて頂きます。
トヨタ財団さんによる、「活動助成」と「研究助成」の2本です。なかなか応用範囲の広い助成内容になっています。5月1日が締切ですが、ぜひみなさんトライしてみて下さい。

■活動助成
 夏助成は上限300万円/件。期間は2012年8月1日〜2013年7月末まで。地域住民が主体となっており、かつ多様なメンバーの参加があることが助成要件です。冬向け助成は、8月に公募があります。
 また地域間連携助成が8月公募で予定されています。こちらは一件1000万/件。同じ課題を抱える地域同士が連携することで、成果が社会に広く波及することが期待されています。
 夏助成と地域間連携助成を同時に進められませんから、どちらに応募するかは判断が必要になります。
http://www.toyotafound.or.jp/program/community.html#kokunai_earthquake

■研究助成
 さらに、今回は「政策助言助成」も行われます。こちらも上限300万円/件。期間は1年または2年間。助成要件は「課題解決型の研究」と「成果の発信」となります。こちら研究助成プログラムの一環となっており、過去の助成事例は学術関係者が中心となっています。ですから、研究者向けなのかなと私も誤解していましたが、担当の方によればむしろ現場を理解している方による「政策提言」に使ってほしい、とのことでした。
 この一年間、現場で活躍したNPO・NGOは、被災地にいるから見えてくる政策課題に気づいているはずです。それを団体内に留めず社会に発信するためにも、こうした機会を活用頂きたいものです。
http://www.toyotafound.or.jp/program/research.html 

■基盤強化の必要性
 活動助成は団体の基盤整備にも使って頂くこともできるとのこと。私も民間団体をやっていて痛感しますが、通常の助成は使用目的が厳密になり、管理コストを見て頂けません。助成金ばかりで運営していると、少しのトラブルが団体運営に致命傷を与えてしまいます。一般寄付を集めるのも一考ですが、かかる時間以上に資金を集められるのは一部でしょう。そうした中、パナソニックさんの組織基盤強化支援(http://panasonic.co.jp/citizenship/pnsf/ )も有難いですし、トヨタ財団さんの助成金のスタンスも有難いものです。(2012年4月24日)
posted by 藤沢烈 at 09:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月23日

全戸調査から見えてきた大槌町の復興


 今回は、大槌町の復興について。不勉強だったのですが、大槌町では震災直後に保健士さんが中心となり全戸家庭訪問が行われたそうです。その貴重なデータを一冊にしたのが『大槌町保健師による全戸家庭訪問と被災地復興』。今年3月に明石書店より出版されています。この調査から見られた大槌町の復興課題について4点整理してみました。他の被災地でも、ほぼ同様の状況があると思います。

■1.からだ
 津波地域での健康課題が大きいのは当然ですが、直接被害のない内陸地域でも受診・服薬が中断するといったトラブルが発生していました。健康に関しては、一見被害が少ない周辺地域も注意して状況把握する必要があります。
 全戸調査によれば、高血圧が大きな課題となっていました。震災前から塩分が多い食習慣の地域だったこともありますが、問題のある方の三分の一は震災前に病歴はなく、震災の影響があります。定期的な健康診断が必要であり、減塩などの健康プロモーションが必要です。また循環器系疾患に対応できるように、大槌病院に入院ベッドを入れるなどの提言がなされています。

■2.こころ
 大槌町は自殺率が県内平均よりも上。震災後は不眠の訴えが多く、成人男性には飲酒量の増加が見られました。
 自殺が懸念されるため、増加に対する保険サービス強化の必要性が訴えられました。また精神科の外来を設置するとともに、保健士による家庭訪問や窓口相談を充実させることが求められています。

■3.人材流出
 大槌町では、震災前から20代人口が極端に減少していました。産業基盤が弱いためです。さらに震災の犠牲と、町外への避難により、半年間で町民は14%減少しています。
 地域差もあります。震災直後、全壊地区と半壊・浸水地区では80%前後が元住所以外へ移動しました。被害なし地区では移動したのは2%程度でしたから、被災度によって大きく差がでたわけです。
 町外に出た人に加え、新たに若い人が流入するためのまちづくり・広報活動が求められています。

■4.コミュニティ形成
 健康調査に加えて、復興に向けた課題についてもグループインタビューが行われました。多くの町民が大槌町を愛しており、自然と共存した美しい街並みを取り戻したいと希望されていました。
 強く求められていたのは、住民が集う場・語り合える場の確保とのことでした。情報を上手に集め、上手に発信することが次に続きます。町民主体の取組みを増やすためにも必要なことです。

■求められる当事者
組織から個人へと、政府政策も変わりつつあると4月18日に書きました(http://retz.seesaa.net/article/265406742.html )。しかし、地域行政はそこまで迅速には変われないものです。まして震災により行政負担MAXですから、新しい取組みを行う余裕はないのです。しかし、被災者目線での復興を実現するためには、個人を起点とする復興計画が求められます。民間側が被災地内外問わず「当事者」として実践することが必要です。(丁度本日書かれていた駒崎さんのブログもお読みください→『書評「当事者の時代」:ポスト311必読の書』 http://komazaki.seesaa.net/article/266240108.html ) (2012年4月23日)

■参考文献
村嶋幸代・鈴木るり子・岡本玲子「大槌町保健師による全戸家庭訪問と被災地復興」(2012,明石書店)
posted by 藤沢烈 at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 街と人の旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月22日

復興と交渉

 昨日(4/21)は、慶応義塾大学主催による「復興リーダー会議」に参加させて頂きました。復興に向けた情報交換や議論を行うもので、NPO・メディア・企業・被災市町村・省庁などから復興にコミットしている方ばかり30人が集結しました。そのほとんどの方から昨年来お世話になっており、改めてRCFは多くの方に支えられていると感じた次第です(http://www1.gsec.keio.ac.jp/text/freepage/index/29/ )。
 セッションでは、田村次朗教授による「交渉学」に関する講義を受けました。交渉という考え方を深く理解し実践することが、復興にこそ求められていると感じました。

■駆け引きではない
 交渉とは、意見の異なり両者が合意形成するプロセスであって、駆け引きのこと。落とし所を探るもの。私もそんなイメージを持っていました。互いの真の利害を発見した上で、新しく創造的な解決案を引き出すこと・・それが交渉とのことでした。
 東北では必要な交渉が行われていないと言えるかもしれません。当たり障りのない集まりや、一方的な通達や批判はあるかもしれませんが。交渉を避けては、利害を乗り越えることはできません。被災地でも、積極的に交渉の場を用意する必要があるのでしょう。

■立場と利害の違いとは
 議論する際に、立場ではなく、あくまで利害に絞って議論した方がよい、との指摘も勉強になりました。例えば原発問題の注目度が高まっています。多くの方は、原発推進派なのか反原発派なのかといったレッテル貼りをし、そのまま思考停止して相手の意見を受け付けられなくなっています。重要なのは、それぞれの立場の方がどんな利害を持っているのか。また利害の調整を進めることにあります。
 復興の現場でも、この違いに注意を払う必要があります。「役所は・・」「住民は・・」「政府は・・」「地域は・・」など、自分が立場で物を語ってしまったら黄信号。立場を離れて、越えるべき利害・論点に注意を払う必要があります。私は民間団体の代表でもあり、復興庁の職員でもあります。そうしたハイブリッドな立場だからこそ、立場を離れることができて好都合です。

■交渉の5ステップ
 利害を乗り越え創造的な解を見つけるためには、次の5つのステップで交渉を進めると良いとのことです。
 1 状況把握
   マトリクスを描き、左側に自分の事情、右側に交渉相手の事情をリストアップすることでまず現状を押さえます。
 2 ミッションの理解
   ここで重要なのは、交渉直後に得られるアウトプットだけでなく、交渉後中長期的に何を得たいかのアウトカムの双方を設定することです。買い物で洋服を3割まけてもらって喜んだけど、結局着なかった・・なんてことを避ける必要があります。
 3 目標設定
   最高目標と最低目標の2つを設定することが重要です。最高目標だけではどこまで目標を下げて良いか不確かですし、最低目標だけだと、両者にとって必ずしも良案ではない「落とし所」に交渉をもっていきかねません。
 4 創造的な選択肢の作成
   ここで、両者の目標にとってベストな選択肢を設定することが重要です
 5 BATNAの設定
   BATNAとはBest Alternative to a Negotiated Agreementのこと。つまり交渉不調時の代替案のことです。これを理解していると、交渉の重要性・価値を理解することができます。

■どうすれば復興に向けた"交渉"が始まるか
 復興において、BATNAが鍵だと感じました。復興計画が各地で進められていますが、住民の理解や合意形成は必ずしも十分とは言えません。何回かの説明会で計画が伝えられるだけであって、住民の中には理解できていない人もいるでしょう。そもそも「交渉」がなされていないわけです。このまま交渉が無い場合のBATNAは何か。その事をもっと立体的に住民が理解することで、交渉すべき論点を見いだせるかもしれません。
 なお、私が田村教授にさせて頂いた質問は次のようなものでした。「被災地ではそもそも交渉が行われていないように思われる。どうすれば関係者が交渉環境に入ることができるのか」。「徹底的にコミュニケーションをして、利害を引き出すことが重要」と先生は仰りました。
 震災から一年。すでに復興に向けて進みつつあります。かわいそうな支援対象として住民を見るのではなく、自律的な一市民として皆さんを捉え、復興計画への参画(=交渉の支援)を支える必要があると考えます。(2012年4月22日)

■参考文献
田村次朗・一色雅彦・隅田浩司『交渉学入門』(2010, 日本経済新聞出版社)
田村次朗『交渉の戦略』(2004, ダイヤモンド社)
posted by 藤沢烈 at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 街と人の旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月21日

県単位で、ソーシャルビジネスに関する連絡会議を

 昨日4月20日に仙台で行われた、内閣府復興支援型地域社会雇用創造事業のキックオフの会に参加させて頂きました。この事業として、今後考えるべき課題を整理します。

■600社起業などの目標は達成できるか?
 まずこの事業ですが、次のウェブページを参照下さい(http://fukkou.chiikisyakai-koyou.jp/outline/ )。2012年度単年で、600名の社会的起業と、2000名の人材育成を図ろうとする内容です。これを実施するのは12の事業者(http://fukkou.chiikisyakai-koyou.jp/pdf/20120308/PDF1.pdf )。私は復興庁の立場としして参加し、簡単な挨拶もさせて頂きました。
 さて、当事業の課題は2つ。一つは、一年でいかに目標数を達成するかです。起業支援でいうと、来年の3月までに600社の会社登記を目指しています。夏前には募集の大勢をかため、年内には起業への道筋をつけていく必要があります。3つの県で起業できる方が十分多いとはいえません。12事業者がエリアとテーマで分担する必要があります。被災地各地と十分に繋がりをもつNPO/社会的起業ネットワークとの連携が必要です。

■県ごとに、ソーシャルビジネス連絡会議を
 いま一つは、一年後の継続です。600社がその後も続き、社員を雇用すること。2000名のインターン経験者が、地域NPOや社会企業の即戦力に育つこと。今回の12のうち7は被災県外の事業者です。5つの事業者も、次年度以降継続支援できる保障はありません。
 2つの課題を解決する上で、各県の連携復興センターの役割は大きいといえます。地元NPO関係者との連携があることから、地域人材や起業ネタを提供できます。また起業後の継続支援も可能です。県単位で、「ソーシャルビジネス/コミュニティビジネス」に関する連絡会議を、連携復興センターなどが開くことも意義深いといえます。
 復興に向けて、被災地はこれから正念場を迎えます。そのために復興事業が組織化され、志ある個人が増えることは成功の鍵になります。そのために、内閣府のこの事業は有効に活用する必要があります。(4月21日)

■参考資料
NHK仙台放送局が当日は取材に入っており、当日夕方のニュースで放映されました。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/sendai/6004487081.html
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住民視点での復興に奔走〜高橋博之さん

 皆さんにご記憶いただきたいと思う人物があり、書いてみます。
 高橋博之さんという岩手の方です。年は私の一つ上の37歳。もともと岩手県議で、昨年の岩手知事選にも挑戦されました。今は浪人として、三陸沿岸部で被災者をお一人お一人訪ね歩かれています。直接お会いしたのは一昨日の4月19日が初めてですが、岩手の友人から噂を伺っていましたし、文章を読ませて頂いて感銘を受けておりました。高橋さんも「『統治』を創造する」をお読みで、個人から政治・行政といった組織を変える必要があるとの私の主張に興味を持って頂いていました。私の方で感銘を受けたポイントは、3つあります。
 1つ目は、個人主体性の重視。ブログ『輝きを失った近代からの決別』(http://blog.hiro-t.com/?eid=1415 )や、震災の三ヶ月後に書かれた『東日本大震災復興計画私案』(http://hiro-t.com/pdf/sian.pdf )を御覧下さい。行政・組織ではなく、被災者・コミュニティ・個人からの政治・復興を志向されている様子がわかると思います。人的・金銭的リソースを国が持たず、地域によって価値観が分断されている中、被災地現場で個々人が議論しながら復興ビジョンを作ること。私も最も重要だと考えています。
 2つ目は、現場主義。徹底的に被災地を歩かれています。発信されるブログ、twitter(https://twitter.com/hirobou0731 )、facebookをみると分かりますが、連日三陸沿岸を歩かれ、被災者と向き合われています。いわて行脚記録(http://maps.google.co.jp/maps/ms?msid=209644327990147729571.0004b421c55d7a00364ec&msa=0 )をみて頂けると、その行程も見える化されています。
 3つ目は、巻き込み力。記者時代の力を活かし、とにかく発信。最近は「どうにかするぞ復興ニッポン運動」を開始。原価2000円・寄付500円の前掛けを会う人会う人に購入させ、「あなたは何を変えたいのか?変えるのか?」とストレートに呼びかけます(http://blog.hiro-t.com/?eid=1424 )。ちなみに、ブログ上にも掲載されていますが私は「同世代をどうにかしたい」と話しました。確実に30代があらゆるセクターで中心を担い始めているにも関わらず、成果が分散的だからです(湯浅さんからは「焦るな」とたしなめられそうですが)。
 「現場目線」「政治と住民の橋渡し」「国と地元の橋渡し」「30代」といった点で、玉川啓さんと同じ感性を感じ、一度近いうちにご紹介したい次第です。いかに「統治を逆回転させるか?」という視点では、西田亮介さんを。脱近代という観点では木戸さんを。民民/官民の縦割りを廃す、との観点では湯浅さんを。現場主義の観点では荒井優を紹介したいところですが、全員一緒は難しいですね笑。皆さんが岩手に寄る時は彼とお会い頂きたいですし、高橋さんが東京に来られる時は可能な限りご紹介したいと思います。(4月21日) 
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2012年04月20日

市町や事業主体を越えた復興事業連携が必要

 仮設住宅に暮らされる方々の悩みをモレがないように受け止め、また外部からの支援を適切につなげる。それらが機能している例として「仮設住宅支援員事業」があります。昨年8月より岩手県大船渡市ではじまり、今年からは大槌町と釜石市にも広がってきました(http://www.rise-tohoku.jp/?p=147 )。昨日(4/19)は、この事業の合同会議が釜石で行われたため、参加してきました。
 3市の事業が合同で会議を行うのは意義深いものがあります。単なるネットワーク会議でなく、実務上のノウハウを本音で共有しあえるのがポイント。大船渡・大槌は共通の事業体(北上市・ジャパンクリエイト)ですが、釜石はアットマークリアスNPOサポートセンターさんが事業主体です。組織を越えて連携しているのは、いわて連携復興センターが繋ぎ役になっている為です。
 被災地には多くの復興事業が展開されていますが、市町と事業主体を越えた連携は稀です。しかし、今回のような事態での復興事業は、皆さん初めての経験なわけです。それぞれが得たノウハウを地域や組織を越えて、伝搬させる必要があります。同じ日本人にも関わらず、組織やセクターを越えた情報共有が少なすぎます。
 私個人としてもそんな問題意識があります。自分が見た好事例や、課題はブログ・SNSを通じて積極的に発信して参ります。(4月20日)
posted by 藤沢烈 at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 街と人の旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月18日

組織から、個人の時代へ 〜政府政策の変化

 個人のために、国は長らく何もしませんでした。個人ではなく、組織にのみ対応してきたわけです。経産省は中小企業。農水省は農協や漁協。国交省は建設業界。文科省は学校。厚労省は病院。といった具合。あくまで組織を通じて個人をサポートするスタンスが確立されていました。

■生産者重視の時代
 そのため、起業家やフリーランス(今風にいえばノマドでしょうか)の支援は不十分ですし、学校から中退すれば教育支援はなくなりますし、各種業界団体に入っていない個人はサポートされません。先日、ある美容業界の方の話しを伺いましたが、業界団体の加盟率は4割程度にも関わらず、加入しているか否かで支援が変わってくるとのことでした。経済成長期であり、生活者(個人)よりも生産者(組織)を重視する時代が続いていたのでしょう。

■官も民も生活者重視へ
 湯浅誠さんもそうですし、最近の若いNPO/社会起業家も、国がなかなか進められない個人への支援を補う役割を果たしています。育て上げネット工藤さんは、定職につけない若者自立支援(http://www.sodateage.net/ )。NEWVERY山本さんは、漫画家の卵支援(http://www.newvery.jp/ )。フローレンス駒崎さんは働く親支援(http://www.florence.or.jp/ )といった具合です。彼らは事業を通じて個人支援を行うだけでなく、政府が個人支援に政策を移しつつある流れにのっとり、様々な形で政策提言も行うようになっています。
 政府も、個人向けの政策を開始しています。内閣府男女共同参画局(http://www.gender.go.jp/ )、共生社会政策(http://www8.cao.go.jp/souki/index.html )あたりで少子化、自殺対策、障害者施策、外国人施策などを扱っています。金融庁も業界保護から預金者保護に。また生活者保護を第一の任務をあげた役所として、2009年に消費者庁が発足しました。

■安倍首相から、湯浅誠さんへ
 歴代内閣の中で、こうした「個人」向けの施策を重視したのは誰か。意外かもしれませんが、安倍晋三内閣でした。彼は「再チャレンジ支援」を小泉内閣の官房長官時代から推進。就任直後の平成18年12月には、「再チャレンジ支援総合プラン」を策定しています(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/saityarenzi/hukusenka/dai2/siryou1_1_2.pdf )。
 経済的困窮者(フリーター、ニート、多重債務者や事業に失敗した人)。機会の均等に恵まれない人(子育て、離職、障害、暴力などの困難)。新たな暮らし方を選ぶ人(新しい人生を選ぶ高齢者。学び直しをしようとする社会人)が対象。省庁の縦割りをこえて、総合的に支援する内容でした。安倍内閣が一年満たず倒れたため、政策はストップ。しかし引き継いだ福田首相は「国民に新たな活力を与え、生活の質を高めるために、これまでの生産者・供給者の立場からつくられた法律、制度、さらには行政や政治を国民本位のものに改めなければなりません」と所信表明演説を行い、2009年の消費者庁設立へとつなげています。政権のごたごたで注目されていませんが、このタイミングで「生産者」から「生活者」へと政策の力点が変化しつつあったわけです。その流れの先に、湯浅誠さんの内閣府参与就任(2009年10月)や、内閣官房社会的包摂推進室の設立があります。

■復興は生活者目線になりえるか
 それまでは、個人の問題はあくまで企業や家庭が解決すべき事柄であり、行政が立ち入るものではありませんでした。ホームレス、自殺、児童虐待、少子高齢化の悪化の中で、行政が家庭や個人に関わりを持つようになったわけです。企業組織の余裕がなくなる中で、個人を支える社会づくりはますます必要になっていくことでしょう。
 ただし、震災復興の文脈ではまだまだ「生活者目線」とは言い切れません。現時点では、地方自治体、教育委員会、漁協・農協、中小企業、業界団体など、既存組織のサポートが政府としても主たる役割です。しかし、最終的には各コミュニティごとの個人的な繋がりが、合意形成を行う上での要点となります。そして被災者に気持ちに寄り添うためにはNPOが有益です。その良さと課題には注意しつつ、NPO、行政、企業の連係事例創出を図っていきたいと考えています。復興庁の岡本統括官も、インフラに限らず被災者個人の生活を重視することや、NPOの役割に理解を示して頂いています。(4月18日)

■参考文献 
岡本全勝「再チャレンジ支援策に見る行政の変化」『地方財務2007年8気号』(ぎょうせい)

※今晩は、田村さんと共に、岡本統括官と一献させて頂きました。4万人の霞が関官僚の中で、実名で10年以上ネット上で発言されているのは全勝さんのみです(twitterやfacebookの登場で少しずつ増えているようですが)。その発言を、ぜひ注目頂きたいと思います(私はiPhoneのホーム画面に登録し、毎日見させて頂いています)
http://homepage3.nifty.com/zenshow/
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2012年04月16日

2020年、日本と東北のかたち


 東北復興を考えるときは、2つのことを考えるようにしています。「現地の皆さんは、どんな生活を望まれているか?」、そして「近い将来、この街はどうなっているのか?」です。
 前にも書きましたが、現地の方々は「創造的復興」を望んでいません。あくまで、元の生活に戻ることを希望されています。もちろん革新的/イノベーティブな取組みも必要でしょうが、全体の中で5%程度そうした動きがあってもよい、程度です。
 被災者に寄り添うだけではわからないのは、将来のまちの姿です。住民要望に答えるままに箱物を作り続けても、10年後の維持費は払えなくなります。望むサービスを実現するために企業を誘致しても、補助金が切れれば企業は撤退します。仮にこれから人口減少が続くとしても、十分安心して住める街づくりをいかに進めるかが重要なのです。
 ということで、東北の10年後、20年後の姿を私は考え続けています。そんな中、復興庁の岡本全勝統括官が書いた論考が参考になりました。地方政府職員むけの雑誌『地方財務』の2008年正月号に寄稿されている「普通の市民が議員、普通の市民が職員」です。全勝さんはここで2020年の日本の姿を、市・道州・中央政府に分けてイメージを整理されています。
 東北復興、さらに言えばこれからの日本の形を考える上で、参考になる刺激的な内容でした。少しまとめてみますが、関心ある方はぜひ原稿をお読みください。

■「市」〜サービス提供者から、連携調整・評価者へ
 人口減少が進み、財政がいよいよ厳しくなる中、市町村の役割と組織はいかに変わるのでしょうか。
 施設と道路を作り、行政サービスを提供するのが、これまでの市町村の役割でした。「景気対策」の名のもとに、必要以上の公共事業を行なってきました。が、効果があがらず、そうしたケインズ政策は小泉政権下で放棄してしまっています。多大な維持費が払えずに、水道や道路などのインフラが危機に瀕していることも、3月31日にNHKスペシャルで取り上げられていました。(http://www.nhk.or.jp/shinsei/ )
 全勝さんは、市がサービス提供者であることは減り、むしろサービスの連携調整役・評価役になっていくと予測しています。施設管理はもとより、様々な行政サービスは民間企業やNPOが担う。行政はそれらを選定し、評価する役目となるわけです。
 市役所の組織も変化します。「公務員」という身分がなくなります。役所で働く人はいますが、彼らは民間企業やNPOの職員であったり、ボランティアだったりする。外から見ても見分けがつきません。地方議員も変わります。普通の会社員や主婦が、仕事を続けながら議員にもなることができるように。会議も、重々しい本会議形式ではなくて、テーマごとの委員会形式となります。
 市町村の統治のありかたも自由化します。首長制を維持するところもありますし、議会が市長を選ぶ議院内閣制を選択する地域も出ます。あるいはシティマネジャーを雇う市も現れます。

■「道州制」〜アジアに経営で対抗する
 全勝さんは、2020年にはすでに道州制に移行する前提をおいています。中央政府でも、市でもない、道州の役割とは何になるでしょうか。
 医療・高等教育・警察・広域の社会資本(下水施設、高速道など)は従来通り求められます。そこに加わるのが、「雇用の創出」。これまでの県は、産業振興といっても、国から命じられるままに農業振興や企業誘致を行なっているだけであって、特色ある産業を生み出すことは出来ていませんでした。しかし道州はそれぞれでシンガポールや韓国並の経済規模を誇るわけです。アジア各国と競い争って、サービス業、観光、医療などで成果を出せるかが問われることになります。
 いまだに県は国の政策を"代行"する、「法令の解釈者」としての役割に留まっていました。これからは、「地域の経営者」になる必要があると、全勝さんは指摘します。

■「中央政府」〜国全体を構想し、世界に貢献する
 市と道州の役割が増していく中、霞が関はよりスリムになります。国の出先機関のほとんどは道州に移管されます。
 さらに全勝さんによれば、これからの行政の役割は「組織」から「個人」を支えるものになるそうです。産業振興や公共事業関係の部門は統合される一方で、国民ひとりひとりの生活を支えるための、国民生活省ができると予測されています。。
 官僚の人事も変わります。省庁ではなく内閣所属になり、各省庁に出向する形態が一般になります。また国際貢献のために、多くの職員は海外に派遣されるとのことです。統治形態も変わります。参議院は道州の代表によって構成されます。衆議院を国政を監視し、参議院は地方の監視役になるわけです。このあたりは、橋下市長をはじめとした地方政党の主張と一致していますね。

■東北の2020年
 全勝さんの予測を東北復興に当てはめればどうなるでしょうか。
 今のところ、被災市町村は土木・建築復旧に力を尽くしています。そのあとは、生活サービスが回復することが求められます。市役所が全て担うことはできません。地元企業やNPOが健全に育ち、市職員と連携しながら公共を支えられるかが鍵となります。
 コミュニティの生業は地域が担いますが、外貨を稼げる中核産業は県がリードする必要があるでしょう。競争力ある産業を、三県が連携しながら育成する必要があります。国は国で、東北復興をバックアップしながら、日本全体の財政と経済を安定させる役割があります。現在は各省庁がかねてから進めていた政策を復活させるために復興機会を捉えているように見えますが、国家単位で政策を見つめなおす必要があるのです。
 市町村、県、国。それぞれが役割を再定義し、民間企業・NPOと連携することができるか。その上で、どれだけ行政職員の行動が変わるか。東北と日本の復興において最も必要なことだと考えます。(4月15日)

■参考文献
岡本全勝「普通の市民が議員、普通の市民が職員」『地方財務2008年1月号』
岡本全勝さんのページでも、ご本人が記事を紹介されています→ http://homepage3.nifty.com/zenshow/page234.html
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2012年04月14日

復興ロードマップを理解し、企業・NPO・行政連携を促進する


 昨日、復興庁から「復興支援に向けた多様な担い手のロードマップ」が公表されました。田村太郎さんが中心となって整理されたものです。セクターを越えて、地域を越えて復興に進むことが、従来以上に重要になっているのが今回の震災復興。その全体像を示した内容として貴重です。田村さんからも直接の発信があるでしょうが、まずは私個人からその概要とポイントを解説してみたいと思います。
概要→http://www.reconstruction.go.jp/topics/01.pdf
内容→http://www.reconstruction.go.jp/topics/02.pdf

■ロードマップの概要
 3年間・5分野にわたり、行政・民間など各セクターにおける復興目標と課題が提示しているのがロードマップの特徴です。市町村やコミュニティ別に議論ができるよう、ワークシートも用意されています。(http://www.reconstruction.go.jp/topics/03.pdf )
 各県や各地域、コミュニティごとに被災・復旧状況や課題は異なります。当然ながら三年間のロードマップも違ってきます。この内容を一つの土台にし、また各市町村の復興計画も参考にしながら、コミュニティごとにロードマップを作ることが求められるわけです。
 さて、分野ごとに要点を整理していきましょう。

■1.被災者生活支援(p5)
 発災直後は避難所、いまは仮設住宅というように、いま目に見える状況の改善に支援が集中する傾向があります。しかし大事なのは、次の環境を予測して備えることです。災害支援のプロセスは定式化されています。例えば来年以降多数の方は復興住宅にうつり、一部の資金的余裕がない方は仮設住宅に残り続けます。これから求められるのは、「仮設後」のコミュニティにいかに繋げていくか、です。
 余談ですが、昨日仮設住宅入居が一年延長されると報道がありました(http://www.kahoku.co.jp/news/2012/04/20120414t71002.htm )。これは喜ぶべき点と難しい点と両面あります。被災者にとっては安心ですが、仮の住居期間が伸びるわけで、コミュニティ再形成や就労支援の観点ではややマイナスです。最終的に住む場所が決まらなければ、人は仕事につきにくいものです。その期間が伸びると、仕事に戻れる人の割合は減っていきます。決まった以上は前向きに捉え、コミュニティ形成を進め、仮設住宅やみなし仮設避難者をいかに受け止めるかを急ぐ必要があります。

■2.遠隔避難者支援(p6)
 県外避難者7万人のケアが求められています。福島からの避難者が多いわけですが、岩手・宮城も津波被害の大きさにより内陸地域などに転出している人は少なくありません。そうした方々への支援のポイントは何か。それは、避難者と、避難元自治体の情報を結んでおくことにあります。阪神大震災でも市外・県外の避難者が96年末段階で5万5千人いましたが、多くの方は見捨てられているという孤立感が強かったそうです。地域に住んでいても「市役所は何もしてくれない」というイメージがあります。市と市民をいかに繋ぐかが課題です。情報通信事業者の役割もあるでしょう。

■3.復興まちづくり(p7)
 世帯ごとに住む場所が与えられるだけでは、町は成り立ちません。喪失したコミュニティを再建することが求められるわけです。そのためのポイントは、「コミュニティ単位」で合意形成を進める点にあります。阪神大震災では神戸市にまちづくり条例が定められていたことが功を奏しました。あちこちで「まちづくり協議会」が設定され、住民がまちの方向性を考えつつ、行政と調整する様子が見られました。
 市町村では、個別コミュニティ・集落の状況を把握することは困難です。旧市町村(小学校区)程度の大きさで復興を考える必要があります。例えば大船渡市は4万人の人口ですが、もともとは1952年昭和の大合併で7つの町・村が一つになり大船渡市に。さらに2001年平成の大合併で三陸町を編入し、いまの範囲に広がっています。3-4千人の10の旧町村で大船渡市は構成されているわけです。それぞれに歴史・産業・文化が異なり、住人もその地域に住み続けています。コミュニティ単位で、かつ住民主体で地域復興を検討する必要があります。

■4.産業再生・就労支援(p8)
 被災地では土木・建築の復旧が急スピートで進みつつあります。しかし、地域産業が復活し、事業再開が図られなければ、地域の再生はありえません。綺麗な防潮堤と建物ばかりのゴーストタウンになりかねません。そこで産業再生が求められるわけですが、「中心市街地」と「漁村コミュニティ」で再生の仕方が異なることに注意が必要です。
 大船渡市を例にとれば、大船渡町・盛町に市街地が展開されており、商業が発達しています。大船渡港にも面しており、工業も栄えています。この地域では、企業が中心となって雇用を支え、その周辺にコミュニティが形成されます。一方で旧・三陸町のエリアは農漁村集落が残る地域。ここでは、まずコミュニティを再建させて地域に生活を取り戻すことが先決。その上で、仕事を分けあいながら暮らしが再開されます。前者は雇用が生まれることでコミュニティが作られる。後者は逆に、コミュニティが再建されることで、生業が成り立ちます。ハローワークだけでは、被災地の雇用を増やすことはできないのです。

■民間・政府の連携事例としてのロードマップ
 このロードマップの成立過程そのものが、新しい取組みとも言えます。概要は民間であり復興庁非常勤も務めている田村太郎さんが設計。その内容をプロパーの公務員の皆さんが整理。また復興庁として承認をえる段階で、ロードマップ上求められる意見を調整(今回は、男女共同参画の観点が付け加えられました)。そして大臣に報告され、正式に発表されています。
 表面的には突然発表されたかのような内容ですが、阪神の経験と、今回の現場の意見、霞が関の調整などが踏まえられた内容になっているわけです。官民、被災地内外をこえて意見をまとめていく新しい流れの一つの産物であり、個人的に感慨深く感じます。もちろん、こうしたロードマップ自体を現地で活かないと意味がないわけで、実践に繋げるべくRCFとしても努力を続けます。(4月14日)

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省庁改革は「国のかたち」を変えたか。そして次の統治改革に必要なこと


 橋下市長が注目されています。彼は個別の政策以上に、統治機構の変革こそが重要だと強調しています。一方で、統治機構の変革は、現代日本でも繰り返し試されてきました。戦後における最大例は、"省庁再編"になるでしょう。この変革の背景・内容・成功理由を理解することで、これから進んでいく統治変革における本質が見えてくるのではないか。今晩はそうしたことを考えてみます。
 参考文献は、『省庁改革の現場からーなぜ再編は進んだか』。当時、省庁再編の現場にどっぷりと入られ、現在は復興庁統括官をされている岡本全勝さんによる一冊です。来週、田村太郎さんと三人で飲む機会があるため読んでいたのですが、期せずして日本の統治機構改革の最大ケースを知ることになったわけです。オススメの一冊です(アマゾンでは7000円になっていますが・・)

■省庁再編1.内閣官房・内閣府強化により政治主導へ
 当時1府22省あった省庁を、1府12省までに半減したことで有名な省庁再編。その奥底の本質を3つ説明したいと思います。「政治主導の強化」「審議会の整理」「民間人の任用」です。
 省庁再編を理解する上で、地方と国の統治機構がいかに違っていたかを理解する必要があります。それは、地方には企画部があるが、国には無かった点にあります。地方では、各セクションでつくられる政策に調整が必要になると、企画部が整理をしていました。それでも調整できない場合は副知事や助役(いまでいう副市長)にあげられ、最終的に首長が判断する決定過程がありました。
 しかし国にはそうしたプロセスは存在していません。各省庁がそれぞれ政策を出し合い、期限ぎりぎりまで競い合う状況だけがあったわけです。こうした状況について、地方は「組織内調整」だけど、国は「組織間調整」だったと岡本さんは書いています。
 この状態は、省庁再編時に改善が目指されました。省庁をこえて最終調整できる機関としてあらためて内閣官房が位置づけられることになります。またこの仕組を助けるために内閣府が設置されます。こうした組織変更にともない、省庁のボトムアップで政策決定なされる状況が変わり、内閣官房・内閣府の助けを通じ政治主導のボトムアップで国を動かすことが実現されたわけです。その効果は、小泉内閣時に最大限発揮されています。
 政治主導とどうじに、官僚による統治機構の象徴が崩されることになります。審議会の削減です。

■省庁再編2.審議会の整理
 国が意思決定をする上で、その正統性はいかに担保されていたのでしょうか。最終的な合意は、議会での承認ですし、その手前には内閣による閣議決定があります。しかし、そもそも閣議に提出される法案がいかに作られてきたかも論点でした。
 官僚が政策をつくるだけでは、正統性は維持できません。そこで当時、多用されていたのが審議会でした。各省庁では、そのテーマごとの有識者による審議会を設定します。その会議での議論をもとに、政策立案の方向性が定められていました。しかし、有識者の選定や、議論のたたき台・進行は官僚が設定。実質的には官僚による統治が機能していたわけです。
 省庁再編時には、審議会の数が211から90に減らされています。とりわけ、基本政策を審議する会は176から29に激減しました。この背景には、各省庁では大臣・副大臣・政務官による政治主導での政策形成を目指されたこと。規制緩和を進める中で、事前調整型から、事後監視型へと政府の関わりを変えることが意識されたわけです。(余談ですが、経済学者の飯田泰之さんが事後監視社会を提唱されていますが、省庁再編時にその思想が進行していたのです)。
 そして組織の変化にとどまらず、働く人材自身も変化することが試みられます。
 
■省庁再編3.民間人の任用
 省庁再編時には、民間人を政府にいれていく取組みも進みました。任期付任用制度は平成12年8月に法案化されます。行政の外部から、五年以内の任期をつけて一般職に採用できることが実現されたわけです。新府省発足時には16人の民間人が採用。大学教授、公認会計士、IT専門家などが任用され、課長級以上になったのも7名に至りました。
 アメリカは政権交代のたびに、多くの民間人が政治任用され政策を展開。イギリスの場合は多数の政治家が政府に入ります。この二つの側面が同時に、省庁再編時に進められたわけです。 

■成功理由は「法案化」「期限」「基本と実施の二分」
 内閣機能の強化。省庁再編。大臣数の削減。局・課の大幅整理。審議会の整理。戦後例のない形で、行政機構を改革することが実現に至りました。なぜ、こうした変化を実現させえたのでしょうか。その理由は、「最終報告」「基本法」「実施法」の3ステップで事を進めたことにあったそうです。
 まずは審議会が、省庁再編に関する方向性を最終報告します。この段階では、政府が改革を進行させる責任を負うことはありません。政権が変わったりすれば、忘れ去られることもあります。そこで、この報告は「基本法」ということで期限つきで法案化されました。政府は法律に従わざるをえない組織です。結果、省庁再編を進めるための組織が設立され、当時の橋本政権が変わってもそれは維持されたわけです。その後、期限内に再編のための実務が進められ、最後には「実施法」が制定されます。ここで再編が現実のものになりました。
 変革のための法案をつくる。期限を決める。基本法と実施法をわける。国の形を変えるためのノウハウがここに詰まっていて、勉強になります。

■国のかたちを変える上で、いま求められていること
 以上のように、省庁再編は一定の成果を成し遂げました。それでは、残された課題は何でしょうか。
 私は、「行政」と「民間」の垣根をなくし、民間人が表に裏に、オンにオフに行政(=社会)にコミットすることだと思います。震災復興にせよ、原発事故にせよ、私たちはどこか他人ごとです。ついつい「国の責任」と口に出し、無意識に自分の責任を回避してしまいます。こうした意識を抜けて、日本社会に起きるひとつひとつが自分たちの問題なのだと自覚できるか。そうした仕組みを作れるかが、これからの課題であるように思うのです。
 省庁再編を進める理由として、その法案に次の言葉が記されています。「国民になお色濃く残る統治客体意識に伴う行政への過度の依存体質に決別し、自律的個人を基礎とし、国民が統治の主体として自ら責任を負う国柄へと転換すること」。この言葉が高らかにうたわれ、それなりに国の変化は実行に至りました。しかし新しい箱はできたものの、民間が国を動かせているとは言えないでしょう。どこか我々が行政や社会に無関心でいることに、問題の根源が潜んでいるように思うのです。
 橋下市長も、「統治機構の変革」「グレート・リセット」を旗印にあげています。政策よりも統治機構を変えること。私も必要だと思います。ただ、そのことには留保条件があります。私達が観客のままでいることなく、当事者になること。その事を抜きにして仮に改革が進められても、依存体質が抜けず、結果社会が動くことはないでしょう。特定のリーダーに期待しすぎず、一人一人が自分の領域で責任を果たせるか。国のかたちを変える上で、これこそが今、求められていると思うのです。(4月13日)

■参考文献
岡本全勝『省庁改革の現場から―なぜ再編は進んだか』(2001)








 






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2012年04月12日

被災者に向けた情報支援の必要性


 昨日は震災13ヶ月目でした。震災から何ヶ月、という表現も聞かれなくなりつつあります。さて、そうした時期にも関わらず、県を離れて避難されている方が依然として7万人強おられます。そうしたみなさんは借り上げ住宅や公営住宅提供など、様々な行政サービスを避難先の自治体から受けています。しかし支援の在り方は県によって異なっており、避難者からみえば分かり難い状況があります。
 そこでRCFメンバーに数日頑張ってもらって、県外避難者支援制度を県ごとに整理してもらいました。PDFでアップしてありますから、必要な方は活用頂ければ嬉しいです。
http://rcf311.com/2012/04/04/fukushima_research/
※なお情報は3月10日時点ですから、必ず現在の状況はホームページを確認したり、各自治体に問合せ下さい。

■各都道府県での、被災者向け借り上げ住宅制度
 PDFのp4を見て頂ければ、北海道から沖縄までの支援制度が分かります。
 「住宅提供が継続されているか」「いつまで継続するか」「福島にかぎらず、宮城・岩手の避難者を受け入れているか」「本人の負担内容」「負担金額」「入居期間」といった項目で、県により方針は異なっています。
 すでに申込受付終了した自治体は多くなりつつありますが、たとえば山形県は継続しています。茨城県は、福島からの避難者に限って継続しています。家賃のみ負担する県もあれば、共益費、駐車場代、仲介手数料も負担している県もあります。期間は一年間と二年間の2パターンあります。おおむね東日本では支援が継続され、西日本は制度がなくなっていますが、宮崎・鹿児島・沖縄では支援が残るなど例外もあります。
 やはり重要な違いは受付期間でしょう。仕事や家庭の事情で福島に留まっていた方が、一年たっていよいよ避難されるタイミングで、すでに受け付け終了になっている自治体が多くなっています。しかし一つの自治体に問合せてダメであったとしても、山形県は受け付けを続けていたりするわけです。
(参考)山形県避難者向け借上げ住宅制度について
http://www.pref.yamagata.jp/ou/kankyoenergy/020072/fukkou/kariage-jyutaku.html
 
■避難者向けの支援内容
 PDFのp8をご覧頂くと、入居後の支援内容について、山形県・新潟県・東京都を例にとった違いを説明しています。住宅、雇用、教育、医療、金融、税金といったトピック別にも支援に違いがみられます。
 雇用に関しては山形県が特徴的。被災者向けの求人情報が掲載されていたり、職業訓練や優先的に内職を提供する仕組みもととのえられています。税金でいえば東京。都税にとどまらず、水道・下水道も減免されます。
 なお、県外避難者ではなく福島県の方向けの内容ですが、放射線に関する健康調査の概要もp9にまとめました。

■行政と民間の連携により被災者に情報提供を
 これまでも繰り返しお伝えしていますが、物資支援や直接のサービス支援は一部をのぞき必要性はなくなりつつあります。重要性が増しているのは、情報支援です。
 多くの被災者の方は日常的にパソコンやスマートフォンを使っているわけではなく、テレビ・新聞と、行政からの広報紙に情報源が絞られています(あとは口コミでしょうか)。失業者、病気の方、県外避難をされたい方など、個人的事情をかかえた方にとっては必要な情報がなかなか入ってこないわけです。
 湯浅誠さんの長年の働きかけもあり、個人的な悩みをワンストップで24時間うけつけられる仕組みもできました(http://279338.jp/ )。しかし悩みが明確になっていなければ電話することも出来ません。コールセンターに加えて、様々な形で情報を届けていく仕組みが必要になるでしょう。
 こと情報に関しては、収集も整理も提供も、民間にできることはまだまだあるように思えます。情報通信に関する起業家のなかには社会的な取組みに関心をもつ方も少なくありません。もっと社会活動とベンチャーの繋がりが生まれるようにすべきと考えています。
 民間と行政がもっと連携しあって、被災者の孤立を防ぐ。そうした取組みを一刻も早くスピードをあげていく必要があります。(4月12日)
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2012年04月09日

スマートシティは、被災地を復興させるか


 スマートシティとは、情報通信/エネルギー技術を用いた持続可能な地域社会システムのことです。2010年から注目されていましたが、震災による地域社会の破壊や、原子力エネルギーの信頼喪失で、このコンセプトは新たな局面をむかえつつあります。被災地復興においても、くりかえし出てくるキーワードであり、少しまとめて勉強しました。(定義→ http://www.blwisdom.com/word/key/001434.html )
 ITによる社会変革、地域コミュニティの将来像、次世代エネルギー、環境、震災復興からオープンガバメントにも関係します。こうした分野に関心を持つ人には理解いただきたいわけです。震災によって、スマートシティの概念はいかに変化しつつあり、また進展するかについて整理してみます。

■スマートシティによる6つの社会分野変革
 スマートシティが成立する前提として、スマートグリッド技術の進展が必要となります。スマートグリッドとは、簡単に言えば電力と通信の統合のことです。スマートメーターは聞いたことがあるでしょうか。生活や仕事のあらゆる場面で電気が使われていますが、使用電力量を設備・機械ごとに計測し、ネットに繋ぐための装置です。これにより電気の使用状況を見える化でき、またネットを通じて個々人がコントロールできるようになります。
 この技術を応用し、環境に配慮する形でマネジメントされる都市・地域を創りだそうとするのがスマートシティです。そもそもは2008年、米IBMが「スマータープラネット」という概念を掲げたのが発端でした(http://www-06.ibm.com/innovation/jp/smarterplanet/ )。
 スマートシティでは、6つの社会分野の変革が期待されています。1安心・安全。2エネルギー。3.ヘルスケア/医療。4交通。5行政。6教育です。通信技術によって、石油に頼らない持続可能なエネルギーを確保。その上で地域に情報環境を張り巡らせ、快適な生活空間を生み出すことを目指しています。

■国内スマートシティの歴史
 さて、こうしたスマートシティ政策がいかに日本で進んできたかを整理しましょう。開始は2008年。政府は「環境モデル都市構想」を打ち出し、北九州市、横浜市など13都市を選定します(http://ecomodelproject.go.jp/ )。つづいて経済産業省が「次世代エネルギー・社会システム協議会」を設置。省内でスマートグリッド、スマートシティに関する検討を行います(http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004633/index.html )
 2009年の鳩山内閣誕生はこうした政策を後押しします。当時の鳩山首相がCO2の25%削減を国際公約したことも受け、2010年の新成長戦略では、「グリーンイノベーション」が七つの成長分野の筆頭に挙げられ、50兆円の需要創造・140万人の雇用創造を生むと目されました。(http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/senryaku_point.pdf )
 その後も2010年、総合特区制度ではスマートシティ推進に向けたアイデアが公募され、278団体から450のアイデアが寄せられました。また新成長戦略に基づき、環境未来都市という国家戦略プロジェクトが開始されています(http://futurecity.rro.go.jp/about/ )。

■震災により加速するスマートシティ
 このタイミングで発生したのが東日本大震災です。そのことにより、内容面と政策面の変化が置きつつあります。キーワードは「レジリエンス」。日本語でいえば「適応力」となります。災害によって地域がダメージを受けても、スピーディに復旧できる力が求められることになりました。スマートシティを考えるにあたって、快適さや環境配慮以上に、都市機能の持続性や回復力が求められることになったわけです。
 震災復興への比重強化に、スマートシティ政策も影響を受けます。環境未来都市の選定にあたって被災地域であるかが考慮。結果として11件のうち、6件は被災地から選ばれています。(http://futurecity.rro.go.jp/boshu/sentei/ )

■スマートシティは、被災地を復興させるか
 以上、国内でのスマートシティ展開についてまとめました。
 震災復興において、現在被災自治体で動いているプロジェクトは土木・建築系ばかり。医療・交通・教育といったソフト面での地域づくりは進みが遅い状況があります。スマートシティはそうしたソフトを補う側面があることに期待しています。「次世代エネルギー」「情報ネットワーク」という大文字が被災地の実情とかけ離れていますから、東北には現実的でないと考える人も多いでしょう。とはいえ、釜石市や大船渡市や南相馬市がプランを練った事実も軽くはありません。ソフト面での地域づくりの推進根拠として活用したいと考えています。(4月9日)

■参考文献
気仙広域環境未来都市(大船渡市・陸前高田市・住田町) http://futurecity.rro.go.jp/teiansyo/kesen-koiki_sankou.pdf
環境未来都市構想(釜石市) http://futurecity.rro.go.jp/teiansyo/kamaishi_sankou2.pdf
岡村久和「スマートシティ」(2011)
エネルギーフォーラム「「スマート革命」の衝撃」(2010)
村上憲郎・福井エドワード「「スマート日本」宣言」(2011)
「編集長が語る スマートグリッド産業のすべて」(2011)
posted by 藤沢烈 at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月07日

地域密着により、水産加工業復活を


 今晩は水産加工業について。3月28日のブログ「水産加工業からはじまる東北復興」(http://retz.seesaa.net/article/258360237.html )にて、水産加工業の復活が被災地においていかに重要か。そのために、事業者が経営計画を修正する必要性を整理しました。しかし、92年の4.5兆円から、2008年には3.4兆円にまで緩やかに落ち込んでいたのが日本の水産加工業。個々の取組みだけでは限界があるのも事実です。(財)東京水産振興会によるレポート「構造再編下の水産加工業の現状と課題」をベースに、地域単位での復興の在り方について考えていきます。

■国内水産加工業の現状
 水産加工業は、地域の水産物を原料とすることで、動物性タンパク質を供給。また水揚げ量と消費のアンバランスを調整し、価格調整する役割を果たしてきました。
 しかし水産加工品生産量は、近年は毎年10万トン単位で減少中。製造出荷額は最盛期(1992年)から1兆円減少。事業所も12000社から8千社を切っています。気仙沼は1992年〜99年まで600億円を超えていましたが、震災前にすでに400億円にまで落ち込んでいました。その背景には、水産資源減少によって原料調達が厳しくなってきたこと。また量販店や外食チェーン主導の価格形成が進んでいることがあげられます。
 そうした環境変化の最中に、泣きっ面に蜂のように東日本大震災が発生したわけです。

■地域一体となって、原料調達を図る
 東京水産振興会が調査した事例を紹介しつつ、今後の復興に向けたポイントを整理してみたいと思います。まずは、原料調達の安定化をこころみたケースです。
1.石巻・塩釜・仙台。かまぼこに代表される、ねり製品が主力産品となります。従来はアメリカのスケトウダラを原料としていましたが、価格が高騰。その後北海道すり身に切り替えたものの、価格の割に質が高くありませんでした。そのため、現在は中国・タイ・韓国・インドなど南洋のすり身調達に移行し安定を図っています。
2.気仙沼。「タンク取り」という手法の導入により、一日のカツオ取扱い料は300トンから1000トンに向上しました。そのことで、外来船の誘致を促進することができ、結果として原料調達の安定化を実現できています。
3.静岡。「静岡県うなぎ加工業者連絡協議会」を2002年に設立。減少するうなぎ原料を融通しあえる体制の構築を図りました。
 いずれも個社単位では解決できない取組み。地域としてブランド確立を図る意思のあることがうかがえます。

■地域一丸となって、加工・販売を革新する
 続いて、加工・販売についての先進事例。やはり地域が一体となった改革を実現しています
1.気仙沼。HACCP(食品に潜む安全上のリスク要因を分析・除去する手法)を地域で導入。独自基準を策定しながら、衛生環境を背景としたブランド化を進めています。その事で海外輸出も強化しました。
2.長崎県。水産加工業界と行政が連携し、品質に関する独自基準を設定。「平成長崎俵物」のブランド確立を目指しています。
3.茨城県大洗町。「海山いきいき直売センター」で鮮魚と加工品を販売。アクアワールド大洗、大洗リゾートアウトレットでの販売も強化。観光と水産加工業を結合させています。
4.沼津。年間400万人の観光客をターゲットに。土産物店への卸売活動を強化することはもとより、土産物市場に参入する水産加工業者も現れています。

■地域と個社の取組みを両立する
 「原料調達」「漁業物との連携」「衛生環境整備」「観光との連動」「ブランド化」。いずれをとっても、一事業者ではなく、地域単位での取組みが求められます。実は、震災前まで、東北の水産加工業者は必ずしも連携は取られていませんでした。今回の災害を契機に、加工業者、漁業者、販路、行政などが一体となって復興にむけて取り組めるか。地域密着できるかが、最大のポイントになっています。
 市町村単位での連携と、個社ごとの計画策定。その二つを同時に達成できないか、RCFの水産業チームも日夜検討を続けています。(4月7日)

■参考資料
みなと新聞「北から南水産加工業GUIDE2011」(2011)
東京水産振興会「構造再編下の水産加工業の現状と課題―平成21年度事業報告」(2010)
http://www.suisan-shinkou.or.jp/promotion/pdf/report_2009_1.pdf
東京水産振興会「構造再編下の水産加工業の現状と課題―平成22年度事業報告」(2011)
http://www.suisan-shinkou.or.jp/promotion/pdf/report_2010_1.pdf
(全文PDF化されていますから、関心ある方はご一読下さい)

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2012年04月06日

若手世代が持つべき社会的責任とは何か〜湯浅誠辞任記より

「ノマドと結社の共通点」と題し、前回のブログでは若手世代と当事者性について書きました。(http://retz.seesaa.net/article/262108116.html )。ここで、当事者になった我々は、複雑な調整の現場に関わらざるをえないとまとめています。
 ただ間違えていけないのは、当事者とは「中の人」ではない、ということです。代議士、国家公務員、ベンチャー経営者、NPO職員といった肩書きを持つことが、当事者になることではありません。当事者であると自覚したこの瞬間から、調整を試みる必要があるわけです。そんなことを、湯浅誠さんの内閣府参与辞任記(http://yuasamakoto.blogspot.jp/2012/03/blog-post_07.html )をもとに考えてみます。

■小さすぎる政府
 湯浅さんの記事を紹介していきます。個人による社会への関わり方と、社会そのものを理解する上で重要な論点ばかりです。
『日本ほどの「小さすぎる政府」で世界一の高齢社会をやりくりしているような現状にあっては、(財源を)どこから持ってくるにしても、取られたところで深刻な生活課題を惹き起こす可能性が少なくありません。総じて、弱い者同士で限られたパイを奪い合う、という結果にもなりかねません』『公共サービスを設計・運営するのが公務員という当たり前のことが忘れられて、公務員批判が自己目的化しているような危機感を抱きます。(略)私は公務員を盲目的に擁護はしませんが、盲目的な公務員批判には反対です。それは結局、公共サービスを劣化させてしまうからです』

 日本は既に小さな政府だとの認識に共感します。新しい施策を行うことは、別の取組みをストップする事を意味するわけで、現実は「弱者間のパイ奪い合い」となっているわけです。実際、震災復興支援を行うNPO間での財源の奪い合いや、東北以外や海外の支援団体から悲鳴(湯浅さんの言葉でいえば"怨嗟")が聞こえています。社会問題の領域間で縄張りが生まれつつあります。

■自己責任論という、社会的無責任
 公務員批判にも、同じ構図が見えます。公務員は公共のために存在していますし、ほとんどの行政マンは献身的です。しかしカッコつきの"公務員"を敵と見なし、彼らを批判・削減することが社会のためと錯覚しているのが今の日本社会。その原因は何か。湯浅さんは、社会的無責任(=自己責任論)というキーワードから説明されています。自己責任という言葉の問題点について、改めて気付かされます。
『 私が巷の自己責任論にもっとも不満だったのは、それが社会の構成員としての、市民としての、主権者としての自覚を伴わない物言いだという点にありました。誰かを排除する社会に住みながら、自分もその構成員の一人でありながら、その自己に対する責任の自覚なく、自分とは関係ない誰か、とりわけ排除を受けている誰かの責任に帰して、自分は無関係だと考えるその無責任さに腹が立っていました。その意味で、いわゆる自己責任論は社会的無責任論であり、私が「貧困は自己責任ではない」という言葉で訴えていたのは、「本人の人生には一点の曇りもありません」ということではなく、「貧困は社会的無責任論では解決しない」ということでした』

 ここでようやく、「ニッポンのジレンマ」と湯浅誠さんの言葉が接続されます。あの番組の出演者達は当事者性を持っている、と前回書きました。いいかえれば、「社会的責任」を個人の立場から果たそうとされているわけです。

■民間こそ縦割り
 湯浅誠さんはさらに、政府・民間・個人それぞれの立場から何に取り組むべきかも示唆しています。
『医者が過労で倒れ、介護ヘルパーは低賃金でどんどん辞め、低年金・無年金で生活できない人が増え、非正規が増えているにもかかわらず、まともなセーフティネットが生活保護以外になく、本人や家族が課題を抱え込んで煮詰まり疲弊して残念な事件が頻発し、自殺も減らず、社会に閉塞感が蔓延している現状を少しでも変えるために、せめて小さな政府になるくらいの税と財政規模を確保しませんか、と言っているにすぎません』
『私は、解決すべき課題があるときに、それを誰かの責任にすることで自分は免責されるとする思考が嫌いです。(略) 私は基本的に民間団体の人間です。だから、民間の人たちは、行政の縦割りの弊害を指摘する以上に、自分たちの縦割りの問題に敏感であるべきと思います。縦割りの弊害打破は、行政とともに民間の課題です。そしてどちらが先にその弊害を打破できるか、競争のようなものだと感じています』

 湯浅さんは年越し派遣村村長として有名になった方ですから、一般には「左翼」「大きな政府論者」として括られていると思います。しかし湯浅さんは自分のことを「小さな政府論者」だと述懐しています。この巨大で問題を抱えた日本社会を支えるのに行政は十分とは言えません。もちろん変化は必要ですが、無闇な削減を是とせず、少なくとも「Aは減らすが、Bは増やすべき」とあわせた主張が必要になります。
 「民間の縦割り」も重要なキーワードです。自覚がないだけ、行政の縦割りよりも問題の根は深いといえます。震災復興で例を出しましょう。支援NPOは各市町村に入っていますし、産業復興・教育・医療などあらゆるテーマで活動しています。しかし、エリアやテーマを越えた連携は十分ではありません。特定地域や課題に集中している一方で、その隣町で起きている問題は見過ごされています。

■当事者としての自覚
 そして、個人も"当事者"であるべきだと、湯浅さんは主張しています。
『政府の中にいようが外にいようが自分は調整の当事者であり、「政府やマスコミが悪い」と批判するだけでは済まない。調整の一環として相手に働きかけたが結果が出ない―それは相手の無理解を変えられなかった自分の力不足の結果でもあり、工夫が足りなかったということです』

 当事者になる=政府の内側に入ることだと、我々は思いがちです。しかし湯浅さんは否定します。政府の中にいるのも外にいるのも関係ない。むしろ、自分が当事者であることを自覚し、膨大な調整作業に加わることが必要なのだと語られています。
 政治や被災地の中の人達を、観客として接していないでしょうか。電気を使用している以上、東京に住んでいる我々も福島原発の利害関係者となります。しかし、原発事故を「国」や「東電」の責任にして安心してはいないでしょうか。

■若手世代は、膨大な調整作業を乗り越えられるか
 「ニッポンのジレンマ」で見られるように、若い世代は当事者意識を持ちつつあります。それゆえにこれからは一個人・一組織に逃げ込むことはできず、調整の当事者として複雑な状況に絡め取られることになります。
しかし、若い世代は明るさをもって、ゆるやかな繋がりを武器にしながら、乗り越えることができる。そんなやや楽観的な展望を私は持ってもいます。
 湯浅さんは、「八の会」という、30-40代の"当事者"の集まりを開催されるそうです。私も参加させて頂くのですが、湯浅さんのこれからについて尋ねてみたいと思います。彼にとっての新しい調整をスタートされているでしょうから。(4月6日)

■参考文献
「内閣府参与辞任について」(湯浅誠からのお知らせ) http://yuasamakoto.blogspot.jp/2012/03/blog-post_07.html


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2012年04月03日

ノマドと結社の共通点 〜「ニッポンのジレンマ」第二弾より

「若手リーダーにみる当事者性」との題で、「ニッポンのジレンマ」第一回について前回ブログを書きました。(http://retz.seesaa.net/article/261493137.html)。メディアに踊らされることなく、自ら動き情報を取り判断する"当事者意識をもった"若手世代について、そこで言及しました。書いたその日の晩には、番組の第二回が放映されています。内容については、厚生労働省・千正康裕さんによるまとめをぜひご覧下さい(http://ameblo.jp/senshoyasuhiro/entry-11210759577.html)

■既存組織アンチテーゼという共通点
 番組を見た方には、議論が「散漫」「抽象的」に見えたかもしれません。しかし私は違う印象です。20-30代がまさに当事者性をもって動き始めたと感じたのです。
 それは番組の中では真逆に見えた、安藤美冬さんと瀧本哲史さんの言葉に象徴されます。安藤さんのキーワードは「ノマド」。「組織に所属している企業人は空気を読んで後ろ向きになる」として、空気を作る人としてのノマドの重要性を提唱されていました。瀧本さんは「結社」。アイデアだけでは変化は起きない。見えない結社を作る必要があると言われています。個人と組織。二人の言葉は対極に見えますが(見た目も対極)、実は既存組織のアンチテーゼを投げかけて、自分の言葉で動こうとしている点に共通点を感じるのです。
 「ダメ出し」から「ポジ出し」、「意思決定だけでなくアクション」といったキーワードもありました。政治や企業に期待するのでなく、今ここにいる自分自身から動こうとしている様子が、番組からじわじわ伝わってきたように思います。

■政治の内側に入るその時に
 さて、千正康裕さんは、「ニッポンのジレンマに欠けていたもの」とのタイトルのブログも上げています。( http://ameblo.jp/senshoyasuhiro/entry-11211710407.html )
 番組では「政策の供給側の視点」が欠けていたとし、政策に関する情報収集コストを下げ、一般にオープンにすべき、と主張されています。経済成長時代は、新しい政策をどんどん打ち出せました。そんな時は、需要側(陳情する住民)のニーズを聞き続ければよかった。しかし低成長時代では、既存の制度を減らしつつける必要が出ます。こんな時には、供給側(政治家・官僚)の意思決定をサポートすることが求められるそうです。その為、政策決定プロセスを可視化し、まともな判断がなされるように促す必要があるわけです。
 「"当事者としてのジレンマ"を乗り越えることが課題」。私は前回のブログでそのように書きました。ノマドと結社の後、我々は近々、政治の内側に入っていくことになります。需要から供給の人になるわけです。その時我々は、その内側には権力も陰謀も何もなくて、膨大で複雑な調整作業の現場があることを知るわけです。
 そんなジレンマのことを綴ったのが、我々より一足早く内側に入った湯浅誠さんです。彼の言葉について、次回(こそ)書きたいと思います。(了)
posted by 藤沢烈 at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 街と人の旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする