2016年05月31日

一新塾への登壇 (5月31日)

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一新塾の講演にて。

 もう二週間前になりますが、一新塾に登壇しました。一新塾は大前研一さんが設立した政策学校で、政治家や社会起業家を養成することを目的としています。私が大学生のころに設立されていて(1994年)、当時から注目されていましたし、千葉市の熊谷市長や、横須賀市の吉田市長も通った経験があるように、我々世代における松下政経塾のような役割を果たしています。20年前から「いつか登壇したい」と思っていましたから、一つの目標が果たせたようで、感慨深いひと時でした。

※1 一新塾講師に、一般社団法人RCF代表理事の藤沢烈さん
http://shiminproject.isshinjuku.info/?eid=1427891

[読書]『カーニヴァル化する社会』(鈴木謙介,2005)〜1701旅
「 監視社会を支えるのは、監視とそれにまつわる権力の集中ではなく、監視そのものの遍在である。そしてそのことによって、これまでとは異なった種類の問題が私たちの社会に生じる可能性がある」
「依存症者がアルコール依存を強める背景には、依存症者と家族との関係が強く影響していることが明らかになってきた。つまり、依存症を抱えた夫に対し、一見献身的に尽くしているように見える妻が、夫の依存状態を後押ししているのだということだ」

 「ハレとケ」という言葉があるように、本来日常生活と祭りは分けられていました。しかし「2ちゃんねる」に代表されているように、日常生活が祭化しつつある・・・そんなネット社会の特性を10年前に喝破した一冊です。instagramやsnapchatが使われているように、この傾向はさらに強まっていそうです。
 私自身は東北復興や熊本復興を仕事にしていますが、そこで感じるのは「社会のアリーナ化」。問題はそこにあるのに、それをネタとして消費する人ばかりがいる現実。問題は深まるばかりです。
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2016年05月30日

コールマンと熊本。(5月30日)

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コールマンによる熊本支援。

 神宮外苑を歩いていると、アウトドア用品メーカーのコールマン社が野外イベントを行っていました。コールマンは熊本地震でも多くの緊急支援をして下さっています。例えば益城町では、登山家の野口健さんと組んで、テント村を設置。100張のテントが、お子さんやペットを連れていて、避難所に入りづらかった被災家族にとっての安らぎの場所となりました。

[読書]『How Google Works』(エリック・シュミット,2014)〜1700旅
「ジェフ・ベゾスの言うとおりだ。『古い世界では持てる時間の三〇%を優れたプロダクトの開発に、七〇%をそれがどれほどすばらしいプロダクトか吹聴してまわるのに充てていた。それが新たな世界では逆転した』」
『ビル・キャンベルは、アップルの人事部門責任者だったデビー・ビオンドリロの言葉をよく引用する。「マネジャーは肩書がつくる。リーダーはまわりの人間がつくる」』
『グーグルは自らのプラットフォームを使い、二〇〇八年に数千人の旅行客が足止めされた中国の雪害から、二〇一一年の東日本大震災と大津波まで、さまざまな自然災害の被災者の支援に尽力してきた。それぞれの災害において、グーグルの社員は過去の経験を踏まえ、グーグルプロダクトを使って被災者を支援する新たな方法を編み出してきた。そうした活動に対して、ほとんどの社員が一セントの報酬も受け取ってはいない。仕事そのものが彼らの意欲をかきたてるのだ』

 おととし話題になった、エリックシュミットによる、グーグルによる「新しい働き方」についての一冊です。販売(セールス)よりも、社会を変えるための製品(プロダクト)づくりが重要になってきたことを示唆。グーグルと復興支援でご一緒した時も、そうした哲学を実感したものです。一方、東北沿岸の水産業では、「"つくる"よりも"売る"」ことが重要だったりします。顧客が望んでいる製品づくりを徹底する、ということなのでしょうね。

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2016年05月29日

官僚がNPOに出向することの意味。(5月29日)

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官民協働ネットワークCrossoverとのイベントにて。

 昨日は、Crossover、クロスフィールズ、そして新公益連盟によるイベント。Crosoverは二人の国家公務員が立ち上げた官民ネットワーク。今回は、官僚がNPOに出向する流れを作っていこう、という目的のために開かれました。土曜日でしたが、100人が参加。私はパネルトークに出たのと、人材募集を行うNPOの一つとしてプレゼン。強い関心を感じました。
 ETICが国家公務員向けに3年目研修を行って9年になりますし、私もこの3年、企業・NPO・行政の連携についての講演を官僚向けに行っています(次回は6月8日)。国側のNPOへの認識は着実に広がっています。
 質問でも答えましたが、行政や企業からの期待・関心の一方で、NPO側の力量を高めていく必要があるように感じています。復興や地方創生の現場ではNPOへの様々な施策が用意されています。しかし事業があっても、民間企業が受託していくばかりで、仕事を引き受けられるNPOが限られているのです。プロフェッショナル型のNPOをいかに増やすか。新公益連盟を立ち上げた背景の一つです。
 RCFでも、NPO側にたって事業を進められる行政/企業出身者を、常に求めています。関心がある人はRCFの採用サイトをご覧ください。→http://rcf311.com/recruit/

□『私の中のあなた』(2009)[映画]〜1699旅
 Amazonプライム会員なので、プライム・ビデオを時々見ています。結構いい映画も手軽に見ることができますが、こちらもその中の一つ。娘を持つ身として、涙なしで見ることはできませんでした・・。白血病の姉に臓器を提供するために生まれた次女アナが、腎臓提供を拒否するために両親を相手に訴訟を起こす、という物語。原題は"My Sister's Keeper"とストレートなのですが、邦題がとにかく素晴らしい。「アナ」にも掛けているように、白血病の姉の中で生きる妹(臓器)だと思わせながら、物語が進む中で、それが真逆なのだと分かるわけです。テーマが重そう・・と避けずに、ぜひ見て頂きたい一本です。

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2016年05月28日

広島と福島、熊本。(5月28日)

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半年前に訪れた、原爆死没者慰霊碑

 オバマ大統領が歴史的演説を広島で行った頃、私は、福島の人材支援についての打ち合わせの最中でした。リアルタイムで聞くことは出来ませんでしたが、大統領の最後のこの言葉に、胸を詰まらせざるを得ませんでした。
「世界はこの広島によって一変しました。しかし今日、広島の子供達は平和な日々を生きています。なんと貴重なことでしょうか。この生活は、守る価値があります。それを全ての子供達に広げていく必要があります。この未来こそ、私たちが選択する未来です。未来において広島と長崎は、核戦争の夜明けではなく、私たちの道義的な目覚めの地として知られることでしょう」
The world was forever changed here, but today the children of this city will go through their day in peace. What a precious thing that is. It is worth protecting and then extending to every child.
That is a future we can choose, a future in which Hiroshima and Nagasaki are known not as the dawn of atomic warfare, but as the start of our own moral awakening.

 昨日は別に、キリンさんや、ジャーナリストの堀潤さんと熊本支援についての打ち合わせも行いました。私の視野はどうしても、関わっている地域に留まります。ですが、福島や熊本の未来につながるよう、心をこめて今の仕事を続けたいと思います。
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2016年05月27日

政策形成と検証について。(5月27日)

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福島からはじめよう。

 今日は福島出張。被災12市町村の事業者むけに人材支援を行うための取り組みのキックオフでした。一年越しで関わってきた大型のプロジェクト。6月上旬には、事業内容を公表できると思います。
 昼過ぎにはとんぼ返りし、夜には昨日行われた小委員会の懇親会。代議士の皆さんから、現場からみてどの政策が効果的であったかを尋ねる質問がありました。政治家は政策形成や、事業執行を目にする機会が多いと思いますが、いかなる成果があがったのかを比較検証する機会は多くないのでしょう。そういえば、先日も経済産業省の方と話した時、「うちは事業を確保するまでに興味をもつ人が多くて、その後の執行段階に関わろうとする人は少ないのです」何て話もされていました。

□『「学力」の経済学』(中室牧子,2015)〜1698旅
「子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要です。そうすることによって、さらなる努力を引き出し、難しいことでも挑戦しようとする子どもに育つというのがこの研究から得られた知見です」
「 文部科学省の調査によると、家計が大学卒業までに負担する平均的な教育費は、幼稚園から大学まですべて国公立の場合でも約1000万円、すべて私立の場合では約2300万円に上ります。日本政策金融公庫の調査では、子どもがいる家庭は、なんと年収の約40%をも教育費に使っているそうです」

 エビデンスベースで教育を捉えることを訴えて、2015年にベストセラーになった一冊です。著者の中室先生はその後も政府委員会でも活躍していて、今週発表された日本財団による子どもの貧困対策でも効果検証のリードをされます。私は昨年のG1U40(もう40歳になってしまったので今年は行けない・・)で、中室先生と同じパネルディスカッションに登壇。説得力ある論理に、会場の政治家や経済人も舌を巻いていました。本書でも、幼児教育の重要性や、教育費が若い世代に大きな負担になっていることが取り上げられています。中室先生のような実証的な提言によって、若手世代への社会保障のあり方が顕在化しつつあります。

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2016年05月26日

子育て支援は成長戦略である。(5月26日)

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2020年以降の経済財政構想小委員会にて。

 自民党の若手議員による小委員会にオブザーバーとして参加しています(※1)。小泉進次郎議員が事務局長を務め、社会保障改革を念頭に労働、教育、保育、医療福祉といった分野で横断的に議論を進めています。私は提言作成等で貢献しています。
 12月末まで続くこの会合ですが、今日で前半戦は終了となりました。最後のゲストは、駒崎弘樹さん。「子育て支援は成長戦略である」ということで、保育・子育て分野の政策提言についてプレゼンテーション頂きました。
 保育・労働・社会保障はそれぞれ切り離せない政策ですが、別々に議論が進み全体最適が図れないことが多いのです。この小委員会では統合的に議論が交わされている点がユニークです。

※1 財政再建特命委員会2020年以降の経済財政構想小委員会(自民党)
https://www.jimin.jp/news/policy/131960.html

 
■『保育園義務教育化』(古市憲寿,2015)〜1697旅
「実は子どもを教育するなら早ければ早いほうがいいということが明らかになっている。乳幼児期の教育は、子どもの学習意欲を高め、結果的にその後の進学率や平均所得を高めるという研究が多く発表されている」
「貧しい家に生まれた子どものほうが「テストでよい点数がとれないとくやしい」と感じる割合が少なかった。貧しい家の子どものほうが、「意欲」という「非認知能力」が身についていないのだ」

 古市さんによる、保育園を義務教育化するという私案についての一冊です。昨日の駒崎さんのプレゼンでも、幼児教育の投資対効果の高さが強調されていました。子育て政策における予算の必要性は、どうやら社会的同意が得られつつあるように思います。その反対側の、どの予算を抑えていくのかが、中心議論になるのでしょう。

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2016年05月25日

6月3日に、熊本地震報告会が支援企業向けに開催です。

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益城町災害ボランティアセンターにて。

 日本財団さんが、6月3日に熊本地震に関する報告会を東京で開催します。報道でもあるように、熊本地震は中越地震並の規模であるにも関わらず、ゴールデンウィークを小さなピークとしてボランティアはじめ支援は減り続けています。あらためて、企業の皆様に現地の状況を知って頂き、様々な支援を考えて頂ければと思います。
 企業向けの報告会ではありますが、個人の方も参加頂くことができます。関心ある方はぜひお越しください。
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≪説明会概要≫

1.開催日時:平成28年6月3日(金) 15時〜17時(受付開始:14時30分)
2.開催場所:日本財団 1階イベントスペース「バウルーム」 
          (東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル)
       http://www.nippon-foundation.or.jp/who/about/access/ 

3.実施内容(予定)
 (1) 現地活動報告と今後の取組について(熊本県庁、日本財団、現地で活動する団体等)
 (2) 個別相談会(日本財団)

4.お申込み[6月1日(水)12時まで]
 会場準備の関係から事前のお申込みをお願いします。メールでお申込みください。

【送信先】kumamoto@ps.nippon-foundation.or.jp (日本財団 熊本支援事務局)
【件 名】「熊本地震に関する企業向け説明会 参加申込(●●※企業様名)」
【本 文】※A〜Dは参加される方全員分お願いします。
  @貴社名
  A参加者氏名
  Bご所属
  C電話番号
  Dメールアドレス

≪お問い合わせ≫
 日本財団 ソーシャルイノベーション推進チーム(担当:石川、橋本)
 TEL:03-6229-5282(当日:03-6229-5477)
 Mail:kumamoto@ps.nippon-foundation.or.jp

□[読書] 『被災大学は何をしてきたか 福島大、岩手大、東北大の光と影』(中井浩一,2014)★4, 1696旅
「秋冨が『ナインデイズ』の出版に協力したのは、岩手県庁職員や被災自治体に対するマスコミの行政叩きに憤慨したからだったという。 「本当のヒーローは、あの現場で一生懸命頑張っていた被災者自身であり、自分たちではないことを対策本部のみんなは理解していた。ただ県庁は何もしていないという非難があった時に、命がけで頑張っていた対策本部の人たちがその非難に耐えているのを見て、何かがおかしいと感じました」

 被災三県の国立大学は、震災においてどんな役割を果たしたのか。教員と組織がいかに葛藤し、いかに活躍したかが、540頁にもなる大作の中で余すことなく書かれています。復興関係者には必読といえる本です。今に至るまで各地でお世話になっている方も何人も登場していました。熊本地震ではまさに復興計画が練られつつあり、これからいかなる取り組みを行うべきか、熊本大学を中心に議論が進められていることでしょう。こうした本も参考にされていればと願います。

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2016年05月24日

七尾に出張/『地方創生 成功の鍵』(1695旅)

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いしり亭にて。

 今日は七尾に出張。株式会社御祓川の森山姉弟にお世話になっていて、一次産業や人材に関する取り組みを進めています。今日は七尾市役所と最終的な打ち合わせを行いました。6月末には一つ成果が報告できそうです。その後は、御祓川さんが銀行だった建物を改修してつくったコワーキングスペース「banco」で一仕事。七尾から、近江八幡の皆さんとオフラインで打ち合わせ。金沢駅では、のどぐろを食べてから、東京にもどりつつあります。(次は能登で宿泊したい・・)

■[読書] 『地方創生 成功の鍵』(飯田泰之、木下斉他, 2015)〜1695旅
「域内になるべく留保させて、地域内での消費を活性化させる。それが可能になる環境を整備することが「活性化」、というのが我々の定義です」
「市民から寄せられたそのようなツイートに「住民個々の課題について一つひとつ税金で補助をすることは困難であることをご理解下さい」と答えた市長がいる。首都圏に5市ある政令指定都市のひとつ、約96万人の人口を抱える千葉市の熊谷俊人市長(36)だ」

 飯田泰之さんや、新公益連盟にも参画頂いている木下斉さんらによる、地方創生に関する対談/エッセイ集です。G1U40で一度お会いした千葉市の熊谷市長の姿勢がユニーク。行政では、どうしても「声が大きい人」の影響力が強くなりがち。そうではなくて、あくまで論理を通じて公正を追求する姿が、twitterや最近だとNewsPicksでの発信を通じて伺うことができます。その背景にある、熊谷市長の根本思想に何があるのかが気になるところです。

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2016年05月22日

社会変化の中心に座りつつあるAI〜『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」』(松尾豊・塩野誠, 2014),1694旅

『自動運転の場合、どの道をどう通るかを決めるのは、それほど難しくはありません。そこは普通のカーナビがやっているような処理ですから。もっとも難度が高いのは状況の認識です』p7
『地球派はやはり人間が大事、人間が人工知能を使っていこうという立場。宇宙派のほうは、そもそも人間は人工知能を作るためにあったのだとする説をとる立場です』p43

 人工知能研究者の松尾先生と、経営競争基盤の塩野誠さんの対談。人工知能を切り口として、日本社会がいかに変化していくかが掘り下げられている。
 松尾豊先生からは、画像認識においてコンピューターは人間を越え始めていて、そのことで人工知能がここ50年の中で一挙に発展してきたのだと聞いた。NewsPicksでは今日から第4次産業革命に関しての特集がはじまったが、その中で経営競争基盤の冨山CEOは40代、50代の半数の仕事がなくなる、と予測している。政府も経済産業省中心に続々と施策に盛り込み始めている。私個人としては、東北や熊本といった被災地域において、技術を基礎とした新しい産業が生まれるのかどうか。また2020年小委員会の関連で、働き方の未来と社会保障の関係について、考え続けていく。

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2016年05月20日

人工知能の光と陰〜『人工知能と産業・社会』(山際大志郎,2015),1693旅

『グーグルは、スタンフォード大学からニューラル・ネットワークという機械学習を専門とするアンドリュー・ング教授をグーグルXという先端研究所に招き入れ、人工知能に『猫』の顔の概念を教え込むことに成功した』p5
『ドワンゴの人工知能研究所が発足したのは2014年10月、リクルートの「Recruit Institute of Technology」が人工知能の研究所として再編されたのが2015年2月、つながる工場を実現するための標準作りを行うIVIが設立されたのが2015年6月と、短期間のうちに人工知能に関する研究機関や協議会が設立されている』p179

 前の経産省副大臣である山際代議士による、人工知能についての基本書。AIについては、松尾豊先生から直接話しを伺える機会がある。特に画像認識技術でブレイクスルーが起きたことで、可能性が拡大したとのこと。その契機は、本書でも取り上げられているグーグルXの人工知能チームによる「猫の解析」であった。
 人工知能に対して政府も力を入れ始めているが、民間の動きもスピーディだ。自動運転車がタクシードライバーの雇用を奪うように、人口知能による社会変化の可能性もまた大きなものがある。変化がもたらす社会課題への対応もまた、準備を進めておく必要がある。

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2016年05月19日

副業は市民権を得るか〜『これだけは知っておきたい『副業』の基本と常識』(大山滋郎,2014), 1692旅

「『副業者の就労に関する調査』によると、『副業をしている人』の割合は8.1%となっています」p4
「ほとんどの会社は就業規則で副業を禁止しています。ただし、憲法では職業選択の自由が定められており、労働関連の法律では副業に関する規定はありません」p26
「国家公務員法第103条および第104条、地方公務員法第38条により、公務員の副業は禁じられています。ただし、例外も認められています。国家公務員は内閣総理大臣および所轄庁の長の許可を得た場合に、地方公務員は任命権者(地方公共団体の長など)の許可を得た場合に、副業が認められます」p28

 ロート製薬さんが副業OKにしたことが話題になった。リクルート、ヤフー、サイバーエージェント等は副業OKだが、そうした会社は実は稀だ。副業をしている人は8.1%だが、その多くは会社に黙ってやっている。
 ロート製薬の山田会長の話を伺って、副業以上に感銘を受けたのは、「70才の新人が最近いる」ということだった。一億総活躍プランでも、65才以上の定年延長をする企業に補助をするという。山田会長は実はこのことに反対していた。定年延長では、既存の社員がキャリアを変えずに残ってしまうことになる。社員には副業もふくめてキャリアの見直しをし続けてほしい。しかしそれはシニアが働くことを否定しているのではない。会社の新しいチャレンジに必要な人材は年齢を問わず(70才でも)受け入れるというのだ。このことは、リクルートの大久保所長も同意見だった。
 おそらく、これまでの副業は周囲に黙って、小遣い稼ぎのために行う行為だった。副業は市民権を得て、個人が新しいキャリアを手にし、また企業にとっても新しい人材を集めるための手法となるのだろうか。

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2016年05月18日

次のキャリアに備えること〜『あと20年でなくなる50の仕事』(水野操, 2015年), 1691旅

「オズボーン准教授と共著者のフライ研究員は、702の職種について、各仕事に要求される能力とそれらの自動化の可能性をコンピュータに計算させた。アメリカにおける仕事の47%の雇用がコンピュータ化によって奪われるという結果だったのだ」p40
「教育界全体には、二つの流れが見える。一つは教育コストの高騰。そしてもう一つが、世界の優れた授業が無料で受講できるようになってきているという点だ」p156

 タクシードライバー、弁護士、営業マン、中間管理職。あと20年でなくなると予測される仕事だ。人工知能(AI)によって、コンピュータが人間に代わって判断を行うようになるためである。今日は某人材会社の役員の方とお会いしてきたが、こうした労働の変化に強く関心を持たれていた。また「2020年小委員会」が今日は開催されたが、ロート製薬の山田会長や山口揚平さんも、そうした働き方の変化について語られていた。
 仕事の変化によって、大きく変わることに教育がある。二十歳までの教育で70才までの半世紀を働くわけにはいかず、何度か「学び直し」を行う必要があるからだ。昨今の、オンライン教育のイノベーションも、そうした流れに拍車をかける。一億総活躍の議論にもあるように、日本人の働き方は勤務時間短縮の方向に進む。その分、空いた時間を使って、ある時期は子育てを行い、ある時期は勉強や副業を通じて次のキャリアに向けて備えることが必要になる。

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2016年05月17日

50才で人は仕事を変えることができるか〜『ジェネレーションフリーの社会』(北岡孝義,2015),1690旅

「2012年2月、穏健党のラインフェルト首相は、年金支給開始年齢の75才引き上げに言及した。首相のこの発言には、国民が納得しなかっただけではなく、マスコミ、野党も一斉に反発した」p75
「ラインフェルトの提案は、そうした既存の枠組みを変革しようと訴えている。そのひとつが『人生二毛作』という考え方だ。これは、『人生を二つの期に分けて、職業を変えよう』という提案である。20歳から40歳代後半を第一期、50才から75才を第二期とするワークライフが一般的となるような社会を提案している」p103

「2020年小委員会」でも議論されている、定年という障壁をなくして新しい働き方を生み出そうとする流れに近い一冊。しかし、働き方を変えるのは簡単ではない。スウェーデンでは、ラインフェルト首相が2012年に「人生を二つの期に分けよう」という、柳川先生の40才定年論に近い考えを示したが、同時に年金支給開始年齢の引き上げに言及したことで政権交代が引き起こされてしまった。しかし、企業自体の寿命が25年にまで短くなってきた時代である。新卒で働いた会社で勤め上げることはできない。私も40才だが、その頃には今までのやり方を捨てて、時代にあったキャリアを再設定する必要がある。

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2016年05月14日

先回りして働き場を変える〜『潜在ワーカーが日本を豊かにする』(武井繁, 2015), 1689旅

「株式会社クロスカンパニーのように、短時間正社員という新しい雇用形態を提案する企業も出てきている。ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングでは、地域正社員という雇用形態もある。個人の希望や意思に合わせて柔軟な条件を提供するからこその『フレックス雇用』なのである」p3
「2015年の日本の生産年齢人口は6590万人。それに対し、実際に働いている人口は約5000万人だ。つまり、生産年齢人口のうち1500万人以上は、働き盛りであるにもかかわらず、何らかの理由で働いていない状態となっている」p30
「日本には、2014年末時点で約212万人の在留外国人がいる。出身国上位の内訳は、中国が30.9%でもっとも多く、次いで韓国・朝鮮(23.6%)、フィリピン(10.3%)、ブラジル(8.3%)となっている。しかし、在留外国人のうち、すでに就業しているのはわずか三割強の約72万人にすぎない」p31

 潜在ワーカーとは「主婦」「シニア」「外国人」のこと。人口減少が進む日本では、間違いなく働き手として注目される。潜在ワーカーを活かせない企業であれば、発展は難しいということだろう。時短であっても、日本の風習に慣れていないとしても、働けるような環境を先回りして用意する必要がある。RCFも65人のスタッフのうち、半数以上が女性。ますます働きやすい仕事場を用意しないと、と思う。

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2016年05月13日

精神論ではなくて環境を用意する〜『女性が活躍する社会』(大久保幸夫・石原直子), 1688旅

「1995年に国連で『ナイロビ将来戦略勧告』が採択されて、指導的地位に就く女性の割合を30%にまで増やすことが宣言されてから、多くの国が着実に対応していったのですが、日本はあまり変わりませんでした」p4
「女性を本気でリーダーにしたいのなら、メンタリングだけでは不十分。その人の評判を周囲に広め、登用や任用の意思決定の場で影響力を発揮できる人をスポンサーにしなくてはいけない、というのが欧州企業のダイバーシティ担当者が、口をそろえて話してくれたことでした」p46
「欧米企業のジェンダー・ダイバーシティに関する課題は『ウィメン・リーダーシップ・パイプラインをいかに構築するか』にほとんど集約されていると言っても過言ではありません」p152

 こちらも大久保幸夫さんによる、女性が社会で活躍するためのあり方が描かれた一冊だ。各国で女性リーダーが生まれる中、日本ではこの20年間変化が見られない。その原因として、影響力あるスポンサーの必要性や、一人を育てるのではなく一挙に複数の女性をサポートするパイプラインの考えが必要であるとの説明がある。
 女性に限らず、地方でも(例えば熊本で)リーダーを増やすことが何しろ重要。その時にも、精神論ではなくて、リーダーが増えるための環境を用意することが重要なのだと気づかれる。

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2016年05月12日

15年たっても変わらない雇用事情と変わったこと〜『日本の雇用 ほんとうは何が問題なのか』(大久保幸夫),1687旅

「1991年に19.8%だった非正規社員の比率は、1995年を境に上昇しはじめ、2000年には26.0%、2003年にはついに30.4%と3割の大台を超え、2008年には34.1%にまで達している。その数はいまや1760万人となった」p19
「いま失業者がほしがっているのは、長期に安定して働くことができる正規社員としての雇用であり、生活ができるだけの収入を保障された場である。1990年代からの非正規雇用の拡大で、不況下でも非正規の雇用ならば市場にあるのだ。わざわざ税金で作り出さなくてもよい」p52
「私が参加した政府のプロジェクトで、2025年までの日本のビジョンをつくるというものがあった。『日本21世紀ビジョン』として小泉内閣のときに発表されたが、そこでは『健康寿命80才』という内容を打ち出している」p176

 昨日に続き、大久保幸夫さんの著作から。「2020年小委員会」でも、日本21世紀ビジョンのことは触れられていて、小泉議員も「うちの父がお世話になりました」と話されていた。健康寿命80才をすでに記述されているなど、15年経っても内容は色あせないとのこと。ただし、人口知能(AI)を中心に、技術の進化によって働き方が激変しつつあることは、書き加える必要があるとも。
 非正規社員ももはや40%に。この事実を前提として、非正規社員であっても待遇が変わらなかったり、社会保障に不利な状況は作るべきではない。この点は、即刻進めていくべきだろう。

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2016年05月11日

22世紀の日本人の働き方とは〜『日本型キャリアデザインの方法』(大久保幸夫)

「『これからのキャリアをイメージできるか』と質問した調査によると、一年後については83%ができると回答していますが、三年後では63%、五年後では38%、十年後では25%になります」p28
「社会に出てしばらくの若手のキャリアを『筏下り』にたとえ、その後のキャリアを『山登り』にたとえ、筏下りから山登りへとうまく転換することで、自分自身で納得できるキャリアを過ごすことができるということをモデル化したものです」p38
「市場に出回っている求人のうち、四分の三は三十代までの採用を念頭においた求人です」p87
「35-39才の正社員の場合、転職前年収が386万で、転職一年後が393万、二年後が422万となっています。四十代では平均でほぼ変わらず、五十代では明らかに下がるようです」p89

 大学生時代から、お世話になっている大久保幸夫さんの著書。小泉進次郎議員が事務局長を務める自民党「2020年以降の経済財政構想小委員会」で私はオブザーバーを務めていますが、今日は未来の働き方を考えるためのゲスト講師として来て頂いた。
 そもそも企業の寿命は短くなっていて(平均20年強程度)、しかし働く必要がある年数も増えている。一つの会社で一生を終える時代ではなく、学び続けながら仕事を変化させていく必要がある。そのための「いかだ下り」と「山登り」という考え方は分かりやすい表現と感じる。
 日本人の働き方を考える上で、雇用、教育、社会保障など、あらゆる仕組みをリニューアルする必要がある。そのための準備を進めていきたい。

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2016年05月10日

NPOは社会変革のガイド役になれるか〜『社会をちょっと変えてみた』(駒崎弘樹・秋山訓子)(1685旅)

「まず当事者から体験をもとに活動が始まる。それは、当事者だからこそ信用と説得力を持つ。次に、マジョリティが『ちがい』を理解し、当事者の気持ちを考える。最終的には、マジョリティの側が変わらなければ、社会の変革にはならない」p68
「政党間で激しい議論になっているときに、政府の提供する場は中立ではないと言われることが多い。争点を浮き彫りにする公の議論を、自由で中立なかたちで提供できるのは民の強み」p152
「国会の終了日から逆算して、カレンダーを埋め、他の法案の日程も押さえて、NPO法を少しでも優先順位の高いところにあげなければいけない」p174

 行政を動かして社会を"ちょっと"変えてきた実例集だ。著者の駒崎弘樹さんは小規模保育事業など、社会課題解決をすすめる新しい事業をおこし、その事業を行政が採用する(パクる)ことを促すことで、一気に社会に広げることを進めてきた。他にも、復興領域で政策立案を進めてきた田村太郎さん、NPO法の生みの親である松原明さんといった先達の方法論と想いが描かれていて、参考になる。
 NPOの役割として行政の監視役になることがある。行政自体の力が弱まるなか、監視をするだけでは課題解決は進まない。行政が正しく社会課題をとらえ、解決につながる事業を進めるために、民間はそのガイドを務める必要が出てきている。そうした役割を、NPOの人間はもちろん、企業や行政の"中の人"も担う必要がでている。そうしたすべての人にとって必携となる一冊だ。


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2016年05月09日

再チャレンジ施策と学び直し〜『学び直し可能な社会と大学』(落合功, 1684旅)

「2007年4月、文部科学省から二つの支援策が提案された。一つは『社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム』事業であり、もう一つは『再チャレンジのための学習支援システムの構築』事業である」p9
「人生のなかで、学び直しをする機会は大きく三つの時期があると思われる。それ、1フリーターから就職とか、再就職や転職などを考える時期、2人生の転機を考える時期、3退職後の人生の生きがいを考える時期である」p173

 第一次安倍内閣(2006-07)において、一つの仕事に失敗しても「再チャレンジ」できる社会を目指した政策が進められた(岡本全勝さんはその時の担当審議官)。この関連で、文部科学省も学び直しのための様々な取り組みを大学と行ったようだ。広島修道大学によるそうした取り組みをまとめた一冊。
 再チャレンジ施策は、第一次安倍内閣が終わると同時に消滅しているが、その課題自体は残されている。昨日のブログでは40歳定年制のことを書いたが、20才、40才、60才で学び直すということと、本著で指摘する三つの時期は完全に符合する。学び直しの場としての大学やオフライン空間のあり方について、考え続けたい。(そういえば、スタディサプリの山口社長も、社会人教育へのサービス提供を考えているようだった)

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2016年05月08日

学び直し続ける人生〜『日本成長戦略 40歳定年制』(柳川範之, 1683旅)

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熊本にて。車中泊の皆さんが、場所を取っています。(5月7日撮影)

「いま大きな問題になっているのが『社内失業者』である。雇用されているのに仕事がない人たちで、法律上の制約や公的な支援策によって解雇されずにいるケースが多く、500万人近くいると推定されている」p22
「安定していて、安心できる人生設計をするには、新卒採用のタイミングで正規雇用の正社員になるしかない。この機会を逃してしまうと、正規雇用されることはむずかしく、繰り返し非正規雇用で働くことになってしまう」p68
「不幸な年齢は国によってバラつきがあるが、世界72カ国の平均では『いちばん不幸だと感じるのは46歳のとき』なのだという」p162

 40歳定年制とは、新卒で入った企業を40歳でやめ、働き直すことで高齢まで働き続けるとの考え方だ。このことで500万人の社内失業者を活性化させたり、女性や若者の働く機会を増やすことを目指している。
 技術も社会も変化が激しい昨今、たしかに20歳までに学んだ知識だけで、その後半世紀にわたり仕事を続けることはできない。40歳、60歳といった節目節目で学び直しを行い、たとえ会社や仕事がなくなったとしても、社会で活躍できるあり方を目指す必要がある。
 個人的には、3年一つの仕事に没頭し、その後は振り返りをしつつ次に備える生き方を歩んできた。2011年の東日本大震災から5年。熊本での災害にも対応するなど(いまも熊本にいる)、忙しい日常を過ごしているけれども、自分的には学び直しのタイミングであったりもする。








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