2016年05月07日

小泉総理が持ち合わせていた原理原則〜『小泉官邸秘録』(飯島勲, 1682旅)

「時代の流れを体現すると人々に信じさせ、明確なビジョンを持ってどこに進めばいいのかを明確に語れる者、変化をおそれず、厳しいことでも必要なことは国民に求められる、ある時には恐れられる者こそが真に国民の信頼を勝ちうる」p6
「事前に官僚が準備したお膳立ての上で行う従来の首脳会談のスタイルからは考えらないことだった。結果は自分の手でつかみ取る、うまくいかない場合のリスクは自分が負う、日朝関係は首脳会談以外のやり方では打開しえないのだ、という小泉総理の覚悟があったからこそ成立した会談だった」p159
「与党において猛反対された郵政民営化は言うまでもなく、道路公団民営化、患者負担の見直しを含む医療制度改革、三位一体改革など、51年続く自民党中心の政治の常識からすれば、選挙の票にならない、まさに『ノー』を突き付けられる課題ばかりであった。これらの一つ一つの課題を小泉総理の強烈なリーダーシップの下に、与党と官邸が対峙し、闘争を繰り返した。与党を敵に回した史上初めての内閣である」p320

 著者の飯島勲氏は、ご存じのとおり小泉純一郎総理の政策秘書を長らくつとめ、政権時には主席総理秘書官であった方。本著は、官邸での五年間を描いたルポだ。
 この本が伝えるメッセージは、小泉総理のリーダーシップとは何であったか。そしてのそのリーダーシップが、いかに従来の総理のそれと異なっていて、時代の転換を示したものであったかである。明確なビジョンを持ち、語り、そして貫く。調整やお膳立ては廃し、リスクを背負いながら、成果をつかむ。そうした原理(プリンシプル)があったからこそ、郵政民営化、道路公団民営化、医療制度改革などの政治成果を残すことができた。
 RCFは、行政・企業・NPOのコーディネートは本業とする非営利法人である。その立場を支える原理として、0.5歩先の社会像を描き、伝えつづけることが、何しろ大事だと考えさせられる。


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2016年05月06日

保育園以上の問題とは何か〜『人事の潮流』(経団連出版, 1681旅)

「総務省によれば、2012年10月1日時点で家族を介護中の雇用者は240万人にのぼった。うち男性は103万人で、その六割が40-50歳代の管理職世代であった」p138
「やりがいのある仕事づくり三要素。第一が、仕事の意味や意義。第二要素が、エンパワーメント。その人にパワーを与えて、できるようにしてあげること。最後の要素は、リーダーシップ。重要なのは現場のリーダーシップである」p31

 17人の有識者による人材マネジメントに関する論考集。社会構造の変化によって、人事の扱いも変わる。世の中的には、お子さんを持った女性向けの制度設計についての議論が多いが、同じぐらいに問題になるのが介護である。保育園もそうだったけれども、介護の問題に対しての社会の準備も間に合っていない。
 あとは経営者として、スタッフにやりがいをもって仕事に当たっていくための工夫について、反省が多い。各プロジェクトの意味合いをもっと社内に説いていかないと。

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2016年05月05日

人口減少日本だからこそのイノベーションへ〜『日本型インダストリー4.0』(長島聡, 1680旅)

「IoTを用いて、開発・製造のリードタイムを短縮、コストを削減する。そして、付加価値の高い製品を提供し、マスタスタマイゼーションも行う。これこそが欧州のものづくりの目指す姿であり、そのために、一企業内にとどまらずサプライチェーン全体が一体となって最適な開発プロセス、製造プロセスを構築する取り組みなのだ」p104
「CTやMRIなどの患者の画像情報から症状とそれに適切な医者を見つけ出す。さらにその治療情報をビッグデータとして蓄積していき、診断精度を高める」p111
「従業員一人ひとりにより高度な働き方が求められるため、既存の労働者に対する育成や将来社会に出てくる子供たち、いわゆるデジタルネイティブの育成は政府が主導で行う必要がある」p125

 インダストリー4.0とは、ドイツが政府・企業が一体となって開始した製造業の変革プログラムのこと。しかしその流れは米国、そして全世界に飛び火していて、日本政府も取り込み始めている。
 この流れは様々な職業を失くしてしまうため、各国の労働組合の反発が予想されるし、各政府も導入は容易ではないだろう。ただし日本は違う背景がある。世界でもっとも人口減少が進み、しかも外国人労働力の確保も時間がかかるため、労働生産性を高める技術は歓迎なのだ。人口減少によって逆説的に日本は強みをもつ可能性がある。




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