マチリクサイトより。
復興にせよ地域活性化にせよ、人材が最大の課題だと考えています。東北や地域に関わりたい人は少なくありません。しかし魅力ある仕事がなかなかないことが課題なのです。地域、事業者、人材の三者を支援し、この問題を解決するための取り組みを、リクルートキャリア社がスタートさせました。「マチリク」です。
http://recruit-mcr.com/about/ プロジェクトが開始されるにあたり、私も識者の一人としてコメント致しました(
http://recruit-mcr.com/message/message03.html )。少し長いですが転載します。
=============================
地域こそ、世界の最前線 (藤沢烈 RCF代表理事)
=============================
■今、世界が日本に注目しているRCFの設立以来、企業や省庁、地方自治体のディスカッションパートナーとして、私は復興事業創造や事業推進に携わってきました。これほどのダメージを受けた地域が、世界でも類を見ない新しい街づくりに挑戦する。その実践の場を一目見ようとハーバード大学の学生が学びに来ることもありましたし、世界的なテーマとなっている「イラク復興」のために現地の国会議員が視察に訪れたこともありました。
各国が日本に注目している様子を目の当たりにして、私の頭をよぎったのは「地域こそが世界の最前線だ」という考え。少子高齢化は、なにも日本だけの問題ではありません。岩手や宮城で起きていることから、世界中がヒントを得ようとしているのです。グローバルな視点から見れば、東京は田舎に過ぎません。私個人のことを言えば東北に行ったことで逆に人脈が大きく広がりましたし、地域でキャリアを形成することには大きな価値があると考えています。
マチリクがやらんとしていることには私も共感するところが多いですし、戦後から続く人材採用の在り方に一石を投じるような“大いなる流れ”を感じています。
■力を入れるべきは、人の交流
岩手県立大学の調査によると、集落発展の鍵は「どれほど外部との交流があるか」だと言われています。外部の人や企業と関わりがある集落は発展し、反対に地域だけで完結している集落は停滞しているということが浮き彫りになってきたのです。
この「関係人口」というキーワードは復興の大きな指針となり、実際に釜石市の街づくりでは“オープンシティ”というかたちで体現されることになりました。こうした状況を踏まえると、今後の地域創生においては「関係人口」を無視することはできませんし、マチリクを通じて今以上に人材の流動性が高まることを期待しています。UターンなのかIターンなのかということではなく、東京で学んだことを活かして地方企業に転職してもいいし、地方企業で学んだことを活かして東京に戻ってもいい。今以上に人材交流が盛んになれば、この国はもっともっと輝けるはずです。
今こそ「若者が戻ってこない」と口にするだけでなく、アクションを起こさなければなりません。地域の若者に、戦略的に投資しなければなりません。変わるべきは、自分たち。その意識の変化が、いつか日本の変化となるはずです。
■地方創生は、綺麗事じゃない今、首都圏の若者の4割は地域の仕事に興味があります。しかし、実際に街に戻っていないということは、はっきり言って「働く場がない」からです。給料だけの問題ではありません。若者は「この街でなら成長できる」というイメージを持てていないのです。
マチリクでは地方企業と二人三脚で環境改善を行っていますが、地方企業においては“これまでの事業を捨てる”ほどの覚悟が必要だと思います。10年ではなく、30年、40年と事業を継続させ、長きにわたって地方創生を支えていく。それほどの成長意欲のある企業であるならば、マチリクとともに壁を乗り越え、魅力あふれる地方企業として生まれ変わることができるはずです。
その一方で、これから地域に飛び込もうとする若者たちには、あえて「決して簡単な道のりではない」ということをメッセージしたいと思います。地方企業への就職は、まるでベンチャー企業に就職するかのような、まるで見知らぬ土地に留学するかのようなたくましさが求められます。しかし、その分、掴もうと思えばチャンスはいくらでも転がっています。貪欲に挑戦していく。それくらいの覚悟で、ぜひ“世界の最前線”に飛び出してください。
===============
また、東北復興の現場で人材の課題に取り組んでこられた岡本全勝さんも自身のウェブサイトでその重要性を指摘しています。ぜひご覧ください。
https://bit.ly/2y7H7pb 全国各地での人材活性のあり方を変えるために、リクルートさんとともにRCFも力を尽くしていきます。