2008年06月17日

337旅 『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論』 高橋昌一郎 ★★★★

「ゲーデルは、ダーウィン理論そのものに対しても懐疑的だった。『私は、脳がダーウィン理論によって生じたとは思わない。事実、この理論は、反証可能だ。単純な機械論では、脳は説明できない。・・ダーウィン理論は、全体論的な法則性に目を向けず、幾つかの部分から構成された単純な機械的過程ばかりに目を向けている。・・もし生命体を構成する物質が機械論的法則によって説明されるならば、それらの法則は、生命体と同じ程度に複雑にならなければならない』」p235
高橋昌一郎『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論』(講談社, 1999)

ゲーデルを専門としている著者による一冊。ゲーデルの入門書として最高との評価が高い。不完全性定理をアナロジーを用いて理解できるようにした点。ゲーデルの死後に明かされた大量の遺稿から、ゲーデル像を新たに築きなおした点。特に、ゲーデルによる神の存在論的証明について、日本で始めて紹介したとのことだ。
 人間は機械に過ぎないのか、それ以上の存在なのか。人類が世界といかに向き合うかを考える上での大事な問いがある。ゲーデルは数学的に、人間精神が機械以上の存在であると証明した、とのことだ。
 機械ではないとすると、人の精神や意識とは何なのだろうか。盲目的に神にすがることもできない。しかし、一方で理性的に全てを解き明かすこともできない。そうした二つの狭間に落ち込んだのが現代。
 どちらでもないその先に見えてくる景色が何か。その景色を見えそうな時代にいることを愉しく思う。

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□参考ウェブサイト
『クルト・ゲーデル』

posted by 藤沢烈 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(1) | 本の旅 ★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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