2008年09月02日

491旅 山川菊栄『武家の女性』★★★

「女たちが家庭で得た多少の教養や技術は、この大きな変革期の荒波をこぎぬけて、自分を救い、家族を救う上にも役立てば、新しい時代を育てる教育者の任務を果たす上にも、大きな力となったのでありました。日本の教育界に大きな貢献をした明治初期の女教員のほとんど全部が、田舎の貧乏士族の娘たちだったこと、また最初の紡績女工の仕事を進んで引き受けた義勇労働者もそれらの娘たちであったことは、よくその事実を証明しております」p184
山川菊栄『武家の女性』(岩波書店, 1983)

 著者は女性解放運動に力を尽くした女性評論家。水戸藩下級武士に育った母親の思い出話から、武士の家庭と女性の暮らしぶりを描いた。
 水戸藩は、保守派と改革派の抗争によって幕末は動乱であり、有為な人物が何人も斬首された。その結果、新政府に有力な人材を一人も送れなかったという。
 そんな時代において、下級武家の女性達が、時代を引き継いでいく役割を果たしたという。というのも、武家において女性達が自我をなくして生活の術を身につけた事が功を奏したという。逆に没落した旗本の娘には、芸娼妓や妾奉公に出た者が多かったそうだ。
 もちろん女性が家に奉じる時代ではないが、家であれ職場であれ一つの場に徹することが、普遍的な力を得る方法だと思える。
 そうした一つのサンプルとして、今は失われた武家の生活は興味深く読んだ。

□参考ウェブサイト
『山川菊栄』

posted by 藤沢烈 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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