2009年05月06日

1005旅 井筒俊彦『神秘哲学 第二部 神秘主義のギリシア哲学的展開』★★★★★

「自然的人間にとっては本来不可能であるはずの形而上学をあえて成立せしめるために、哲学者は自ら先ず脱自的に超越的主体とならなければならないのである。プラトンからプロティノスに至るギリシアの代表的哲人達は、いずれもかかる見地に立って、いわゆる観照的生を哲学的思索の根底に置いた人々であった。この意味において、彼らはいずれも鉄学者である以前に神秘家であった」p8
井筒俊彦『神秘哲学 第二部 神秘主義のギリシア哲学的展開』(人文書院, 1978)

★本の概要
 1000旅で扱った井筒先生の『神秘哲学』第二部。ギリシア哲学の中心人物であるプラトン、アリストテレス、フロティノスとその神秘主義からの影響が解説される。近代哲学・科学の源流とも言える彼らへの神秘主義の影響は、とりもなおさず現代と神秘主義を考える上での大きなヒントとなる。残念ながら絶版中だけれど、関心がある方は是非とも一読頂きたい。三人を基点に、人類が脈々と築いてきた世界観の深さに血が騒ぐはずだ。

★プラトンとアリストテレス
 プラトンとアリストテレスの違いは何か。プラトンはイデアを考案し、アリストテレスはそれを批判して近代合理主義の礎を築いた程度の理解でしかなかった。井筒先生は、二人の思想の根底に神秘哲学観が潜むと見る。
 オルフェウス/ピュタゴラスから連なる、密儀宗教精神の継承者がプラトンである。対して、宇宙=神ととらえるミレトス的自然学を継承したのがアリストテレスだとした。
 アリストテレスが合理的で進歩的とするのは、近代合理的な表面的な視点でしかない。むしろプラトンがみた叡知的世界をより純化させて世界を捉えたのだと井筒先生は考えた。

★プロティノスとプラトン
 プロティノスは、アリストテレスがみた世界/宇宙をさらに純化させて「一者」を設定した。井筒先生は、ここでプラトンとプロティノスの違いに着目する。
 プラトンは宇宙万有の始原を極めながらも、そこで現実世界に戻って後進のために歩むべき道を指示した。対してプロティノスは独り観想にふけり、自らが神秘道を極めたのみだったという。したがって世評と異なり、プラトンが神秘家で、プロティノスは形而上学者だと考えた。

★編集後記
 9/26に、世界連邦21世紀フォーラムで「叡智とリーダーシップ」で話をすることになっている。直観的につけたタイトルだけれど、本著を読んで何を語るべきかがはっきり見えた。この現代において叡知に向かい、そして現実世界であたかも狂人の如く活躍するリーダー像を描きたいのだ。マホメットやチェゲバラがきっとそうであったように。9月まで、その探究を続けていきたい。
http://www.wfmjapan.com/program02.html 

posted by 藤沢烈 at 14:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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