2009年05月21日

1046旅 オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』★★★★★

「良い人と一生安らかにいたとて、一生この世の栄耀をつくしたとて、所詮は旅出する身の上だもの、すべて一場の夢さ、一生に何を見たとて」p25
「一滴の水だったものは海に注ぐ。一握の塵だったものは土にかえる。この世に来てまた立ち去るお前の姿は一匹の蠅――風とともに来て風とともに去る」p42
オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』(岩波書店, 1949)

★本の概要
 11世紀ペルシャに生きた学者にして詩人オマル・ハイヤームによる詩集。すべて四行詩(ルバーイイ)で構成されていることからルバイヤートと呼ばれる。19世紀イギリスの詩人が英訳したことを契機に世界で有名になった。

★ルバイヤートは深みへ誘う
 岩波版訳者の小川亮作氏は、ハイヤームは無神論者であり、ルバイヤートはその唯物史観を説いたのだとする。一方でハイヤームはスーフィー(イスラム神秘主義者)でありその世界観を描いたとの説もある。両極端なわけだが、個人的には何か神秘性を込められている気がしている。手元において繰り返し繰り返し唱えたくなるような、底深さを感じるのだ。
「もうわずらわしい学問はすてよう、白髪の身のなぐさめに酒をのもう。つみ重ねて来た七十の齢の盃を、今この瞬間でなくいつの日にたのしみ得よう?」
 「酒を呑む」シーンが幾度となく現れる。井筒俊彦先生も指摘するように、スーフィズムでは神との合一を酩酊したあり様で表すという。ルバイヤートでは、「歓楽」や「学問」を捨てて、いまここで酒を呑めと勧める。頭による知覚の働きを止めて、無意識下にうごめく深き沼に誘われているように思うのだ。
 
★編集後記
 経済関連ばっかり読んでいて少し積もった頭をルバイヤートがぬぐってくれたよう。

posted by 藤沢烈 at 17:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック