2009年06月23日

1127旅 ハイエク『隷従への道』★★★★★

「社会主義の実現を妨げるものが、まさにこのような要素(自由主義的要素)であることがいよいよ明らかとなるに従い、左翼の社会主義はますます右翼の社会主義に接近していった。左翼と右翼の反資本的勢力が結合し、急進的社会主義と保守的社会主義が融合したために、自由主義的なすべてのものが、ドイツから一掃されることになったのである」p216
ハイエク『隷従への道』(東京創元社, 1954)

★本の概要
 20世紀を代表する経済学者にして思想家であるハイエク。サッチャー、レーガン、小泉に連なる新自由主義の背景にハイエクがいた。現代では新自由主義が富裕層優遇のためにあったと考えられがちだが、そんな見方こそ国家社会主義→ナチズムにつながったと批判したのが本著。今の時代だからこそ、読まれるべき一冊だろう。

★なぜナチズムは成立したか
 ナチズムがなぜ成立したか。まず、価値観が多様化した社会において、単純素朴な悪い意味での「大衆」が多数派になるという。そうした大衆は「敵を憎む」「有福なものを妬む」といった視点によって同質化させやすい。その上で、国内の左翼集団と右翼集団が合流を図り、どちらでもないリパタニアン(国際主義/自由主義)を一掃してしまう。その先に国家社会主義(全体主義の一歩手前)が待ち受けているという。
 日本で言えば、右翼集団によって中国/韓国を敵視し、左翼集団は富裕層を敵視し、いずれをも代表する政治集団が組織されていく・・そんなシナリオもあるのだろうか。
 国家社会主義と、自由主義の違いを二つあげたい。国家社会主義も「自由」は語るが、自由主義者のそれとは異なる。前者はFinancial Freedomと言われるように経済的苦労からの自由。選べる自由は捨ててでも保障を得ようとするから、社会保障費をあげていく方向に向かう。後者は経済的活動を選択できる自由のこと。もう一つ。国家社会主義は「計画」を重んじて、個人による支配が主となる。自由主義では「市場」を重んじて、個人の前に法による支配が中心におかれる。
 全体主義に陥ったドイツやソ連の例を人類は知っているわけで、その教訓は現代でも頭の隅に置く必要があるだろう。

★編集後記
 暑い一日。気温が上がってくると、旅に出たくなる。


posted by 藤沢烈 at 13:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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