2009年06月25日

1132旅 アマルティア・セン『自由と経済開発』★★★★★

「(言論の自由や選挙という形での)政治的自由は経済的な安全を促進するのに役立つ。(教育や医療施設という形での)社会的機会は経済的参加を促進する。(交易や生産への参加の機会という形での)経済的便宜は、個人的な豊かさとともに社会的利便のための公的な資源を生む助けになりえる。異なった種類の自由は互いを強化することができる」p10
アマルティア・セン『自由と経済開発』(日本経済新聞社, 2000)

★本の概要
 1998年にノーベル賞をとった経済学者アマルティア・センが、世界銀行で行った講演をまとめた一冊。「自由」こそが貧困を解決できるとの視点が主張される。新自由主義が修正されはじめ、財政支出が強まる中、あらためて自由の意義について考えたく手にとった。

★自由が貧困を解決する
 自由は開発の目的だけでなく、手段にもなるとしたのがセン教授の主張だ。
 開発問題は単純に一人あたりGDPといった経済指標で計られることがしばしば。しかし、インドの貧民層よりも、経済指標上は豊かなスラムに住むアフリカ系アメリカ人の方が死亡率は高い。経済発展を遂げたはずの中国の方が、他の東南アジア諸国に比べて飢饉での餓死者が多い。こうした現実から、開発を見つめる上で経済指標以外の何かが必要だとセン教授は考えた。そして、日本をはじめ開発が進んだ国では、貧しい段階から教育・医療が全国民に提供されていたことに着目。経済的・社会的・政治的自由が担保されていることこそ、開発の重大要件だと考えた。
 女性の自由を引き上げるために出生率を適正化することを目指す。市場は自由な経済取引のために必要だと考え、情報がアンフェアに隠ぺいされない状況をつくることをめざす。自由主義を否定して権威・家族主義をめざす一部の「アジア的価値観」は決して普遍的ではないと考える。セン教授はこうした施策を考えた。
 貧困を解決するために自由が必要とのセン教授のメッセージ、ぜひ忘れないようにしたい。

★編集後記
 エアロバイクでは心拍機能を強化するには物足りないと感じる。ジムでもランニングマシンを使うか、水泳することに切り替える。

posted by 藤沢烈 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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