「現実に戦略を描くとなると、特定の理論の一貫性自体はあまり役に立たない。企業の業績を左右する要因は様々に存在する。それらの要因を複合的に勘案して初めて、よい戦略を描くことができる」p10
青島矢一ほか『競争戦略論』(東洋経済新報社, 2003)
★本の概要
一橋大学商学部の講師陣による、経営戦略論のテキスト。理論と事例のバランスが良い。
★四つのアプローチ
四つの戦略アプローチが紹介されている。利益の源泉が外にあるか内にあるか。分析の主眼が要因にあるかプロセスにあるか、で区分される。
利益の源泉が外であり、要因に着目すると「ポジショニング・アプローチ」、プロセスに着目すると「ゲーム・アプローチ」となる。原泉が内にあり、要因に着目すると「資源アプローチ」、プロセスに着目すると「学習アプローチ」となる。
★デジタルカメラを例にとる
デジタルカメラ市場を検討してみよう。
ポジショニングアプローチでは、市場全体の成長率と業界構造をみる。一時期デジタルカメラ市場の成長率は高かった。ただし、製品自体の差別化は難しく、CCDなどの主要部品の供給業者が利益を得やすい構造にあった。また売り手である家電量販店も競争が厳しく、その面でも成長率ほどには利益は得にくい構造にあることが分析できる。
ゲームアプローチでは参加プレイヤー間の競争状況を分析する。たとえばCCDでシェアを寡占していたソニーが強かったが、であればその他のデジタルカメラメーカーは、二位以下のCCDメーカーであるパナソニックなどとの連携が求められた。
資源アプローチでは、デジタルカメラ市場に求められる組織スキルを検討する。時期により求められる顧客ニーズは変化したが、画質、コンポーネント、生産/供給能力といった資源をもつ企業が優位性をもっていた。
学習アプローチでは、事業継続においてどのスキルを企業が学ぶかが問われる。ビデオ事業を継続していたメーカーは、デジタルカメラ事業の成長に乗り遅れずに参入に成功できた。またカシオは、アナログ電子カメラで失敗していたが、市場の反応を得る効果はあり、その後のQV-10の成功につながった。
★編集後記
戦略を考える上での定石はないが、少なくとも多角的な目線から検討できる力は必要になる。
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