2009年08月23日

1224旅 三島由紀夫『葉隠入門』★★★★★

「われわれは、一つの思想や理論のために死ねるという錯覚に、いつも陥りたがる。しかし『葉隠』が示しているのは、もっと容赦ない死であり、花も実もないむだな犬死ささえも、人間の死としての尊厳を持っているということを主張しているのである」p90
三島由紀夫『葉隠入門』(新潮社, 1967)

★本の概要
 鍋島藩藩士・山本常朝による武士心得が「葉隠」。そのエッセンスを三島由紀夫が解説したのが本著である。葉隠が恋愛や会議の方法、酒の飲み方にまで触れている現代的な内容だと知り面白い。

★葉隠の行動原理
 とはいえ、鮮烈な行動哲学としての側面が印象に残る。三島が48項目に渡って説明している中から幾つか紹介したい。
 1.エネルギーの賛美。エネルギー原理に従って、人は大きな行動を成就することがある。2.決断。葉隠の最も有名な文言は「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」。その常住死身の精神によって人は真に自由を得て、存分に行動・決断できるという。9.世間知。葉隠は「大事は軽く、小事は重く」と説く。重大な意思決定は日ごろから考え抜いて、いざというタイミングでは軽く決める。一方、日常かかってくる小事は軽んじずに丁寧に意思決定する。21.言行が心を変える。普段の発言や行動から変えることで、内面に情熱が宿ってくる。30.年齢。何歳になっても分別で頭でっかちにならずに、それを越えてしまう強み(エネルギー)を持ちあわせる。42.緊張。日々を緊張の連続にする。
 同時に、上記と逆説的な、ある意味矛盾した内容も説いている。7.ニヒリズム。山本常朝は、この世はすべてからくり・夢であって、人間はからくり人形に過ぎないとも言っている。33.エピキュリアニズム。享楽主義と訳される。日々死と隣り合わせに生きるからこそ、精神的快楽を追究せよ、とも言う。

★編集後記
 日々は夢・幻であり、だからこそエネルギーに従って行動し続ける。その潔さは今でも活かせるように感じる。


posted by 藤沢烈 at 17:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/126312000
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック