2009年09月24日

1253旅 ミンツバーグ『MBAが会社を滅ぼす』★★★★★

「責任ある地位には、ヒーローもいらないし、官僚もいらない。必要なのは、バランス感覚のある献身的な人材。言ってみれば『関与型』のマネジメントをおこなえる人物だ。関与型のマネジャーは、単に会社の株価を引き上げるだけでなく、組織を強くすることを自分の役割と考えている。リーダーシップの名の下に瓦礫の山を築くようなまねはしない」p12
ミンツバーグ『MBAが会社を滅ぼす』(日経BP社, 2006)

★本の概要
 経営陣にしめるMBA取得者の比率をみた場合、業績不振企業では90%、業績好調企業では55%であったという。ビジネススクール出身者はなぜ失敗するのかを描き、その代替案を打ち出した一冊。『マネジャーの仕事』で知られるヘンリー・ミンツバーグが著者であるから、本著は説得力がある。

★MBA教育は何をもたらしているか
 MBA教育による弊害は四分野にまたがるという。
 1.教育プロセス。各ビジネススクールは、ランキングや就職先を重視するあまり、カリキュラムは画一化し、ビジネスに関する研究は疎かになっている。2.マネジメント業務。計算・分析を最重視するマネジャーが量産されることで、数字に現れない影響を考えられない経営陣が増える。また短期的成果を目指すヒーロー型マネジャーの増加により、ギャンブルに近い経営が蔓延している。3.組織。ピラミッド型から、ハブ型、ウェブ型へと組織の形態は進化している。意思決定を重んじるMBAはピラミッド型は得意とするが、他者への支援が求められるハブ型や、リーダーが生まれる環境づくりを求められるウェブ型においてMBAは官僚的すぎる。4.社会制度。数字・分析を重視する余り、人間的・社会的価値よりも定量化できる株主価値をMBAは目指してしまう。分かりやすいゆえにこの弊害は広がり、大企業のみならず政府や非営利組織でもMBA流思考が広がっている。

★編集後記
 私自身もMcKinseyにかつて在籍し、またNPOやベンチャーに対してMBA的分析手法を取り込んだ経験がある。社会起業家も時に「マーケティング」「マネジメント」という言葉を使ってしまうから、日本でも弊害は生まれている。代わりになる考えを作り上げねばならないと思っている。

posted by 藤沢烈 at 18:02| Comment(2) | TrackBack(1) | 本の旅 ★★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。はじめまして。
コメントしようかどうか、とてもとても迷ったのですが
勇気をだしてコメントします。
(出来れば非公開コメント扱いでおねがいできますか?)

まだ10代の頃だったと思います。
無線ラジオの講習会でご一緒したと思います。
(私の記憶違いでしたら申し訳ありません)

書評とても興味深く拝見しました。
難しい本も多くて、また記事もいっぱいでまだまだ読みきれませんが
ゆっくりと拝見したいと思います。

それでは、
ますますのご活躍お祈り申し上げます。
がんばってください(^^)
Posted by ひつじのメイ at 2009年09月25日 06:16
失礼しました。先ほどのメッセージにアドレス付け忘れました。
(匿名でメッセージだけ入れるなんて失礼ですよね、すみません)ではでは・・・
Posted by ひつじのメイ at 2009年09月25日 06:56
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