2012年01月31日

1402旅 大森彌『官のシステム』★★★★

「機関委任事務制度は、地方公共団体の執行機関、特に知事及び市町村長を国の機関に指定し、これに国の事務を委任して執行させる仕組みである。住民や議会の意向とは関係なく、国は事務を画一的に行うよう細かい通達に寄って自治体の首長に命ずることができ、首長は省庁に対して責任を取ることになっていた。これは、まさに官による統治の仕組みである」p177
「公式の会議での『ヒアリング』方式の繰り返しでは、建前論が目立ち、議論がなかなか前進しない。そこで、個別行政分野の機関委任事務の新たな事務への振り分け、国の関与の在り方、権限委譲などについて、実務面での検討などさらに議論を深めるため、委員長から指名された委員・専門医院・参与と関係省庁との間で個別に意見交換と調整作業を行うこととなった。これがグループヒアリングである」p178

 民間からはうかがい知れない、中央官庁の組織と仕事の進め方について、その根底にある風土も含めて、実例を交えながらまとめられた一冊。企業・NPO等民間人が官僚と仕事を共にする事は増えると思われるが、そうした方には必読だろう。若手官僚の読者も多いという。著者は行政学の研究者。
 個人的関心を強めている、地方分権に関連したY章「分権改革と省庁の対応」が個人的に面白い。1999年地方分権一括法が制定。ここで機関委任事務制度がなくなったことで、国と地方の関係は100年ぶりに対等になった。西尾勝氏をはじめとした学者連合交渉団は、オープンな場で議論をしてもまとまらないと判断。省庁別に膝詰めで議論を繰り返し、落とし所を探った。誰と何を議論するのか。順番は。オープンかクローズか。話しの進め方を戦略的に寝る必要があるのだろう。
小林良彰氏による書評は以下。
http://book.asahi.com/review/TKY200611140347.html

posted by 藤沢烈 at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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