2012年02月03日

1404旅 山崎亮『コミュニティデザイン』★★★★

「この50年間にこの国の無縁社会かはどんどん進んでいる。これはもう、住宅の配置計画で解決できる課題ではない。住宅や公園の物理的なデザインを刷新すれば済むというたぐいの問題ではなくなっている。僕の興味が建築やランドスケープのデザインからコミュニティ、つまり人のつながりのデザインへと移っていったのは、こんな問題意識があったからだ」p20
「公園を持続的に楽しい場所とするためには、詳細にまでこだわる空間のデザインだけでなく、来園者を迎え入れて一緒に楽しむプログラムを提供するコミュニティの存在が重要だと感じるようになった」p36
「3億円あれば、毎年1000万円ずつ使ったとしても30年間使い続けることができる。例えば上限100万円のまちづくり助成金を毎年限定10団体ずつに与えるとしたら年間で1000万円。30年間、いえしま地域のまちづくり活動をサポートすれば、姫路市の中でもいえしま地域は飛び抜けてまちづくり活動が盛んな場所となるだろう」p112
「被災地の道路や住宅はいずれ復旧するだろう。同じ場所にまちをつくるべきかどうかは検討の余地があるものの、ハード整備はそれなりに進むだろう。同時に考えておくべきなのは人のつながりだ。(略)災害が起きた後、仮設住宅を立てるように効率よく人のつながりを構築することはできない。日々のコミュニティ活動が大切なのだ」p251

 町づくりと言えば、以前は「建築物」「ランドスケープ」が中心だった。成熟化・人口減少が進む中、そこに暮らす住民達の繋がりこそ重要となる。そうした視点から、人と人の繋がりを示す「コミュニティ」をデザインすることの大事さを示した一冊。震災によって東北沿岸部のあらゆる施設が破壊され、また復旧が進んでいる。その中で隠れがちなソフトを捉え直すために、読んでみた。まちづくりワークショップや住民参加型総合計画づくりの専門家である山崎亮さん。昨年「情熱大陸」にも出演し話題になった。私も番組をみて、山崎さんの取組みは東北で今必要とされていると直観したものだ。
 山崎さんが注目するのは、プログラムやコミュニティや住民の自主活動。同じ建物でも、10年後に活性化しているか廃れているかは、そうしたソフトが決めるという。最近、ある被災地での公的施設運営の相談を受けた。しかし建築計画はあるものの、誰にどんな価値を提供し、持続可能にするかのソフトへの目線は十分ではなかった。仮設住宅や仮設商店街は続々とできている。しかしそれだけで住民の絆は生まれない。お客さんが訪れるとも限らない。そうした見えない部分での人の流れを生み出すことができるか。復興に向けた大きな課題といえるだろう。



posted by 藤沢烈 at 14:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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