2012年02月06日

1407旅 パブリックリソースセンター『NPO実践マネジメント入門』★★★★

「複雑・多様化する社会的課題について、解決を全て"官"に依存するような社会システムは、もはや持続不可能であることは明らかである。NPOや社会事業体が課題解決の主体として期待されるゆえんである。現在、NPOや社会事業体の多くはまだまだ小規模な段階にとどまっているが、社会的期待に応えられるだけの組織力を一刻も早くたかめなければならない」p1
「キャパシティビルディングのポイントは、技術的なノウハウの強化だけでは組織力の強化に十分ではないとの認識に基づき、マネジメント力を確保する基盤としてリーダーシップや適応力(環境変化を観察・評価し、対応する能力のこと)を重視するアプローチである」p79

□概要
 NPO・社会事業のマネジメントに関して体系的に整理された一冊。「ミッション」「ガバナンス」「中期計画」「ファンドレイジング」「人材開発」「財務会計」「広報」「評価」といったテーマで、専門家がアプローチを整理されている。組織診断のための評価シート20ページ分も用意されていて、これだけでも2500円はお買い得。パブリックリソースセンターが編集されていて、2012年1月に改版された。

□キャパシティ・ビルディングの本質とは
 行政を補完するために市町村・コミュニティごとに民間チームがいることが、震災復興の鍵だと考えている。そのための財源や方向性は十分論じられているが、何しろ組織と人が不足している。既存組織のキャパシティビルディング(以下、キャパビル)や、新規組織のインキュベーションが不可欠であって、その観点から読ませて頂いた。キャパビルといえば、単純なPR強化や資金調達の技術的な側面に落ち着きがちだ。
 しかし本質は違うという。優先順位をもって意思決定し、変革を推進するだけの力を組織に有すること。あるいは社会や問題のトレンドを見極め、自ら変化を起こして適応すること。そうした能力と組織を持つことがキャパビルの真髄だという。そうした力を有しているか自団体を見つめ直す必要があるし、復興支援組織をサポートする上で、この目線を持ち続けるべきと改めて感じる。もちろん短期的成果(クイックヒット)も重要だから、支援者を絞り込んで寄付金のアップを図ることも大事であって、ノウハウも本著に入念に描かれている。

□類書との比較
 これから社会事業をスタートされる方には、
1400旅 炭谷俊樹『ゼロからはじめる社会起業』
http://retz.seesaa.net/article/249030041.html
1406旅山本繁『人を助けて仕事を創る』http://retz.seesaa.net/article/250610145.htm
 がおすすめ。事業規模が2000万を越え始めた団体や、そうした団体への支援を行うコンサルタント等には本著がお奨めだ。


posted by 藤沢烈 at 10:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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