2012年02月13日

1413旅 ジェームズ・スロウィッキー「『みんなの意見』は案外正しい」★★★★

「市場が賢い判断を下せたのは、賢い集団の特徴である4つの要件が満たされていたからだ。意見の多様性(それが既知の事実のかなり突拍子もない解釈だとしても、各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている)、独立性(他者の考えに左右されない)、分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)、集約性(個々人の判断を集計して集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在)という4つだ」p28

■概要
 英語名は"The Wisdom of Crouds"。一人の天才より、群衆の思考が優位になる例を示した一冊。googleやfacebookといった集合知時代だからこそ注目された。著者はニューヨークの人気ビジネスコラムニスト。

■本著の意義
 常に群集が優位になるわけではなく、4つの要件が満たされることが必要だという。amazonレビューでは、「そんな状況が成立することは極めて稀だから、意味がない」といったコメントも見受けられる。個人的にはそう思わない。政治でもビジネスでも、情報の広がりと共に複雑化は進み、一人のリーダーが判断できる領域は益々狭まっている。集合知を活用できる環境を用意できるのが、これからのリーダーの最も重要な役割となる。その意味で、どのような場合に集合知が"発動"するかを示した点で、本著は有意義だ。

■震災と集合知
 震災復興への応用したい。悪手は、復興を国にのみ委ねてしまうことだろう。復興庁は"集約性"を持つかもしれないが、多様性と分散性は低い。とはいえ、市町村に委ねるのも良手とは言えない。役場自体も多様性・独立性に欠けるし、さらにいえば地域ごとにバラバラの復興になり集約性にも欠ける。ではどうするか。
 まず、行政・企業・NPO、被災地と東京などが、それぞれに復興を目指す。そうすることで4要件のうちのはじめの3つを満たす。残るは集約性である。現在は多様な状態のまま、互いに集約は図れていない。
 集約性を強める打ち手の一つが「連携復興センター」である(例えばいわて連携復興センター→http://www.ifc.jp/)。この組織が起点となって、各県で行政・NPOが情報や事業で一体化を進めている。もう一つは東北復興新聞である(http://www.rise-tohoku.jp/)。新聞は被災地半分、被災地外半分。政府にも県にも支援企業にもNPOにも配布されている。別々に復興を進めながら、互いの情報が共有化されている。あるいは、Facebookも、集約性を強めている一ツールといえるだろう。
 復興を進まさせるのは"ワンストップ"ではなくて、多様性と独自性を維持しながら、しかし高度に情報共有を進めさせる環境を創り上げることにある。


posted by 藤沢烈 at 22:16| Comment(1) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
細かい指摘ですみません。
Crowds、です。

@okdt
Posted by okdt at 2012年04月09日 23:03
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