2012年02月17日

1415旅 皆川治『被災、石巻五十日』★★★★

「石巻市役所内に設置された市災害対策本部に常駐し、市役所のほとんど各部の仕事に関わりながら、市長室に頻繁に出入りし、意見をぶつけることができる立場にあった。偶然が重なり、今回の東日本大震災において、単一の市町村では最大の死亡者・行方不明者が生じることとなった石巻市役所の対応を、国家公務員という立場で支援し、定点観測できる特異な立場にあった」p1
「本日の市災害対策本部は、全般的にはいつもどおり、特段の新しい話がなく、「災害廃棄物処理に付き100%地方負担なしの通知が未だ到達ししていない」といった程度の議論に終始していた。本部会議の低調ぶりは深刻である。県はあくまで出先による支援といった趣で、県を代表して応答できる者がいないので、市本部での議論は全く活性化していない」p134

■概要
 農林水産省勤務、当時の副大臣秘書官であった皆川治氏による一冊。3月11日、偶然石巻にて被災。副大臣の指示により、そのまま50日間石巻に滞在して、市災害対策本部周辺で国と市を結ぶ仕事をされていた。

■横割り日本と復興
 縦割りという言葉がある。組織の部門ごとに情報が分断され、モレありダブリありの非効率を産んでしまう様子を指す。本著を読んでいると、縦以上に「国」「県」「市町村」という階層(="横")の分断に、根深く日本の問題があることに気付かされる。
 国は県を通じてでしか指示できない。県は出先機関を通じて指示を出すが、出先機関は責任をもたないから、現場で意思決定ができずに右往左往。結果、歴史的な被災であった石巻市の中枢は完全に麻痺していたという。
 緊急・復旧期が過ぎ、復興期に入った今でもこの問題は温存されたままだ。政府は現場自治体をコントロールできずにおり(もちろん、すべきでもない)、しかし市町村側も国に問題があると考え続ける。その狭間の中で、地域住民の復興はけして進まない。
 行政ではなく、住民主体の復興へ。そこへ思い切りかじを切るしかない。残された時間はけして長くはない。

posted by 藤沢烈 at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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