2012年02月22日

1419旅 山浦晴男『最新地域再生マニュアル』★★★★

「行政課題に取り組む上で課題としてトップにあがったのは『財源不足35.0%』、第二位は『住民の理解29.5%』である。公共事業の事業費削減策で必要なものは、第一位は『計画段階から住民の声を聞く31.5%』、第二位は『民間の資金や運営を導入30.5%』となっている。この結果からわかることは、行政担当者は、住民との連携、協働の必要性を業務の第一線で痛感しているということである」p54
「中山間村地域は、都市圏に比較すればコミュニティはまだまだ命脈を保っている。だが各種行事を執り行う相談の話し合いのコミュニティになってしまっている。将来に向かって地域をどうしていくかという地域経営を考えるコミュニティではなくなっている」p56
「地域再生を考えるとき、既存の集落内諸集団とまちづくり委員会のような組織の二側面が必要だと考える。しかも両者が実質的に連携できる仕組みを保障する必要がある。地域再生には、地域のなかに『伝統と創造』を担う二つの歯車の組織が必要である」p200

■概要
 陳情の時代が終わり、地域が自立を求められる時代。しかし、住民・行政・NPOは同じ方向を向くことが難しい。三者が"寄り合い"、村や町を再生させるには。その具体的な手法を豊富な事例とともにまとめた一冊である。著者は、日本全国で地域再生を手がけてきた方。文末に、地域再生ワークショップを実施するためのステップ32が掲載されていて、これだけでも得る大きな価値がある。

■話し合いから行動のコミュニティへ
 1960年代までは、地域コミュニティは実践型であった。しかし高度経済成長の中でリーダーは東京に吸収され、逆に補助金という形で地域にお金が返される中で、話し合いはすれども、地域が"自ら"動くことはなくなっていった。被災地でも同じことが言えるのだろう。自治組織はそれなりに立ち上がっているが、国や県をあてにせずに進むコミュニティは少ない。その数少ない事例は、南三陸の馬場中山地区だろう。http://www.babanakayama.jp/
 もちろん住民の意識を一つにするために熟議(または寄り合い)は必要である。加えて、自ら事業や非営利活動を動かしていく行動力も必要となる。その上で、地域の従来の集団と、実践組織である"まちづくり委員会"などの二つの組織が必要との本書の指摘は合点がいく。伝統を大事にせねば、住民の信頼は得られない。しかし伝統だけでは変化と復興を実現することはできない。二つの矛盾を越えることが、いまの東北に求められている。

posted by 藤沢烈 at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック