「石巻でも水産加工関係で、四千人の雇用が失われたといわれています。気仙沼でも、七万四千人の人口のうち、約七割、五万人の人達が水産関係に携わっているといわれていますが、その大半が失業の危機にあるといわれています」p91
「市場は気仙沼の努力でとりあえず水揚げできる体制はできた。しかし、加工流通がないので、本来、半分以上はナマリ節や缶詰用に加工しているカツオも、今年はすべて生鮮出荷せざるをえない。だからこそ、加工場がいる」p99 (気仙沼漁協村田専務)
■概要
東日本大震災による、水産業の被害状況と、政府による支援策(1〜3次補正予算)の概要がコンパクトに整理されている。今後の復興に向けた洞察は弱いが、現状理解には役立つ。著者は元・農水省事務次官。
■水産業と復興
復興のために、被災沿岸地域の事業再開は欠かせない。そして被災地の産業とは、ほぼ水産業である。漁師の数そのものは少ないが、加工、卸、小売などの水産業関係者を含めればかなりの数にのぼる。気仙沼では7割5万人が水産業に携わっているという。
現在の課題は水産加工業である。漁獲そのものも甚大な被害を受けたが、予算措置は迅速にとられ、比較的民間による支援も入りやすい。しかし水産加工業は企業が主体ということもあり、支援が入りづらい(協業型をとらないと申請ができない。非営利セクターの支援も困難)。しかし、三陸で付加価値を生んでいたのは水産加工であり、主な雇用主体でもあった。
水産復興に向けたポイントは、コミュニティ再建にあると考えている。現在、復興支援もあって気仙沼では水産業への需要も高まっているという。だからといって各社が設備投資しても、数年後には元に戻ることで財務体質は悪化する。地域コミュニティの中で、設備・人材・販路などで横連携を行い需要を吸収することがまず求められている。
シリコンバレーでグーグル、アップルといった大手企業の従業員は、夜になれば個別に集まって世界のウェブサービスの動向について議論を交わすという。被災地の中小企業は意外に連携が弱かったようだが、復興にむけて議論を交わすような場が増えても良いだろう。私は以前、若手活動家が集うサロンのようなBarを経営していたことがある(狐の木という)。そうした場も、被災地には必要かもしれない。
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