「(ホンダの)東京青山の本社ビルも宗一郎の地域社会への配慮を見せたものである。青山の本社ビルは奥へ少し引っ込み、建物が丸みを帯び、交差点の見通しをよくしている。ビルの外側はすべてベランダで囲まれている。これは地震が起こったとき、ガラスの破片が落下し、道を歩く人々が怪我をしないようにとの設計だ。ビルには災害を想定し、一万食の食料と飲料水が用意がされて、地域住民にも供給できる準備がされている」p107
「リコーの環境経営について桜井社長(現会長)は次のように言っている。『環境保全はリコーグループの使命で、継続して行うことに意味がある。継続的活動は企業の成長と発展があって初めて実現できることであるそのめには、環境保全を通して新たな経済的価値を作り出していく必要がある。これを環境経営という。リコーグループは全員で環境保全活動と利益創出の同時実現に取り組んでいく』」p232
■概要
ホンダ、リコーという社会貢献を経営に高度に取り込んだ二社を取り上げ、CSR経営とは何かをまとめた一冊。二社の歴史、各経営者の視点、ステイクホルダーとの関係を整理。ブーム的で特定の部署だけが関与する社会貢献ではなく、経営の根幹にCSRが根付いていることがよく分かる。震災もあって社会的責任を果たすことがさらに注目を浴びつつある昨今。企業経営者・担当者や、企業と連携するNPO・行政関係者は読んでおきたい。
■大手企業がCSR経営を実現するためには
ホンダ共同創業者である本田宗一郎、藤沢武夫はいずれも企業が公的な存在だと考えていた。その現れが本社ビルの扱い。目立つ存在にしたり、社員にとっての快適さを目指すだけではなく、地域住民の環境や防災対応にも意識が向けられていた。リコーも、歴代経営者それぞれが強くコミットしていたからこそ、社会貢献と経営戦略の両立による環境経営を実現させている。
http://www.ricoh.co.jp/ecology/
大手企業がCSR:経営を手にするには、創業理念に立ち返って社会貢献と経営戦略を融合。そのうえで経営トップがその実現に強く関与することが求められるだろう。東北ないし地域復興を事業の柱にすえる会社が現れないものかと、考える。
【関連する記事】
- 保育園以上の問題とは何か〜『人事の潮流』(経団連出版, 1681旅)
- 人口減少日本だからこそのイノベーションへ〜『日本型インダストリー4.0』(長島聡..
- [読書] 物流からみた道路交通計画 (1610旅)
- トヨタ財団さんの活動助成と研究助成に注目です(5月1日締切)
- 組織から、個人の時代へ 〜政府政策の変化
- 若手リーダーにみる当事者性〜"ニッポンのジレンマ"より
- 災害救助法から見えてくる、官民情報連携の必要性
- 水産加工業からはじまる東北復興
- 「被災者から変わる必要がある」、という言葉の意味。 〜戸羽太『被災地の本当の話..
- 原発被害の賠償問題は始まったばかり 〜卯辰昇『原子力損害賠償の法律問題』★..


