2012年03月21日

原発問題は、事実を見つめない我々自身にある〜ZDF「福島のうそ」と菅直人氏

 ドイツの公共放送局によるドキュメンタリー「福島のウソ」がネット上で話題になっています。菅直人前首相や東京電力へのインタビューも含まれており、たしかに必見です。(30分番組ですから今晩にでもどうぞ)
http://www.dailymotion.com/video/xpisys_yyyzdf-yyyyyyy_news
 また、本日アップされた日経ビジネスオンラインの記事「前首相、3・11の真相を語る」でも、一国の首相にさえ情報が伝わらない様が語られています。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120316/229865/?bv_ru&rt=nocnt
 これらを見て、多くの人は、電力会社・政府・学者から構成される"原子力村"に嫌悪感を催したことでしょう。私もそうです。
 しかし、問題は別にあるのではないでしょうか。原発問題が感情の問題になっていて、事実関係にいつまでも注目が及んでいない点に、事の本質があると私は考えます。

■菅首相に対して論理的に批判できていたか

菅首相は、記事の中で次のように語っています。
 首相在任中、よく「延命」や「思いつき」と批判されました。ただ、国民は、政策立案の過程はどうであれ、出てきたものの内容で判断してほしい。誤解を恐れずに言えば、国民のためになれば、思いつきであるなしは問題ではない。浜岡原発の停止を中部電力に要請した時も「人気取り」と批判されました。ストレステストの導入もそうです。「ではストレステストはせずに、原発再稼働を原子力保安院に単独で決めてもらっていいですか」と問い返したら、「それでいい」という答えになったでしょうか。従来の法律で保安院が決定することになっていても、国民が納得するはずがない。もっと中身を見て、判断してほしかった。『前首相、3.11の真相を語る』(日経ビジネス)

 「延命」「思いつき」とは、個人の感情を示しているのであって、論理の言葉ではありません。政策的結論に対して、論理的な正否を我々は意識できていたでしょうか。菅氏は、「浜岡原発を停止するか否か」に対して、「今後、30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が発生する可能性が87%ある」との文科省データと、原発の地震・津波対策が十分ないことを停止要請理由に挙げていました。東海地震の発生確率が高いことを否定する人は当然いません。さらに中部電力側の対策が十分だから停止が必要ないとの意見は見当たりません。「菅首相は独断的」「人気取りでやっている」「エネルギー不足はどうするのか」等と、論点がずれた議論ばかりだったように思います。

■政府や東電とも協働できるか

 菅前首相の擁護をしたいわけではありません。我々自身が、「誰が言ったか」「結論ありき」「事実を確かめない判断」などをしていないか、もう一度考え直したいわけです。
 さて、もう一度冒頭のビデオの話に戻ります。ドイツ放送局は、万が一再び大きな震災が起きた時に、津波がなかったとしても、四号機が崩壊する可能性がある。その場合、3月15日以上の大量の放射線が放出されるリスクを問題提起しています。我々がすべきは、事実を見つめ直すことです。情報が入らない、信用ができないならば、事実を入手・分析・整理する方々を全力で応援しないといけません。政府や東電にも、そうした事実を捉えようと努力している人は必ずいます。立場を超えて彼らと協調する必要があると考えます。
 問題は政府や東電にあるわけではなく、事実を捉えようとせずに問題を感情的に扱い続ける、我々の心にあるといえないでしょうか。(3月21日)
posted by 藤沢烈 at 08:53| Comment(1) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
菅前首相はとことん国民目線の人だったのだと思います。
少し前に毎日新聞に載っていた記事を思い出しました。

『 新党ブームに対する菅直人前首相の分析が興味深い。

 「日本人は危機を迎えると、英雄待望論が噴出する。偉い人に委任する『水戸黄門型』だ。だが、民主主義政治は『七人の侍型』であるべきだ。野盗の襲撃に備え、農民は7人の侍を雇い、撃退した。『自分たちが主体だ』という自覚を、農民は持っている」

 侍のリーダーの最後のセリフ「勝ったのはあの百姓たちだ」を、改めて思い出した。』

おまかせ民主主義は卒業しなくてはいけませんね。。。

Posted by MJJ at 2012年03月22日 04:04
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