2012年03月23日

復興人材を育てる3つのポイント


■コーディネイトできる人材が、東北に不足
 被災地における大きな課題の一つは、「人材育成」です。行政、企業、NPOの全セクターで軒並み人が足りません。
 どんな人が足りないかといえば、「コーディネイト」「企画」「推進」「マネジメント」ができるプロフェッショナル人材です。行政でいえば、被災地の課題を理解し、復興庁や県との調整を素早く推進できる人物が求められます。企業でいえば、経営計画を立案しつつ、金融機関、行政、他事業者などとの調整を進めること。NPOも、被災者の声に耳を傾けながら、行政や財団と連携して課題解決に当たることが必要になります。
 そうした人材を供給している好事例はETICです。この一年間で、既に70人の有意な人材を東北に送り込めています。
http://michinokushigoto.jp/project
 もちろん人数は十分ではありません。また全国から紹介し続けるのも限界があります。今後は、沿岸被災地内、少なくとも被災県内で人材育成を図ることが課題となります。

■90年代の地方人材育成を参考にする〜関先生の著作より
 地方における人材育成の参考にするために、今回とりあげるのは、関満博先生による『地域産業振興の人材育成塾』(2007、新評論)です。1985年のプラザ合意を境に、円高ドル安が加速。日本の輸出産業の競争力は失われていきます。そのため、83年に10万あった国内工場は、2003年には5万を割り込みます。企業の廃業数が、新規創業数を上回り始めるのも80年代後半から。この傾向は今に続きます。
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h20/h20/html/k3120000.html
 さてそうした背景の中、90年代からは地方都市では、後継者育成のための様々な取り組みが開始されます。地方銀行、市町村などによる13の具体ケースを紹介し、そのポイントを整理したのが本著です。東北でいえば、北上市「一石塾」と、宮古市「モノづくりのできる人づくり・寺子屋」の事例が紹介されています。

■現場主義と地域単位
 本文の中では、そうした人材育成塾が成功するためのポイントが整理されています。
 ―――――――――――――――
  1.指導者、事務局が常に「彼らに関心を抱き続ける」こと。
  2.世の中の「先端」を実感させること。リアルな現場が望ましい
  3.指導する側が、常に先端の現場に身を起き続けること。
 ――――――――――――――― 
 一般的な研修とは異なり、継続性×現場主義での人材育成が求められるということですね。
 宮古市の事例もあげます。モノづくりのための寺子屋構想は、地場企業の経営者であった田鎖氏が提案したものでした。彼の言葉を引用します。
 ――――――――――――――― 
 1.地域に、ものづくりができる人を作ることが必要
 2.自社だけでなく、地域全体の他社の従業員も一緒に育てる
 3.企業が従業員に教えたいことを選び、必要なプログラムを自ら作る
 4.費用は企業が負担する。行政はこれをやれる仕組みを作る
 ―――――――――――――――
 現場重視に加えて、「事業者単位」→「地域単位」。「行政負担」→「民間負担」といった観点が参考になります。

■復興人材開発のための3つのポイント
 さてまとめます。復興のために、被災地に求められる人材開発のポイントとは何か。
 1.個別ではなく、地域全体で人材育成を考えること。例えば岩手県におけるNPO人材開発をテーマとして、合同で研修を実施する必要があります。いわて連携復興センターの葛巻事務局長の問題意識と重なります。
 2.今すぐもとめられるニーズに即したプログラムを作り、現場を熟知した講師陣が実施すること。例えば、企業や行政と対等に協働できる力が求められます。現役のビジネスマンや行政職員が講師になるのも良いでしょう。あるいは、現地にコミットしている復興リーダーも、講師として適任です。
 3.継続できるプログラムとすること。可能な限り、参加する団体が負担する仕組みとします。また事務局は研修課題を深く理解し、数年先を見通して研修をデザインするべきです。被災地復興の勢いが続くのはこれから三年となります。たとえば岩手県でいえば、2015年末の段階での必要なNPO人材の数と質を見極め、そのためのメニューとその財源を検討する必要があるわけです。

■2000名の人材育成政策が開始
 最後に一つ、2012年度に行われる復興支援政策を紹介します。 
「復興支援型地域社会雇用創造事業」
http://fukkou.chiikisyakai-koyou.jp/outline/
 この取り組みでは、2012年度だけで2,000名の社会的人材育成支援が行われます。六週間以上の研修に対して、一定の要件をみたせば月10万円の活動支援が行われることになります。こうしたプログラムを上手に活用し、3年後の東北を担う人材育成が図られる必要があります。(実施事業者は3月6日段階で公表されています。詳細は下記にあります。上記ホームページにも、4月上旬には詳細が掲載されますから、皆さんぜひ注目下さい)
http://fukkou.chiikisyakai-koyou.jp/pdf/20120308/PDF1.pdf
(3月23日)

posted by 藤沢烈 at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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