2012年04月07日

地域密着により、水産加工業復活を


 今晩は水産加工業について。3月28日のブログ「水産加工業からはじまる東北復興」(http://retz.seesaa.net/article/258360237.html )にて、水産加工業の復活が被災地においていかに重要か。そのために、事業者が経営計画を修正する必要性を整理しました。しかし、92年の4.5兆円から、2008年には3.4兆円にまで緩やかに落ち込んでいたのが日本の水産加工業。個々の取組みだけでは限界があるのも事実です。(財)東京水産振興会によるレポート「構造再編下の水産加工業の現状と課題」をベースに、地域単位での復興の在り方について考えていきます。

■国内水産加工業の現状
 水産加工業は、地域の水産物を原料とすることで、動物性タンパク質を供給。また水揚げ量と消費のアンバランスを調整し、価格調整する役割を果たしてきました。
 しかし水産加工品生産量は、近年は毎年10万トン単位で減少中。製造出荷額は最盛期(1992年)から1兆円減少。事業所も12000社から8千社を切っています。気仙沼は1992年〜99年まで600億円を超えていましたが、震災前にすでに400億円にまで落ち込んでいました。その背景には、水産資源減少によって原料調達が厳しくなってきたこと。また量販店や外食チェーン主導の価格形成が進んでいることがあげられます。
 そうした環境変化の最中に、泣きっ面に蜂のように東日本大震災が発生したわけです。

■地域一体となって、原料調達を図る
 東京水産振興会が調査した事例を紹介しつつ、今後の復興に向けたポイントを整理してみたいと思います。まずは、原料調達の安定化をこころみたケースです。
1.石巻・塩釜・仙台。かまぼこに代表される、ねり製品が主力産品となります。従来はアメリカのスケトウダラを原料としていましたが、価格が高騰。その後北海道すり身に切り替えたものの、価格の割に質が高くありませんでした。そのため、現在は中国・タイ・韓国・インドなど南洋のすり身調達に移行し安定を図っています。
2.気仙沼。「タンク取り」という手法の導入により、一日のカツオ取扱い料は300トンから1000トンに向上しました。そのことで、外来船の誘致を促進することができ、結果として原料調達の安定化を実現できています。
3.静岡。「静岡県うなぎ加工業者連絡協議会」を2002年に設立。減少するうなぎ原料を融通しあえる体制の構築を図りました。
 いずれも個社単位では解決できない取組み。地域としてブランド確立を図る意思のあることがうかがえます。

■地域一丸となって、加工・販売を革新する
 続いて、加工・販売についての先進事例。やはり地域が一体となった改革を実現しています
1.気仙沼。HACCP(食品に潜む安全上のリスク要因を分析・除去する手法)を地域で導入。独自基準を策定しながら、衛生環境を背景としたブランド化を進めています。その事で海外輸出も強化しました。
2.長崎県。水産加工業界と行政が連携し、品質に関する独自基準を設定。「平成長崎俵物」のブランド確立を目指しています。
3.茨城県大洗町。「海山いきいき直売センター」で鮮魚と加工品を販売。アクアワールド大洗、大洗リゾートアウトレットでの販売も強化。観光と水産加工業を結合させています。
4.沼津。年間400万人の観光客をターゲットに。土産物店への卸売活動を強化することはもとより、土産物市場に参入する水産加工業者も現れています。

■地域と個社の取組みを両立する
 「原料調達」「漁業物との連携」「衛生環境整備」「観光との連動」「ブランド化」。いずれをとっても、一事業者ではなく、地域単位での取組みが求められます。実は、震災前まで、東北の水産加工業者は必ずしも連携は取られていませんでした。今回の災害を契機に、加工業者、漁業者、販路、行政などが一体となって復興にむけて取り組めるか。地域密着できるかが、最大のポイントになっています。
 市町村単位での連携と、個社ごとの計画策定。その二つを同時に達成できないか、RCFの水産業チームも日夜検討を続けています。(4月7日)

■参考資料
みなと新聞「北から南水産加工業GUIDE2011」(2011)
東京水産振興会「構造再編下の水産加工業の現状と課題―平成21年度事業報告」(2010)
http://www.suisan-shinkou.or.jp/promotion/pdf/report_2009_1.pdf
東京水産振興会「構造再編下の水産加工業の現状と課題―平成22年度事業報告」(2011)
http://www.suisan-shinkou.or.jp/promotion/pdf/report_2010_1.pdf
(全文PDF化されていますから、関心ある方はご一読下さい)

posted by 藤沢烈 at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック