2012年04月09日

スマートシティは、被災地を復興させるか


 スマートシティとは、情報通信/エネルギー技術を用いた持続可能な地域社会システムのことです。2010年から注目されていましたが、震災による地域社会の破壊や、原子力エネルギーの信頼喪失で、このコンセプトは新たな局面をむかえつつあります。被災地復興においても、くりかえし出てくるキーワードであり、少しまとめて勉強しました。(定義→ http://www.blwisdom.com/word/key/001434.html )
 ITによる社会変革、地域コミュニティの将来像、次世代エネルギー、環境、震災復興からオープンガバメントにも関係します。こうした分野に関心を持つ人には理解いただきたいわけです。震災によって、スマートシティの概念はいかに変化しつつあり、また進展するかについて整理してみます。

■スマートシティによる6つの社会分野変革
 スマートシティが成立する前提として、スマートグリッド技術の進展が必要となります。スマートグリッドとは、簡単に言えば電力と通信の統合のことです。スマートメーターは聞いたことがあるでしょうか。生活や仕事のあらゆる場面で電気が使われていますが、使用電力量を設備・機械ごとに計測し、ネットに繋ぐための装置です。これにより電気の使用状況を見える化でき、またネットを通じて個々人がコントロールできるようになります。
 この技術を応用し、環境に配慮する形でマネジメントされる都市・地域を創りだそうとするのがスマートシティです。そもそもは2008年、米IBMが「スマータープラネット」という概念を掲げたのが発端でした(http://www-06.ibm.com/innovation/jp/smarterplanet/ )。
 スマートシティでは、6つの社会分野の変革が期待されています。1安心・安全。2エネルギー。3.ヘルスケア/医療。4交通。5行政。6教育です。通信技術によって、石油に頼らない持続可能なエネルギーを確保。その上で地域に情報環境を張り巡らせ、快適な生活空間を生み出すことを目指しています。

■国内スマートシティの歴史
 さて、こうしたスマートシティ政策がいかに日本で進んできたかを整理しましょう。開始は2008年。政府は「環境モデル都市構想」を打ち出し、北九州市、横浜市など13都市を選定します(http://ecomodelproject.go.jp/ )。つづいて経済産業省が「次世代エネルギー・社会システム協議会」を設置。省内でスマートグリッド、スマートシティに関する検討を行います(http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004633/index.html )
 2009年の鳩山内閣誕生はこうした政策を後押しします。当時の鳩山首相がCO2の25%削減を国際公約したことも受け、2010年の新成長戦略では、「グリーンイノベーション」が七つの成長分野の筆頭に挙げられ、50兆円の需要創造・140万人の雇用創造を生むと目されました。(http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/senryaku_point.pdf )
 その後も2010年、総合特区制度ではスマートシティ推進に向けたアイデアが公募され、278団体から450のアイデアが寄せられました。また新成長戦略に基づき、環境未来都市という国家戦略プロジェクトが開始されています(http://futurecity.rro.go.jp/about/ )。

■震災により加速するスマートシティ
 このタイミングで発生したのが東日本大震災です。そのことにより、内容面と政策面の変化が置きつつあります。キーワードは「レジリエンス」。日本語でいえば「適応力」となります。災害によって地域がダメージを受けても、スピーディに復旧できる力が求められることになりました。スマートシティを考えるにあたって、快適さや環境配慮以上に、都市機能の持続性や回復力が求められることになったわけです。
 震災復興への比重強化に、スマートシティ政策も影響を受けます。環境未来都市の選定にあたって被災地域であるかが考慮。結果として11件のうち、6件は被災地から選ばれています。(http://futurecity.rro.go.jp/boshu/sentei/ )

■スマートシティは、被災地を復興させるか
 以上、国内でのスマートシティ展開についてまとめました。
 震災復興において、現在被災自治体で動いているプロジェクトは土木・建築系ばかり。医療・交通・教育といったソフト面での地域づくりは進みが遅い状況があります。スマートシティはそうしたソフトを補う側面があることに期待しています。「次世代エネルギー」「情報ネットワーク」という大文字が被災地の実情とかけ離れていますから、東北には現実的でないと考える人も多いでしょう。とはいえ、釜石市や大船渡市や南相馬市がプランを練った事実も軽くはありません。ソフト面での地域づくりの推進根拠として活用したいと考えています。(4月9日)

■参考文献
気仙広域環境未来都市(大船渡市・陸前高田市・住田町) http://futurecity.rro.go.jp/teiansyo/kesen-koiki_sankou.pdf
環境未来都市構想(釜石市) http://futurecity.rro.go.jp/teiansyo/kamaishi_sankou2.pdf
岡村久和「スマートシティ」(2011)
エネルギーフォーラム「「スマート革命」の衝撃」(2010)
村上憲郎・福井エドワード「「スマート日本」宣言」(2011)
「編集長が語る スマートグリッド産業のすべて」(2011)
posted by 藤沢烈 at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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