では、地域復興計画はどのような手順で作成すべきでしょうか。地域社会の研究者である山崎丈夫氏による『地域コミュニティ論』を参考に整理してみます。
■1.現状把握
計画をつくるにあたって、まずはコミュニティの現状を知る必要があります。もちろん現地の皆さんの方が詳しいわけですが、かえって古かったり偏った知識に留まることもあります。数字にしたり、他地域と比べてたりして客観的に地域を捉えることは、外の人間だから可能なことです。
まずは地域の行政情報をすべて集め、整理します。市役所にいけば、コミュニティ単位の人口や産業動向はすぐに集められます。他には交通、自治会運営状況、祭事もチェックしておきましょう。もちろん市町村のウェブサイトや復興計画は読み通します。
続いて、地域をとにかく歩く、歩き、メモをとります。可能であれば住民からヒアリングさせて頂いたり、住民同士で現状把握のための話し合いをもつことも有効でしょう。
得られた情報の中で、短期的中期的に解決が必要な問題を地域の地図に落としこんでいきます。これをコミュニティマップと呼びます。
■2.課題の集約と共有
計画を作る上で避けるべきは、全ての問題解決を図ってしまうことです。現地で発生している問題を洞察していけば、共通の原因が見えてくるものです。同時に、解くべき課題を住民の皆さんのなかで合意していくこともポイントになります。
そこで、先につくったコミュニティマップを活かします。問題が書かれた地図を住民の皆さんと一緒にみながら、問題点の深堀を行なっていきます。そうした中で、復興において解決すべき重点課題が見えてきますし、同時に合意形成を図ることもできるわけです。
絞られた課題と、解決の方向性をまとめたものを文章(ドキュメント)にしておきます。これを地域カルテと呼びます。
■3.地域復興計画の作成と行政への提出
「課題」と「合意」を経て、ようやく地域復興計画を作ることができます。地域カルテを前提としながら、まずは素案を作成します。素案は、縦軸に課題を並べ、横軸を時間として整理します。この一年間で取り組む計画と、中長期的な計画を区分するわけです。
作られた地域復興計画を、改めて住民の皆さんと合意を図ります。なお、合意する際に、特定の個人や団体に絞らないことが重要です。「復興まちづくり協議会」のように、その地域における主要な個人・団体が全てオープンに集まり、行政が代表性を認めている場があることが前提となります。そうした協議会で、地域復興計画を議論し、決めていくことが求められます。作成された計画は住民に広く公表しつつ、行政に正式に提出を行います。その際にはメディアに集ってもらうことも効果的でしょう。
住民が主体になってつくり、行政が認める地域復興計画がどれだけ被災地にできるかが、復興のバロメーターとなります。こうした計画を一緒につくってもらえる個人や団体をRCFは求めています。関心がある方はぜひ御連絡を下さい。(5月7日)
■参考文献
山崎丈夫『地域コミュニティ論[三訂版]』(2009, 自治体研究社) 1462旅