(写真は、6月16日午前中に行われた、復興リーダー会議勉強会の模様です)
■東日本大震災における復興基金のこれまで
阪神/中越大震災と東日本大震災における違いの一つは、復興基金にあります。阪神の時は、震災発生から3ヵ月目にして「阪神・淡路大震災復興基金」が設立されています。当時は被災者生活再建支援法がなかったため、個人の生活支援の狙いが色濃い基金でした。中越の時は、発生から5ヵ月目に基金が創設されています。こちらは、コミュニティ再建の狙いが強い基金でした。東日本大震災では基金の使われ方はまだ不透明です。ここまでの経緯と課題をまとめました。
□1,960億円の「取り崩し型復興基金」の創設
東日本大震災で、まず基金設立に向けて動いたのは宮城県でした。震災から五ヶ月目の8月に、160億円の取り崩し型基金創設を発表しています。被災漁業者に船をリースする事業や、中小企業施設整備で国の補助からもれた事業者向けの事業が予定されていました。いち早い動きだったと言えるでしょう。
その後、各県からの要望が実ったこともあり、2011年10月17日に「取り崩し型復興基金」の創設が総務省より発表されます(http://www.soumu.go.jp/main_content/000132404.pdf )。総額は1,960億円にものぼりました。
直営方式・財団方式などの方法は県に委ねられましたが、その後、結果としていずれの県でも直営方式が採用されています。例えば岩手県の場合、国からの復興基金に向けた特別交付金が420億円。これにクウェート国からの寄付金80億円を合算した500億円により、震災津波復興基金を設立しています(2011年11月21日に予算案発表。http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/20111122_08.htm )。このうち210億円は市町村に被災規模に応じて交付。岩手の場合、最も多いのは陸前高田市で37億円でした(http://www.jice.or.jp/sinsai/sinsai_detail.php?id=3190 )。
□今年度は一部の活用にとどまる復興基金
こうして全体では9県200以上の市町村に振り分けられた復興基金ですが、その後どのように活用されているのでしょうか。幾つか例を上げます。
・岩手県野田村は住民の住宅整備補助に、4億円のほぼ全てを充てようとしているとのこと。(毎日新聞5月12日)
・岩手県大船渡市では、住宅を自力再建する被災者へ敷地造成費と水道工事費を補助します。また地域公民館整備に一件1000万だします(岩手日報4月27日)。
・宮城県石巻市では、店舗復旧費用や、観光施設再建のための補助に使われているようです。
・福島県いわき市では県外観光客に最大一万円補助。1.5億予算計上しています。
以上のようなケースが出始めているものの、使い道が定まっていない市町村が多いようです。
□基金活用における時間軸の意識と、個人・コミュニティ×ソフト向けに活用できるかが課題
中越を例にとれば、被災後3-4年目に復興基金は大きく活用されました。被災者が仮設住宅から離れて生活再建を行うための支援が必要になったためです。今回も同様と言えるでしょう。仮設住宅からの退去は2014年夏がピークになります。そうした時間軸に対応して基金の活用の検討が為されているが大切な論点です。
阪神では個人向けに、中越ではコミュニティ向けに基金は活用されました。財団法人という行政とは別組織を作ったために行政施策と役割分担がなされ、「公的設備よりも個人・コミュニティ」「ハードよりもソフト」といった支援を実現できました。しかし、今回は直営方式になっているため、基金が行政施策と一体化されています。そのため、個人・事業者・NPOへの支援に行き届くかも課題になります。
□マルチステイクホルダープロセスによる基金運用を
行政のみでは、ハード支援に偏ったり、公平性を重んじる余り迅速性に欠けた支援になりがちです。民間だけでは特定のターゲットのみの支援にとどまったり、行政支援とのダブリが生じます。そこで、行政・住民・事業者・NPO・アカデミック等によるマルチステイクホルダープロセスに基づいて、基金が運用されることが望ましいと考えます。
この方式によって、被災者ニーズにあった事業を公募することもできます。コミュニティの力を活用することで費用を抑えた事業を組み立てられます。また事業実施にあたって広く募集をかけることもできます。こうしたプロセスを実現するためには、個人的には面倒でも財団法人を別途立ち上げることを検討すべきと考えます。
10年にわたる復興を成功に収めるためには、行政と民間の強い連携が必要となります。その橋渡しのような機能も果たすのが復興基金です。県と市町村に配分された基金が、官民連携といった観点でも有意義に使われるように、働きかけたいと考えています。
■復興支援日誌 6月17日(日)
今朝は田町スターバックスにて、菊池さん成田さんとディスカッション。仮設支援員事業の調査や今後の展開について協議しました。その後は図書館へ。復興基金のこの一年間の流れを新聞を通じて理解しました。後で紹介します。その後、東京駅にて、親友T君の今後についてジョブウェブ佐藤社長と共に語り合います。とてもユニークでT君らしい結論が出たように思います。その後、新幹線に乗り大阪へ。明日から二日間は復興支援を離れ、某企業研修講師です。論理力と問題解決について毎年教えています。こちらも大切な仕事です。(烈)


