先週の8月6日、自民党と公明党は、政府に対して復興提言を行っています。NHKによる報道をご覧下さい。
「自民・公明両党は、東京電力福島第一原子力発電所の事故からの復旧や復興の加速に向けて、長期間、戻るのが難しいとされる「帰還困難区域」の住民が、もとの自治体に5年以内に戻り居住できるようにすることなどを盛り込んだ提言を、安倍総理大臣に提出しました」
『自公 福島の復旧・復興加速へ新提言』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140806/t10013604151000.html
なお、全文PDF(21ページ)はこちらに公開されています。
『東日本大震災 復興加速化のための第4次提言〜協働の力で希望と自立へ〜』
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/125707_1.pdf
前回は、原発避難者の道筋について、帰還だけでなく避難先での定住も選択肢にいれることが提言されました(※1)。実際、その方向性で政府の施策は進められつつあります。今回の4次提言でも、重要なトピックが含まれています。3つ紹介しましょう。
■1. 福島は、国も復興を主導する
『地域の復興についての基本的な進め方について、岩手・宮城両県で進めた「復興は国が押し付けるのではなく、地域が考え、地域がつくる」という考え方ではなく、福島にあっては、国・県・市町村および住民が協働作業で復興計画をつくり、実現に向けて国がけん引していくことが重要である』(p4)
民主党政権化に創られた復興計画の最大の特徴は「自治体が主導する」というものでした(※2)。福島を支援する中で感じるのは、今回の震災への対応は市町村や県では限界があるということ。そうした中で、改めて国も計画をつくり、推進することを示すというのは、大きな意味が有ります。
■2. 緊急事態管理庁
『今回のような同時複合災害に対する備えとして、国・地方、さらには民間を含め、現場の救助・復旧面や行政面での人員を機動的に動員、指揮命令できる権限を持ち、平時にあっても救助・復旧に関する研究、機材の開発、訓練等総合的に対応する「緊急事態管理庁(仮称)」等の設置を至急検討する』(p4)
また今回は、災害発生時のための組織についても提言されています。震災直後に私も内閣官房の仕事をしていましたが、国の連携はまだしも、国と地方、行政と民間の連携は十分ではありませんでした。今後起きえる災害に向けてこうした組織ができることは極めて重要だと思います。昨日のブログ『Lアラートは、NPO情報を災害時に伝えられるか』(http://retz.seesaa.net/article/403485112.html )で書いたような、ネット含めメディアとの連携もぜひ進めたいところです。
■3. NPOとの協働
『市町村と被災地で支援活動を行っているNPOが協力して、地域の課題を解決していくこと』(p18)
『復興に向け、住民とともに、政府、自治体、企業、NPOなど様々な関係者が懸命の努力を続けている。われわれもともに汗をかきつつ、「自立」を目指して、関係者のさらなる奮闘を切に願うものである。ともに「協働」の努力をしようではないか』(p21)
ソーシャルセクターであるRCFの立場としては、「NPO」が二回出てきたことも見逃せません。行政・企業と共に、NPOも復興の担い手であること。また協働の重要性が認められています。
以上のように、これからの復興政策の動向を知る上で、与党提言は重要です。一読頂くとともに、引き続き注目下さい。
□参考
※1『「全員帰還」から転換 自公の復興3次提言、移住者手厚く』(福島民友、2013年12月11日)
http://www.minyu-net.com/osusume/daisinsai/serial/131211/news1.html
※2 『復興への提言』(東日本大震災復興構想会議、2011年6月25日)。特にp2の復興構想7原則の原則2を参照
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/pdf/fukkouhenoteigen.pdf
■お知らせ
□RCF復興支援チームでは、復興コーディネイターを随時採用しています。
http://rcf311.com/recruit/
□東北復興に関心ある方は、twitterとfacebookのフォローを是非お願いします→
https://twitter.com/retz
https://www.facebook.com/retzfujisawa
(了)