福島のアーカイブ拠点施設の委員への打診(※1)があってから、急きょ博物館について学び直しています。大きな論点の一つは、指定管理者制度の是非。これにより2003年から民間企業・NPOが博物館経営を行うことができるようになったわけですが、博物館関係者ほど反対の方が多いですね。
博物館経営は10年以上の長きに渡るもので、せいぜい数年で契約が途切れる制度では、運営が困難だと反対派は主張します。一方、民間の創意工夫によって活性化もできますから、どちらかを選ぶのは難しい。次の引用は、肯定派の方より。
「NPO運営によって公立博物館を再生させることができたポイントは次の通りである。1.地域の課題や市民のニーズに対応するミッションの策定。2.指定管理者に運営を任せる。3.指定管理者制度をコストや人員の削減を目的にするよりも、住民サービスの向上をはかることや、ミッションを達成するために導入する。4.NPOと行政とは、連携を密にしながら博物館の事業を行う。5.地域の多様なコミュニティの人たちや組織・団体の協力や支援・参加を促すことに配慮。6.評価制度を導入し、情報公開する」p3
『公立博物館をNPOに任せたらー市民・自治体・地域の連携ー』(金山喜昭, 2012)★3
ミッション、組織、連携、評価。マネジメントの視点が色濃い内容です。しかし、民間的なやり方を拙速に導入してしまうと、経済性・効率性に重きがおかれ、結果的にコスト削減しかもたらさないことも。
RCFは、公の領域にいま少し民の視点を入れた方がよいとの立場ですが、同時にそのためには公の歴史と文化を真摯に学び続けるスタンスが必要であるように思います。
明日5/6のお題は「コーディネーターが求められ/身に付く3つのコアスキル」です。
※1
福島アーカイブ拠点施設の有識者会議委員に委嘱いただきました。(5月4日)ー藤沢烈BLOG
http://retz.seesaa.net/article/418387413.html
■おしらせ
□5/30の社会的インパクト投資シンポジウムに登壇です
→http://impactinvestment.jp/2015/04/529-302.html
□藤沢烈の新著が3月11日に講談社より発売されました。『社会のために働く 未来の仕事とリーダーが生まれる現場』。購入は→http://ow.ly/JI7F3