2015年05月07日

補助金が問題ではない。外部性が問題である。(5月7日)

P5060850
バラ園にて。

「平成20年度のデータによれば資料購入費を持たない博物館は全体の56%、100万円未満の館を加えると実に76%に上る」p230
「全国の公立博物館、美術館においても予算削減と人員削減により、十分な文化財の収集、保管、調査研究が難しい状況が進行している。また、館の調査研究に立脚したオリジナルな企画が減少し、集客を強く意識した娯楽性の高いイベントが増加しつつある」p231
『博物館危機の時代』(辻秀人, 2012)

 学芸員出身で、現在、東北学院大学博物館館長による一冊です。「公立博物館をNPOに任せたら」は、博物館の"民営化"の利点をまとめた本でした(※1)。ただし、なぜ民営化が進んでいるのかの背景も知る必要があります。引用にあるように、「予算削減のながれ」→「指標(KPI)の設定」→「集客数など、安易な目標にながれる」といった状況にいたっています。
 復興や地方創生で同様のことが起きそうです。3ヶ月前に、「KPI原理主義」の危険性を書きました(※2)。また、持続性の名の下に、補助金を問題視する流れがあります。
 しかし、外部経済性があったり(ex教育)、外部不経済があるから(ex公害)、市場ではない行政やNPOの存在意義があるわけです。補助金かどうかではなく、外部性があるかどうかを見つめる必要があるはずです。
 明日5/8は、「博物館と観光、コッツウォルズと釜石」。博物館・観光・復興の流れについて書きます。

※1 博物館をNPOに任せたら。(5月5日)ー藤沢烈BLOG
http://retz.seesaa.net/article/418433606.html


※2 地方創生でKPI原理主義がはびこる恐れ。(2月7日)ー藤沢烈BLOG
http://retz.seesaa.net/article/413651056.html


※3 外部経済性ーコトバンク
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%96%E9%83%A8%E7%B5%8C%E6%B8%88%E6%80%A7-184167




■おしらせ
□5/30の社会的インパクト投資シンポジウムに登壇です
http://impactinvestment.jp/2015/04/529-302.html
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posted by 藤沢烈 at 06:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 街と人の旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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