2015年05月16日

ミュージアムと地域と原発事故と。(5月16日)

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伊豆旅行中にみつけたお地蔵さま

 福島県のアーカイブ拠点施設有識者会議の第二回が、5月14日に行われ、委員として参加しました(※1)。今回は、人と防災未来センターから研究部長の村田昌彦さんがゲスト参加。「人防」の機能についてプレゼンされ、勉強になりました。
 関連して、今回は「震災☓ミュージアム」という切り口の二冊を紹介しておきます。
「膨大な人手を要して地域史料の保全措置を行うからには、その地域が再生するという希望が少しでもあれば続けていけますが、その希望が持てるかというと、何の確証もありません。これが今、やっていて非常につらいし、誰がその答えを出せるのか、どうすれば地域を再生させることができるのか、出口が見えない所にいるもどかしさを感じます」p205
『被災地の博物館に聞く〜東日本大震災と歴史・文化資料』(国立歴史民族博物館, 2012)★3ー1621旅

 こちらは、震災でダメージを受けた三県の博物館職員によるレポート集。引用は、福島県歴史資料館の本間さんにより。2011年7月の講演であり、原発の影響もまだ分からない頃のやるせなさが伝わります。アーカイブは、地域が成り立っていてこそ意味があるのでしょう。
「震災後個人の中に埋もれたままになっている言葉を、映像を通して感想を語り合うことで掘り起こす『こえシネマ』。中学生や高校生が震災後の身の回りの生活と社会について考え対話する『U-18 てつがくカフェ』。メディアテークは、震災を乗り越え仙台に生きている市民の姿を知るためのミュージアムとしての役割を果たす」p68
『地域を変えるミュージアム』(玉村雅敏, 2013)★4ー1622旅

 引用は、せんだいメディアテーマの様子。展示に留まらず、入館者を"参加"させながら、震災後の仙台での生活を演出しています。本では全国のユニークなミュージアムを30紹介されていて、学びとなります。著者は、地域における社会イノベーションの触媒としてミュージアムを位置づけています。福島のアーカイブ拠点も、原発事故から福島が立ち直るための、前線基地のような機能を果たして欲しいと、思います。

※1 福島アーカイブ拠点施設の有識者会議委員に委嘱いただきました。(5月4日)
http://retz.seesaa.net/article/418387413.html

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posted by 藤沢烈 at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 街と人の旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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