2007年12月26日

69旅 『生きることと考えること』森有正 ★★

「自分の感覚と、自分の理性と、また自分の意思と、そういうふうなものをできるだけ働かせて、そうして自分の考えというものを築き上げていく――一つの経験として与えられたものを素材として築き上げていく。それを養うために先生にも教わるし、友だちとも交わるし、またいろいろな過去の人間がつくりあげたもの、それが造形芸術品であっても、文学であっても、そういうもので絶えず自分を養いながら、自分の考えをだんだん深め正確なものにしていく」p215
「人から聞いたことが、一応話のつじつまが合えば、そのままそれで自分の知識になってしまうのでしょう。自分で見たかどうかということが問題ではなくて、そこにあるのは、要するにつじつまが合うかどうかということだけということになります。これは非常に危うい。つじつまなどいつでも合わせることができる」p192
森有正『生きることと考えること』(講談社,1970)


 森氏は、考えることが生きることに繋がるという。ここでいう考えるとは、論理的思考(つじつま合わせ)とは違う。
 殺人事件をみると、「この人は異常な行動をとっていたから、事件をおこした」のだと、コメンテーターの言葉を信じてしまう。ここには経験はなく、納得しやすい論理(つじつま、あるいはロジック)しかない。
 森氏は、経験を積み重ねながら、理由ではなく意味合いを探っていくことを説いている。万人共通の理由ではなく、個人としての神話を持つことに近いと言えないか。



□参考ウェブサイト
『森有正』
posted by 藤沢烈 at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/74736830

この記事へのトラックバック