2008年04月09日

199旅 『中空構造日本の深層』 河合隼雄 ★★★★★

『日本の神話では、正・反・合という止揚の過程ではなく、正と反は巧妙な対立と融和を繰り返しつつ、あくまで『合』に達することがない。あくまでも、正と反の変化が続くのである。つまり、西洋的な弁証法の論理においては、直線的な発展のモデルが考えられるのに対して、日本の中空巡回形式においては、正と反との巡回を通じて、中心の空性を体得するような円環的な論理構造になっていると考えられる』pp46-47
河合隼雄『中空構造日本の深層』(中央公論新社, 1999)

 日本の文化遺伝子といえば、古事記から日本人の本質をとらえた、河合隼雄を外せない。
 中空構造と呼ぶ性質が、日本人の深い特性であると河合は考えた。古事記では、繰り返し三神があらわれるが、その中心には無為の神がおかれる。この構造が、日本人の思想、宗教、社会に大きな影響を及ぼしているという。
 西郷隆盛にはじまり、最近の経営者にいたるまで、トップは無為の存在でいることが尊ばれる。トップが尖った存在であると、織田信長にみられるように、周囲にねたまれて引きずり降ろされてしまう。
 ところで、こんな事を考えてみた。現実の世界は、互いが分かれた世界。しかし生まれた直後や、死後土に戻れば、一体化された世界に向かう。前者はこの世で色。後者はあの世で空。
 西洋では、直線的にこの世の先にあの世がある。中空構造をもつ日本はどうか。あの世たる中空の回りに、この世がある。この世から死ぬと一度中空へ飛び込み、離れることで再びこの世に戻って繰り返し生きている。
 あるいは、生をうけているこの瞬間でも、色と中空をいったりきたりし、閃きを得たりしているのではないか。

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□参考ウェブサイト
『中空構造日本の深層』(千夜千冊)
『河合隼雄』

posted by 藤沢烈 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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