2008年05月17日

275旅 『東洋的な見方』 鈴木大拙、上田閑照(編者) ★★★★

「東洋の人は、すべて何ごとを考えるにしても、生活そのものから、離れぬようにしている。生活そのものに、直接にあまり役立たぬ物事には、大した関心をもたぬのである。そうして、その生活というのは、いわゆる生活の物質的向上ではなくて、霊性的方面の向上である。それゆえ、この方面を離れないように、物事を考えて進む。音楽を学ぶにしても、それがどれほど、その人の霊性的面に利することあるか否かと考える。絵をかくにしてもまた然りで、古人は胸に万感の書を収めておかぬと、ほんとうの絵はかけぬといった。美というものは、霊の面から見るべきで、単なる抽象的美をのみ云々すべきでないのである」pp29-30
鈴木大拙、上田閑照(編者)『新編 東洋的な見方』(岩波書店, 1997)

 鈴木大拙が、なんと90歳前後に書いたエッセイを中心にまとめられたのが本著だ。井筒俊彦もそうであったが、鈴木大拙も最晩年は日本に戻っていて、最後にいきついた思想をあらわした。
 私はかねて日本に眠る東洋思想の源流をたずね、我々若手世代の手によって復活させたいと考えている。その見方が何かが、本著でははっきりとえがかれている。
 大拙はこのように説明する。西洋は、「光あれ」以降、すなわち主体と客体に分化した後を探究する。東洋は、文化する以前の混沌とした状況を意識する。西洋は、客観的・分析的に物事を見つめていく。東洋は、分かることよりも、精神的・霊的な成長を目指していく。
 日本から世界へ貢献できることはなにか。ビジネスならば、商品・サービスを世界市場に問いていくことだろう。ただ生活に寄与するだけならば、それは西洋のサービスと代わりはない。新しい時代にとっての精神的な価値を届けるといった姿勢が、求められるのではないか。

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□参考ウェブサイト
『鈴木大拙』

posted by 藤沢烈 at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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