2008年06月03日

309旅 『絶望の精神史』 金子光晴 ★★★

「これからの日本人の生き方はむずかしい。一口に、東洋的神秘とよばれていた不可解な部分を、日本人もたしかにもっていた。腹切りだとか、座禅だとか、柔術だとか、芭蕉の境地だとか、それに、なにかの実用価値か芸術価値があるにしても、それ以上に神秘な、深遠なものと解釈し、日本人の精神的優位を証明する道具に使われたりすることは、日本人自身としても警戒を要することだ。それは、日本人を世界からふたたび孤立させようとする意図にくみすることにほかならない」p32
金子光晴『絶望の精神史』(講談社, 1996)

 著者は、太平洋戦争をはさんで生きた反戦の詩人。明治・大正・昭和の時代を生きて、絶望しない楽観的すぎる日本を批判した。
 本著は、日本人が背負う宿命をあきらかにすべく書かれたエッセイになる。日本人のダメさかげんを書いた後に、今後の日本の在り方に思いをはせる一冊だ。
 金子は、日本のもつ精神性が戦争に利用されたことを忘れるべきではない、とする。精神性を重視したい私も、この点は賛成だ。精神性を日本人が内輪で語っていては、選民思想につながるのみ。
 日本人は世界の思想をとりこみ、そして逆輸出する中で、自分たちを海外にもみこんでいくべきだろう。日本の中ではスピリチュアリズムへの批判は強いが、そのことも、海外に出ていくべき、といったサインなのだと思っている。

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□参考ウェブサイト
『金子光春』

posted by 藤沢烈 at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の旅 ★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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