2008年10月31日

626旅 鏡味義房『社内起業完全マニュアル』★★

「親会社が100%出資しているなら、減資、増資という決定もしやすく、軌道に乗り始めた段階で、過去の累積損失をなくして、正常な姿になることができます。親会社は、単に増資に応ずることより、減資、増資という形で効果的に投資をすることができるのです」p38
鏡味義房『社内起業完全マニュアル』(明日香出版社, 2005)

 社内起業などのコンサルタントをしている著者による一冊。社内起業における注意点が簡易にまとまっている。
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 高いメリットがある一方、期待成果が求められるのが社内起業である。例えば財務面では母体企業からの資金提供が可能であるし、複数株主がいる場合に比べて、市場変化・財務状況に対応した資本政策が行いやすい。一方、母体企業並みのきわめて高い利益を求められることも多い。
 あるいは人材を母体企業に求めやすい面があるが、一方、親会社のリストラの受け皿とされて、労働集約的なビジネスを行わざるをえない事もある。
 重要なのは、社内起業の目的が何かを、母体企業と十分コミュニケートすることだろう。利益とリストラの受け皿の二つを期待されてしまっては、社内起業は強く矛盾した状態に陥ってしまう。

□参考ウェブサイト
『社内ベンチャー/社内起業家』



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2008年10月24日

608旅 野口吉昭『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』★★

「論理的思考とも訳されるロジカルシンキングは、主にコンサルタントから企業社会に発信されたものだ。より客観的に、より明確に、よりシナリオ性をもって!という意味だ。簡単に言うと、ロジカルシンキングとは、わかりやすく!することである」p5
野口吉昭『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』(PHP研究所, 2001)

 国内系コンサルティング会社によるロジカルシンキング本。三つの思考法、三つの基盤スキル、三つのツールを、会議やプレゼン・営業の現場でいかに使うを大胆にまとめている。
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 ゼロベース思考、フレームワーク思考、オプション思考が「三つの思考法」とのこと。例えば会議では、あくまで事実に基づいて固定観念にとらわれずに議論を行うのがゼロベース思考。議論の全体像を構造化し、体系的に議論を進めるのがフレームワーク思考。考えつく検討項目をすべて洗い出し最適な選択肢を決められるのがオプション思考とのこと。
 確かに基本となる思考パターンであり、仕事上の様々な局面で活用することができるだろう。

□参考ウェブサイト
『HRインスティテュート』

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2008年10月22日

603旅 茂木秀昭『ロジカル・シンキング入門』★★

「ロジックの構成は、普段あまり意識せずに使っている場合が多いでしょう。しかし、個々の要素を意識的に使えるようになることで、複雑な現象もわかりやすくすることができ、新たな提案に結びつけることも可能になります。このように、三角ロジックは、仮説を組み立てたり、提示したり、検証する際の基本的な方法となります」pp45-46
茂木秀昭『ロジカル・シンキング入門』(日本経済新聞社, 2004)

 異文化コミュニケーションの研究者であり、教育ディベートの啓蒙にも取り組む著者による一冊。問題解決アプローチ、ディベート、プレゼンテーション、日常の鍛え方などが掲載されており盛り沢山だ。
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 その中で、ロジカルシンキングの基本として頻出する三角ロジックについてまとめてみたい。
 考えが論理的な場合は、主張、データ、論拠の三点で構成されているとするのが三角ロジック。相手と自分の発言がロジカルかを確認する場合に、この三点が含まられているかをチェックすればよい。
 ロジカルシンキングでやはり頻出する帰納法・演繹法とは、この三角ロジックの順番と考えればよい。データを説明し、その傾向を語ったうえで主張するのが帰納法。一般的な方針のあとでデータ示し主張するのが演繹法である。
 こうした論理的思考は、他人に説明する場合に限らず、自分一人で発想したり意思決定する際にも使うことができる。

□参考ウェブサイト
『茂木秀昭』

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2008年10月18日

591旅 村沢義久『仕事力10倍アップのロジカルシンキング入門』★★

「ロジカルシンキングとは『論理的に考え、論理的にコミュニケーションするための共通のルール』である。我々は、複雑な問題について考えるとき、様々な問題に突き当たる。『考えの糸口が見つからない、思考が堂々巡りする、結論が見えてこない』などだ。またグループで仕事をするときに、皆の考え方が違っていては、総合力を発揮できない」p3
村沢義久『仕事力10倍アップのロジカルシンキング入門』(毎日新聞社, 2008)

 ブーズアレン、モニターなどのコンサルティングファームの日本代表を歴任後、現在東京大学特任教授をされている著者による一冊。論理的思考の基本が入っており、短時間で手軽に学ぶには適した一冊だろう。
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 文中に出てくる五つのツールを表にまとめなおした。
 分析段階では、網羅的に議論をできるか確認するためのMECEと、個々のファクトの関係性を確かめる二つの考え方が示される。コミュニケーション段階では、論旨を緻密に伝える方式であるピラミッド構造と、見せるチャートにおいてメッセージと事実の組み合わせが重要とのMODDなる考え方が説明される。
 逆にいえばロジカルシンキングはこの程度に収まるのであって、後は繰り返し実践を詰めるかかポイントになる。新人コンサルタントが一年程度でマスターできるのも、実践で用い、上司に厳しく論理性をチェックされるからだ。

□参考ウェブサイト
『ピラミッド原則』(allabout)

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2008年10月17日

588旅 朝の読書推進協議会『みんな本を読んで大きくなった』★★

「わたしが今見ている世界はうわべの世界なのか、わたしは不安でした。氷山の一角という言葉のように、氷山の大部分は水面下にあって人目にはふれません。見える部分はほんのわずかなのです。見える部分は見えない部分によって支えられているのです。見えない部分を知りたいという思い・・。その思いが、今の私の書くという仕事と繋がっているのだと思います」p72
朝の読書推進協議会『みんな本を読んで大きくなった』(メディアパル, 2002)

 活字離れを止める取り組みとして「朝の読書」運動がある。授業前の10分間、学生と教師が10分好きな本を自由に読む活動のこと。千葉県の女子高にいた二人の教諭が1988年に始めたこの取り組みは、トーハンの協力を受けて2005年には2万校を越えたそうだ。
 この活動を推進する協議会が編者となって、32人の作家が子どもの頃の読書体験について語ったのが本著。
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 読書を通じて作家が価値観をいかに作ったかが見えて興味深いが、その役割をまとめてみた。
 まずは左側二つ。無目的な読書を通じて、自分自身の内面を見つけたり、あるいは自分以外の人生を開拓することができる。次に右側二つ。広げられた見えない自分を現実に活かし、あるいは他者との関係を強めることもできる。
 読書を通じて人は精神を旅し、現実で応用することができる。

□参考ウェブサイト
『朝の読書推進協議会』



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2008年10月08日

564旅 藤沢晃治『「分かりやすい説明」の技術』★★

本書では、脳で長期記憶が保存される領域を『脳内整理棚』と呼ぶことにします。情報が脳内関所で仕分けられた後、脳内整理棚の一区画に格納される瞬間が『分かった!』ということなのです。逆に、この脳内関所で仕分けできないために脳内整理棚に保存できない情報が『わからない』『解せない』『腑に落ちない』ということなのです」p29
藤沢晃治『「分かりやすい説明」の技術』(講談社, 2002)★★

 大手メーカーでソフトウェア・エンジニアとして勤務していた著者による、プレゼンテーションに関する一冊。
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 著書による「分かりやすい説明の技術」を構造化してみた。
 全体としては伝え方と内容に二分される。
 伝え方としては、ポイントを伝える前に前提となる知識を話したり、「問い」を投げてから話すといった方法。聞き手の脳内の整理状況、あるいは不安に思っている点を意識しながら話すことが、話を分かりやすくするという。
 内容としては、話全体を構造化したり、根拠を示すといった論理性の意識。またキーワードや事例を通じて具体化させるといった点が重要になるという。
 プレゼンテーションというと、身振り手振りのような見せ方に重点がおかれるきらいもあるが、改めて話しの内容と、内容の背景となる聞き手の心理の見極めが重要だと確認した。

□参考ウェブサイト
『プレゼンテーション』



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2008年09月25日

537旅 小林良彰『空海とヨガ密教』★★

「『空海は真言密教の行法を求めて唐に渡った』というのは、狭い考え方である。正確に言うと、『瑜伽経の内容を含めて、あらゆる行法を求めて』、『誰か良師はいないか』と期待して渡唐したのではないか。(略)空海はこの経典に対して深い思い入れがあった。それを示すことが二つある。ひとつは『高野山金剛峰寺』という寺号である。『瑜伽経』の正式名が『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経』となっているから、その頭文字をとったのである。その意味では、高野山は『瑜伽経』を表現する場所であった」p114
小林良彰『空海とヨガ密教』(学習研究所, 2007)

 空海は真言密教に限らず、ヨガからも強い影響を受けていたことを考察する一冊。著者は西洋経済史の研究家であったが、婦人が空海の母と縁があったことから、長年空海について研究してきたという。
 著者は、金剛峯寺の名前が瑜伽経(ヨーガ・スートラ)に由来があることから、空海とヨガの関係について研究を深めた。
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 ヒンドゥーと仏教は互いに影響を与え合っている。仏教の真言密教にあたるのがヒンドゥーのマントラ・ヨーガになる。また、ハタ・ヨーガ(一般に広まっているヨガはこのこと)は、禅の方法論に近いという。
 この視点に立つと、真言密教を広めたのは空海構想の最初でしかなく、むしろヨーガの立場に立って先へ探求したのかもしれない。そうなると、人里離れた場所に金剛峯寺を建てていたり、最終的に即身成仏の道を歩んだのも理解できる。

□参考ウェブサイト
『瑜伽』


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2008年09月12日

510旅 ダン・ブラウン『天使と悪魔 下』★★★

「人類が車輪を自動車へ進化させるのには何千年もかかりました。ところが、自動車から宇宙船への進化はほんの数十年間の出来事です。(略)亀裂がますます深まり、宗教が取り残されるにつれ、人々は虚無感に教われます。わたくしたちは意味を求めて叫んでいます」p20
ダン・ブラウン『天使と悪魔 下』(角川書店, 2006)

 『天使と悪魔』の最終巻。ここでテロリスト達の正体が分かり、何と何が戦っていたのかが明かされていく。
 本著では、主人公ラングドンは初めセルンに招かれ、その直後にヴァチカンに飛ばされる。科学者たちと枢機卿たち。まさに科学と宗教のくっきり分かれた対立構造のまま進んでいくように見える。
 引用は教皇代行による言葉だがここでも、急速に進む科学と、人の心を取り持つ宗教との対立が表現されているように見える。
 しかし、そう単純でもないことが、話の進む中で見えてくる。科学に近い宗教と、宗教に近い科学。これらが交錯しながら、何が敵で味方か。あるいは天使か悪魔かがぼやけていく印象になる。
 やがて小説は終わる。少なくとも感じるのは、科学と宗教を対立点におかない、別の切り口を求め続る必要がある、ということだ。

□参考ウェブサイト
『天使と悪魔』

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2008年09月10日

507旅 川北義則『"自分の時間"のつくり方・愉しみ方』★★

「仕事でも遊びでも、ある程度の時間を集中して一生懸命やり、それでも分からなかったり、出来なかったりしたら、それは『不詳』でいい。(略)80%できれば十分、それ以上は見切って、正確さや完全性より効率をとること。自分なりのタイム・リミットがきたらあとは先に進むことを有線させ、スタンスを楽にとっておくことが肝心だ。いったん棚上げにした問題のヒントや解決法が、後になって不意に生まれてくることだって多くある」p20
川北義則『"自分の時間"のつくり方・愉しみ方』(PHP研究所, 1997)

 著者は出版プロデューサー。忙しい今に、自分独自の時間をいかに作り、いかに使うかをまとめたエッセイ。
 著者は、仕事は80パーセントで棚上げすることを主張する。言われた以上に働いてしまうのが日本人。むしろ言われた以下の仕事しかしない。その事によって時間ができるし、また"間"ができることで、時間が問題を解決することもある。
 若手社会人向けの講師をおこなうとき、「80パーセント理論」なるものを説明してきた。余った時間を使って、自分なりに仕事に付加価値をつけられるからである。
 ただし、今は余った時間を使って、自分を知るために時間を使うべきと考えるようになった。自分の深みを知らなければ、価値を生み出すはずの仕事は出来ないからだ。 

□参考ウェブサイト
『川北義則』(PHP)

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2008年08月27日

479旅 増田四郎『大学でいかに学ぶか』★★

「明治以来の日本ほど西洋を知った国はないと思います。また、日本ほど東洋を知りうる国はない。したがって、東西両文化の比較融合によって、新しい文化を創造する条件としては、もっとも恵まれた立場にあると思うのです」p220
増田四郎『大学でいかに学ぶか』(講談社, 1966)

 一橋学長も務めたことがある歴史学者による一冊。1966年という学生運動の最中に、大学生がいかに学問に取り組むべきかをまとめた。
 西洋史を専門とされた背景から、東洋にいる日本人は何を前提に学ぶべきか。著書は、東洋と西洋の双方を知る日本人だからこそ、新しい文化を創ることができると考えていた。
 日本にいると、政治・経済はいずれも二流のように見える。「誇れる国になりたい」と皆思うということは、国に誇りを持てていない。
 それで、いいのだと思う。人が生きているだけで奇蹟のように、日本があるだけで奇蹟だ。宗教・文化・経済さまざまな局面で中庸である日本の立場から、世界を考えられると思う。変革はいつも辺境から起こるのだから。

□参考ウェブサイト
『増田四郎』

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2008年08月21日

467旅 酒井穣『はじめての課長の教科書』★★

「仕事をたくさん取ってくることで、自らの課を部のレベルに成長させてしまうという方法があります。これができれば、自らの部下にも昇進の機会を与えることができますし、さらに自分の上司である部長を本部長、経営者に押し上げることもできます。そして、自分にも経営者への芽が出ることになり、ビジネスマンとしての人生も成功したと言って良いものになるでしょう。この方法が、課長が部長になる王道だと思います」p197
酒井穣『はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2008)

 週末に経営セミナーの講師になるため、久々にビジネス書を読んでみた。まずは、課長に求められるスキルを説明した一冊。
 課長として必要なことは何か?と問われれば、「課の業績を高めること」に尽きる。
 スタッフのモチベーションを高めることや、上司との関係が説明されがちだが、利益が上がらなければ意味はなくなる。これは個人のビジネスマンとしても同じであって、組織の目標に貢献するためにこそ、資格やキャリアも必要になる。逆ではない。
 本当に難しいのは、単純な利益が会社の価値にならなくなるこれからだ。日本企業は従来、顧客・取引先・従業員が満足すれば高い利益は求められなかった。ここに株主が加わったことで、利益も必要になる。しかし、利益や株主価値が至上命題であった時代は終わっている。企業のゴールが何かを、もう一度発見する必要がある。
 ゴールが新しくなった時、当たり前だが課長の役割も大きく変わる。ほとんどのビジネス書も無意味になるかもしれない。

□参考ウェブサイト
『課長』

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2008年08月20日

465旅 和田秀樹『30代から始める「頭」のいい勉強法』★★

「記憶してから九時間までのあいだに、記憶の保持率は急速に低下する。覚えたつもりの『中期記憶』がどんどん消えてしまうわけだ。しかし、その『中期記憶』がまだ残っているあいだに反復学習すると、記憶の保持率が飛躍的に高まることもわかっている」p84
和田秀樹『30代から始める「頭」のいい勉強法』(三笠書房, 2002)

 『受験は要領』で有名な、精神科医かつ評論家の著書による一冊。
 毎日二冊読書をしていると、読んだ内容が自分に頭に残るのか気になる。和田氏によれば、記憶がぼんやり残っている九時間以内に反復学習することで、定着率が上がるようだ。
 私の場合、一日二冊読んで、同時に一日二回ブログにアップしている。日にもよるが、読みきってから3-4時間以内に書評を書くことを通じて反復学習しているとも言える。
 ひとまず自分の場合は、以前に比べると、ブログを書くことによってフローではなくストック型読書に切り替えられたと思う。読書+書評の組み合わせは、記憶の定着にも有効だといえそうだ。

□参考ウェブサイト
『和田秀樹』

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2008年06月22日

347旅 『企業遺伝子 「最強の経営」をいかに実現するか』 野口吉昭 ★★

「企業遺伝子とは、そもそも新しい経営論の一つのコンセプトだ。(略)企業遺伝子を分類することによって、企業経営に関わる情報単位を分類する。そうすることで、善玉遺伝子、悪玉遺伝子をあぶり出し、変革遺伝子に転換することが、遺伝子経営の本質である。組織の表面的現象で、経営判断するのでなく、現実を構成する、深い、奥にある真の原因である遺伝子を解析することから、遺伝子経営ははじまる」pp38-39
野口吉昭『企業遺伝子 「最強の経営」をいかに実現するか』(PHP研究所, 2002)

 コンサルティング会社であるHRインスティテュート代表の野口氏による一冊。企業のコアコンピタンスを"遺伝子"と捉えなおしてまとめられている。アリーデ・グースは"企業生命力"として企業が機械ではなく生命であるとして在り方を考えた。生命をアナロジーとして、企業経営を考えるアプローチは、もっと進んで良いように思う。
 野口氏は、企業にとって細胞は従業員一人一人であり、従業員の行動の背景にある価値観こそが、企業遺伝子の本質だという。
 経営を考える上で、戦略や日々のオペレーションは可視化できる。ただ可視化できた事柄で経営は決まるのではなく、見えない組織文化や企業価値観によって、成果は大きく変わる。その意味で、企業遺伝子のような存在を意識することには賛成だ。
 ただ、遺伝子治療のように、組織文化をいじることは、難しいと考えている。それよりも、企業の中にも無意識的な存在があるのであって、そこは運命に従いながら経営の舵取りを切る、といった考えを私は持っている。経営陣やコンサルタントが全てを把握することは出来ないのだ、とすることからスタートするべきではないか。

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□参考ウェブサイト
『遺伝子』


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346旅 『「社外取締役」のすべて−役割は何か/担い手は誰か』 全国社外取締役ネットワーク ★★

「大事なことは、自社の価値観が社会の価値観と矛盾、葛藤を起こしていないかということを常に確認することです。(略)社会の論理を経営に内包することにおいて、まさに社外取締役の存在価値が発揮されるのです。したがって、社外取締役は企業の論理に精通している必要はなく、それよりも普遍的な社会の論理に対する見識を正しく身につけていることの片が求められるのです」
全国社外取締役ネットワーク『「社外取締役」のすべて−役割は何か/担い手は誰か』(東洋経済新報社, 2004)

 続けて社外取締役について。本著では、法的な位置づけから、実務的な仕事の内容、報酬、評価、適した人材まで、説明される一冊。一問一答形式で分かりやすい。
 フィードバックと同様に、自分個人にとっての社外取締役とは、どんな存在だろうかと考えてみた。
 本著によれば社外取締役には、「企業の論理ではなく社会の論理」「ミクロとマクロの視点」「鋭い質問力」といった点が求められるという。
 個人になぞらえても、独りよがりの論理ではなく、社会全体の論理が必要。近視眼ではなく長期的な視野が必要。自分への鋭い問いかけが必要になる思えば、親の存在が、自分にとっての社外取締役なのかもしれない、と思った。
 また逆に言えば、親のような愛情をもって企業に接することが、社外取締役の要諦なのかもしれない、と思う。
 自分の生き方としても、社外取締役の立場としても、考えさせられた。

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□参考ウェブサイト
『全国社外取締役ネットワーク(HP)』

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2008年06月19日

340旅 『男なら、ひとり旅。』 布施克彦 ★★

「ひとり旅にはテーマが要るのだ。他人との付き合いにもテーマは必要だが、一生付き合わなくてはいけない自分との良好関係を保つためには、テーマがより重要になる。『自分とのお付き合い』の場が、ひとり旅である。(略)選んだテーマがふさわしいものであれば、テーマを挟んで自分同士が盛り上がる。誰の心の中にも、まじめな自分といい加減な自分、勤勉な自分と怠け者の自分、明るい自分と暗い自分、善良な自分と邪悪な自分が共存している。それらが常にせめぎ合うことで、人は心に葛藤を抱える」pp210-211
布施克彦『男なら、ひとり旅。』(PHP研究所, 2007)

 来月ラオスに行く。母親が、国の産業支援の関連で一年間滞在しているのだ。前後にバンコクと香港に寄ることにしていて、旅行ガイドを探している時に、本著を見つけた。引退した商社マンによる、ひとり旅のススメの本であった。
 著者が言うには、ひとり旅にはテーマが必要だという。
 同感。私の場合、本を読む旅を続けているわけだが、テーマがある。日本の精神的な文化についてであったり、次世代のリーダーシップであったり。テーマを持っていることで、どんな分野の本でも、有機的につながっていく。ニーチェと空海から、活力ある経営なんてことを考えてみたりする。
 ただ、テーマがおのずから変わることは厭わない。ある本を手段として読んでいたのに、逆転して、本にとっての手段が自分になってしまうこともある。
 そんな変化も楽しみながら、今日も旅を続ける。

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□参考ウェブサイト
『一人旅-じゃらんnet』


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2008年06月15日

332旅 『死んだらどうなるの? 』 玄侑宗久 ★★

「我々のからだを構成している分子や細胞の入れ替わりだけでなく、その原子を構成している素粒子の寿命だって驚くほど短い。私がゼロの数を読み違えていなければ、短命なものは百億分の一秒、だいぶ長命なものでも百万分の一秒程度だったと思う。いくつか安定的な素粒子もあるが、大部分は刹那も生きてはいない。そうであるならば、我々のこの生というのは、絶えざる生死の繰り返しということになる」p139
玄侑宗久『死んだらどうなるの? 』(筑摩書房, 2005)

 芥川賞作家かつ臨済宗の僧侶である著者による、死について軽めのタッチで著したのが本著。死とは何か。あの世とは何か。魂はあるのか。著者がもつ宗教から科学までの広範な知識から語られていく。
 死が物体の消滅をさすならば、素粒子のかたまりである我々は、毎日大量に"死"んでいることになる。しかし、そのことをヒトとしての死と考えることはないだろう。
 では死とは何かと言えば、肉体以上に精神の死を指すことになる。万が一、今考えている死後も精神が残るならば、それは死と呼ばれなくなるだろう。
 死を捉えるには、なぜ生まれてきたのかを理解する事で見えるように思う。
 私の場合、出会った事業やプロジェクトの支援に役割を感じていて、そのために生きているように感じる。その事を目一杯続けてさえいれば、どのような死も受け入れるだろう。途中で放棄することはありえない。
 殺意が自分に向く(自殺)のでも他人に向く(殺人)のでも、自分の生の意味が見えなくなることで起こるように思う。奇跡の結晶のような身体を持てたにも関わらず、無意味に感じてしまう。人間に何が起きているのだろう。

□参考ウェブサイト
『玄侑宗久』

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2008年05月05日

250旅 『効果10倍の<教える>技術 授業から企業研修まで』 吉田新一郎 ★★

「学ぶことは、試してみること、フィードバックをすること、振り返ること、相互に情報を交換したり、励まし合うこと、成功して満足したり、ほめられたり、祝ったりすること、そしてそれらが契機になってさらに試してみることです。知識や情報を提供することは、テーマとの出合いのきっかけとしては位置づけられても、中心的な部分ではありません」p90
吉田新一郎『効果10倍の<教える>技術 授業から企業研修まで』(PHP研究所, 2006)

 月に一度ほどは、企業において研修講師を続けている。自分なりに効果の高いやり方を模索してはいたけれども、認知心理学の観点から、捉えなおしてみたい。
 心理学者の本ではない。吉田新一郎氏は、国際理解教育センター(ERIC)というNPOを設立された方で、長年研修の現場にタッチされてこられた。
 吉田氏によれば、知識・情報を伝えるだけでは教育効果は低い。振り返りや体験を重視するべきだとする。
 私の研修でも、ほぼワークショップ形式を採用しており、講師である私がはなすのは全体の5割程度。残りの時間を使って、チーム別に共有、また応用をしてもらう。
 認知心理学の観点で見返してみよう。まずは、印象に残るトピック・具体例を講師が伝える。そこから見える教訓(スキーマ)を、各人がはなしあう中で理解する。またその教訓を使うことを動機付けし、実際に用いることで、定着化をはかる。
 研修のみならず、日常の部下へのトレーニングでも、応用できそうである。

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□参考ウェブサイト
『ERIC 国際理解教育センター』(HP)

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2008年04月26日

233旅 『ロハス・マーケティングのスゝメ』 相原正道 ★★

「調査報告書(注:イースクエア社による05年調査)によると、ロハス層は全体の29.3%で、ついで中庸無難層の28.0%、生活堅実層の27.0%、個人利便層の15.7%が続きます。(略)ロハス層は、自己啓発や精神性の向上に関心が高く、社会的課題全般に対しても意識を向けている人たちと紹介されています。上昇志向、購買意欲も強く、気に入った商品を家族や友人にすすめるなど、情報発信力も高いのが特徴です。環境・健康に対しての関心が高く、実際に行動に移す人という解釈ができます」(pp99-100)
相原正道『ロハス・マーケティングのスゝメ』(木楽舎, 2006)

 北海道洞爺湖サミットは、7月7日〜9日まで開催される。地球環境が主要テーマであり、民間と政府で様々な準備が進んでいる。エコ・リーグに関わっていたのと、環境関連ビジネスにかかわる機会もあるので、そうしたテーマの本も読んでいきたい。
 今回はロハスについて。ソトコトのヒットもあって随分認知されてきたと思うが、何も読んだことがなかったので手に取った一冊。
 入門書ということで、ロハスがアメリカでスタートした経緯、雇用や教育との関連、日本での状況、ロハス関連ビジネスの状況などが一通り説明されている。
 アメリカでも日本でも、ロハス的と考えられる人は、30%程になっていると言えるようだ。
 ロハスといっても自分の閉じた自我のための人もいるだろう。そうではなく、自我を越えて世界/地球に目が向くロハスに注目したい。そのためにも、ロハスの語源である、ライフスタイル、健康、持続性とは何か、を哲学していく必要がまずあるだろう。

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□参考ウェブサイト
『LOHAS』

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232旅 『インド仏教はなぜ亡んだのか』 保坂俊司 ★★

「インド仏教の滅亡のダイナミズムを簡単に整理すれば以下のようになろう。それは、アショーカ王による仏教の国教化以来本格化した、仏教とヒンドゥー教というインド社会における宗教の対立構図(必ずしも暴力的ないみではない)の均衡状態が、イスラムという第三勢力の侵入により崩れ、結果として仏教のはたしていたあ抗ヒンドゥー教という社会的な役割が、イスラムに取ってかわられ、インドにおける仏教の政治的や役割が消滅した、という結論である」p202
保坂俊司『インド仏教はなぜ亡んだのか』(北樹出版, 2003)

 インドにおいて、ヒンドゥー教と仏教が並びたっていたのは5-6世紀まで。その後は、インド仏教は滅亡の一途をたどる。
 滅んだ理由は、イスラム教徒による攻撃が理由とされる。実際、多くの仏教寺院がイスラムにより破壊された状態が今でも残っている。
 しかし、物理的な攻撃だけではインド仏教の消滅は説明しきれないよ、ということで本著は、新しい滅亡の仮説を提示していった。
 『チャチュ・ナーマ』という、イスラム教徒によるインド征服が書かれた書物を解析することで、イスラム側からみた仏教滅亡の背景が探られていく。
 その結果見えたことは何か。不殺生を戒律とする仏教徒たちが、争わずに素直に降伏を選んだ点が発端。同時に、ヒンドゥーVS仏教という枠組みから、ヒンドゥーVSイスラムの構図へとイメージが流れたことで、それぞれの趨勢がかたまった。
 ただし、仏教の思想自体が消えたわけではない。ヒンドゥー教に組み込まれたのもあるし、何しろ中国・日本で花開いた。今では逆に、日本の仏教がインドで布教活動を開始したという。その結果として、現時点でのインドにおける仏教徒の割合は人口比0.8%程だそうだ。少なく見えるが、インドでは800万人いることになる。
 思想・宗教は、歴史・政治に翻弄されながらも、しぶとくその根を残している。科学という強烈なフレームワークができている現代だが、その根はなくなったわけではなく、姿を変えて潜んでいると言える。

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□参考ウェブサイト
『インドにおける仏教の弾圧』
『インド仏教はなぜ亡んだのか』(千夜千冊)

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2008年04月22日

225旅 『哲学入門』 カール・ヤスパース ★★

「哲学に関する著作のうちで若干の少数のものは、その思想的意義において、偉大な芸術作品と同様に無限であります。これらの著作においては、著者自身が知っていたことよりもより以上のことが思惟されています。(略)根気よく解釈すればするほど、わかってくるところの不思議な書物があります。たとえば、プラトンの著書や、カントの著書や、ヘーゲルの精神現象学などはそれであります」p259
ヤスパース『哲学入門』(新潮社, 1954)

 カール・ヤスパースは、第二次世界大戦を挟んで生きた、ドイツの精神科医・哲学者。妻がユダヤ人だったこともあり、ナチスによって収容所に送られる間際も経験している。
 そのヤスパースが、ラジオ放送で哲学について語った内容がまとめられたのが本著。難解とされるヤスパースの哲学が、比較的わかりやすく紹介されている。
 書物そのものが、著者の意識と無意識の産物であって、時代を超えて読みつがれる中で、新しい意味が追加され続ける。ヤスパースも、哲学者の思想において同じことが言えるという。
 最近、哲学の入門書から再び入りなおしている。竹田青嗣氏のものが特にそう思われるが、入門書自体、著者の思考が加えられていて、現代流の会社となって過去の哲学がよみがえる。その意味で、同じ哲学書への解釈を時をおって読みつづけるのは、面白い読み方だ。
 とはいえ、最後は原典をあたることになる。「今の時代」そして「自分自身」の考えを、過去の哲学者たちにどこかで投影させていく必要があるからだ。すでに本自体購入しているから、あとはよみはじめるタイミングが訪れるのを楽しみにしている。

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□参考ウェブサイト
『カール・ヤスパース』


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