白山神社にて。
目黒に住んでいた5歳の女の子の虐待により亡くなる事件が起きました。こうした虐待を減らすための取り組みを求めるキャンペーンが開始され、私も賛同しました。フローレンス駒崎さんが開始し、多くの方々の呼びかけもあって、今朝時点で5万人以上の方が賛同しています。
「もう、一人も虐待で死なせたくない。総力をあげた児童虐待対策を求めます!」
https://t.co/ahV1FtH9bI
児童虐待の課題を改めて整理します。
まず、児童虐待の相談件数は近年伸び続けています。1999年に11,631件でしたが、2016年には122,575件と10倍以上になりました(※1)。
一方、その間で児童相談所数は174か所から209か所、児童福祉司の数は1,230人から3,030人の増加にとどまっていて、児相の負担は高まる一方です(※2)。また、子どもの虐待死は2014年度で71人と報告されており、この間減る兆しがありません(※3)。
政府も専門職員を増加させるなど対応しようとしていますが、問題の広がりに追いついていない現状があります。その意味では、今回のキャンペーンが提言しているように、予算を増やし、児童相談所と警察の連携ふくめ、現在の仕組みを改善することは喫緊の課題です。
同時に、虐待発生後の対応を増やすだけでは足りません。NPOの立場として、虐待を発生させない仕組みを考えていく必要があります。
私は今回の発起人である駒崎弘樹さんや渡辺由美子さんとともに「子ども宅食」という事業に関わっています。この事業では、食事の定期提供を通じて厳しい環境のご家庭とダイレクトに接することで、情報提供を適切に行えたり、相談を日常的に行えたり、家庭の状況をアセスメントすることが容易になっていると感じます。昔は、ご近所の助け合いがありましたが、時代は変わりました。子ども宅食のように、厳しい家庭にとっての社会インフラとなれるような事業を丁寧につくらないといけない。今回の痛ましい事件のことを念頭に、そうしたことを考えています。
※1 児童相談所での児童虐待相談件数とその推移(厚生労働省, 2007)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000187635.pdf
※2 児童相談所の現状(厚生労働省, 2017)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/04_3.pdf
※3 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第13次報告)の概要(厚生労働省, 2017)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000174459.pdf